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今週末に見たいアートイベントTOP5: 舟越桂が手掛けた最後の展覧会、ビートルズの未公開プライベート写真を含む約250枚を一挙公開

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

彫刻の森美術館 開館55周年記念 舟越桂 森へ行く日(彫刻の森美術館)より、舟越桂《樹の⽔の⾳》2019年 楠に彩⾊、⼤理⽯ 93×46.5×31cm ⻄村画廊蔵 Photo:今井智⼰ ©KatsuraFunakoshi Courtesy of Nishimura Gallery ※この写真は所蔵者の許可を得て撮影しています。実際の展⽰⾵景と異なります。

1. ポール・マッカートニー写真展 1963-64~Eyes of the Storm~(東京シティビュー)

Self - portrait. London, 1963 © 1963 Paul McCartney under exclusive license to MPL Archive LLP MPL Communications Ltd/© National Portrait Gallery, London. Exhibition curated by Sir Paul McCartney with Sarah Brown on behalf of MPL Communications Limited and Rosie Broadley for the National Portrait Gallery, London, and presented by Fuji TV.

ザ・ビートルズの未公開プライベート写真を含む約250枚を展示

ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーのリニューアルオープン記念として開催された、ポール・マッカートニーによる写真展の日本巡回展。本展で展示されているのは、ザ・ビートルズの4人が世界を熱狂させ社会現象となる1963年12月から、テレビ番組「エド・サリバン・ショー」でアメリカを席巻した1964年2月までの約3か月間の記録。60年前からネガやコンタクトシートのままでプリント化されてこなかった貴重な写真を含む約250枚が展示される。

展覧会のために収録された音声ガイドは、ポール自身が担当している。ポールの回想から、当時ビートルズが世界中に巻き起こした旋風の大きさを伺い知ることができる。

ポール・マッカートニー写真展 1963-64~Eyes of the Storm~
会期:7月19日(金)~ 9月24日(火)
時間:10:00 ~19:00(金土は20:00まで、入場は30分前まで)
場所:東京シティビュー(東京都港区六本木6-10-1)
休館日:無休

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2.  クゥワイ・サムナン「Das Pralung(目覚める精霊たち)」(小山登美夫ギャラリー天王洲)

Kongkea (Water) 2024 woven vines and dark green fabric 190.0 x 78.0 x 6.0 cm ©Khvay Samnang

膨大なリサーチから語られるカンボジアの姿

カンボジアの最重要アーティストの一人であるクゥワイ・サムナンによる個展。クゥワイは、カンボジアの深刻な社会問題をリサーチし、様々なアプローチで展開することによって、歴史、文化、様々な事象についての新たな視点や解釈を探求している。

本展では「Pralung(プロルン)」と呼ばれる精霊を扱った新作シリーズを披露する。カンボジアで使われるクメール語とパーリ語で書かれた言葉をかたどった壁掛けの彫刻や、シングルチャンネル・ビデオとミステリアスな真鍮の彫刻を組み合わせた作品などで構成されており、自然における人間と人間でないものの両方の側面や、超自然的なもの、アニミズム、政治的・地理的な環境などに関わる儀式や信仰に焦点を当てる。

クゥワイ・サムナン「Das Pralung(目覚める精霊たち)」
会期:7月20日 (土) 〜 8月10日 (土)
時間:11:00 ~ 18:00
場所:小山登美夫ギャラリー天王洲(東京都品川区東品川1-33-10)
休館日:日月祝


3. 竹﨑和征展(See Saw gallery + hibit)

竹﨑和征が遺した近作14点を展示

2024年6月22日に心臓発作のため48歳で死去した、画家の竹﨑和征。竹﨑は香川県丸亀市を拠点に自身を取り巻く「風景」を手掛かりにした絵画作品や、異素材と絵画を組み合わせたインスタレーション作品を制作してきた。また、ギャラリーTake Ninagawaの創設にも尽力し、日本のアートシーンを内外から支えた人物だ。これまで世界の一流ギャラリーのグループ展に参加してきたほか、亡くなる1週間前にはニューヨークの47カナル・ギャラリーで、初の大規模個展を開催している。本展では、2021年から2023年にかけて制作された作品14点を展示する。竹﨑自身が選んだ作品による最後の展覧会。是非目に収めておきたい。

竹﨑和征展
会期:7月20日 (土) 〜 9月14日 (土)
時間:水木12:00 ~17:00 、金土12:00 ~19:00
場所:See Saw gallery + hibit(愛知県名古屋市瑞穂区密柑山町2-29)
休館日:日月火(8月11日~20日は夏期休廊)


4. 菅亮平 Based on a True Story(原爆の図 丸木美術館)

An Unknown Girl 2024 インクジェットプリント

「原爆」を伝えた人形から歴史継承の問題を再考

1983年生まれの美術作家菅亮平は、「空虚(ヴォイド)」を主題とした作品で知られる。また彼はドイツ滞在と広島への移住経験から戦後美術史へ関心を持ち、戦後の歴史継承の問題をめぐる芸術の可能性を追及している。

本展では、2023年以降取り組んできた、広島平和記念資料館に展示されていた被爆再現人形を題材としたリサーチ・プロジェクトを発表する。菅は被爆再現人形の撤去をめぐる論争に着目し、人形の専門的な現状調査を行うことにより、歴史の断絶と死の記憶を継承する上で、「ドキュメント」と「フィクション」はどのような関係性にあるのか、歴史継承のメソッドについて再考を促す。

菅亮平 Based on a True Story
会期:7月20日(土)~10月14日(月祝)
時間:9:00 ~ 17:00
場所: 原爆の図 丸木美術館(埼玉県東松山市下唐子1401)
休館日:月曜(祝日の場合は翌平日)、8月1日~8月15日は無休


5. 彫刻の森美術館 開館55周年記念 舟越桂 森へ行く日(彫刻の森美術館)

《遠い手のスフィンクス》2006年 楠に彩色、大理石、革、鉄 高橋龍太郎コレクション蔵 Photo: 内田芳孝   © Katsura Funakoshi Courtesy of Nishimura Gallery

舟越桂が愛したものたちから創作の源に迫る

今年の3月に他界した彫刻家、舟越桂。舟越の作品は、遠くを見つめるまなざしを持った唯一無二の人物像で知られている。舟越が生前から準備を進めていた本展は、生涯を通じて人間とは何かを問い続けた彫刻家の作品の変遷とその創作の源となる視線に迫る。

本展は舟越の制作に関わる4つのテーマで紹介する。見どころは、日々の創作活動を垣間見れるデッサンやメモ、そして病室に立てかけてあった風景画など、舟越の周りにいつも置いてあったお気に入りのものたち。また、舟越が家族のために作ったおもちゃを掲載した『おもちゃのいいわけ』の増補新版の刊行を記念し、「木っ端の家」や「クラッシックカー」といった往年のおもちゃ達も登場する。

彫刻の森美術館 開館55周年記念 舟越桂 森へ行く日
会期:7月26日 (金) ~ 11月4日 (月休)
時間:9:00 〜 17:00 (入場は30分前まで)
場所:彫刻の森美術館(神奈川県足柄下郡箱根町ニノ平1121)
休館日:無休

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