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100年前の「心霊写真」がイギリスのオークションに登場! 天才詐欺師の作品か

イギリスオークション会社ソーダーズで、「魔女、モンスター、ミステリー」分野の美術品を集めたオークション「Out of the Ordinary」が7月30日に開催された。その中で100年前の「心霊写真」が出品され話題となった。

ソーダーズのオークションに出品された心霊写真。Photo: Courtesy Sworders

7月30日、4枚セットでオークションに出品された「心霊写真」の8×8センチのスライドは、いずれも人物の顔の付近に不気味な「幽霊」の顔が映し出されている。これらは、1920年代か30年代に心霊写真家によって撮影されたものだという。イギリスエクスプレスによると、19世紀に始まった心霊写真は多くの場合、シッターと呼ばれる人々がポーズを取り、愛する人を亡くした家族が、彼らの幻影がシッターの周りに現れカメラに写ることを期待したものだ。

ソーダーズのオークションに出品された心霊写真。Photo: Courtesy Sworders

オークション会社、ソーダーズの説明によると、出品された心霊写真はイギリスのウィリアム・ホープ(1863-1933)が手掛けたものに似ているという。ホープは心霊写真を撮る能力があると皆に信じられ、クルー・サークルと呼ばれる心霊写真家グループを創設。彼は仲間とともに、第1次世界大戦で身内を亡くし、悲しみに暮れる遺族を相手に賑やかなビジネスを営んでいた。後に二重露光の技術を使った詐欺師であることが明らかになったものの、『シャーロック・ホームズ』の作者であるアーサー・コナン・ドイル卿のように、彼らのトリックの証拠を認めず、最後までカメラに映った不気味な人物を本物の幽霊と信じた熱烈なファンも存在した。

ただ、今回出品された写真はホープのような偽物の心霊写真かどうかは明記されていない。7月30日に開催されたオークションでは、予想落札価格をやや下回る350ポンド(約6万9000円)で落札された。現存するホープの心霊写真は現在、写真史における貴重な資料としてイギリスの国立メディア博物館に収蔵されている。

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