韓国の国際的アートフェア「キアフ・ソウル」2024年の見どころは?フリーズ・ソウルとの共同プログラムも

世界中から200を超えるギャラリーがソウルに集まる「韓国国際アートフェア」(Korea International Art Fair SEOUL」)、通称キアフ・ソウルが、2024年も9月4日〜8日にかけて開催。パートナーであり、同期間に同じ会場で開催されるフリーズ・ソウルとの共同プログラムも実施予定だ。

キアフ・ソウル 2023の会場風景。Photo: Courtesy of Kiaf

「韓国国際アートフェア」(Korea International Art Fair SEOUL」)、通称キアフ・ソウル(Kiaf Soul)が、9月4日〜8日にかけてコエックス・コンベンション・センターで開催予定だ。

2002年に始まったキアフは、韓国の先駆的な国際アートフェア。回を重ねるごとに規模を拡大しており、今年は昨年も会場となったCOEXホールA・Bに加え、2階のザ・プラッツエリアも会場とする。

2024年は21の国と地域から206のギャラリーが出展し、130軒は韓国国内、76軒は国外のギャラリーで構成される。今年が初出展となるのは36軒だ。

キアフ・ソウル 2023の会場風景。Photo: Courtesy of Kiaf

日本からは初出展のSNOW Contemporaryをはじめ、√K Contemporary、Art Collection Nakano、アートフロントギャラリー、biscuit gallery、GALLERY KOGURE、Gallery Q、ギャラリー椿、鎌倉画廊、Medel Gallery Shu、SHギャラリー、Standing Pine、TEZUKAYAMA GALLERY、Whitestone Gallery、YOD TOKYO、Yumiko Chiba Associatesの計16ギャラリーが参加する予定だ。

キアフにはギャラリーによる展示のほか、いくつかの独自プログラムも用意されている。2023年に始まったアワード形式の展示「Kiaf HIGHLIGHTS Award」と新進気鋭のギャラリーを取り上げる「Kiaf PLUS」は今年も開催される。

Kiaf HIGHLIGHTS Awardでは「New Discoveries & Fresh Encounters(新しい発見、新鮮な出会い)」をテーマに、出展ギャラリーに所属するアーティストのなかから選ばれた韓国国内7組、海外3組のアーティストをフィーチャーする。Kiaf PLUSには日本のbiscuit galleryやYOD Tokyoをはじめとする27のギャラリーが参加し、昨年よりもさらに規模を拡大して開催される予定だ。

Kiaf HIGHLIGHTS Awardに選出されたアーティストのひとり、ベティ・マフラー(Jan Murphy Gallery所属)。アボリジニ・アーティストであり、細かな点と線で表現された絵画で知られる。Photo: Courtesy of Kiaf

特別展のテーマはテクノロジー

また、「Kiaf onSITE」と銘打たれた特別展示も開催される。テーマは「Invisible Transitions(見えない転換)」。分散化、越境的なインタラクション(相互作用)、ハイパーコネクティビティなど、テクノロジーがもたらす多層的な変化から生まれるオルタナティブなストーリーに焦点を当て、3つのセクションを通じて人間の本質とテクノロジーの複雑な関係を探る。

キュレーターを務めるのは、マルチメディア作品の専門家であり、Urban Art Lab Seoulの所長を務めるスンア・リー。展示にはAIを使った大規模なインスタレーションやパフォーマンスアート、ウェアラブルテクノロジーやVRを使ったインタラクティブな体験など、さまざまな技術を活用した実験的な作品が展示されるという。

Kiaf onSITEに出展予定の韓国人アーティスト、ヤン・ミンハによる彫刻作品《Closed-loop Life System 2409》(2024)。人工生命体の誕生、死、繁殖、崩壊を光のビーズで表現している。Photo: Courtesy of Kiaf
同じくKiaf onSITEで展示予定の、ウィンスロー・ポーターとエリー・ザナニリによるVRインスタレーション《Forager》(2023)。タイムラプス写真とフォトグラメトリーを組み合わせ、参加者を菌類の世界へと誘う。Photo: Courtesy of Kiaf

フリーズ・ソウルと共同開催のトークセッションも

2023年からフリーズ・ソウルと同時期・同会場での開催となったキアフ。会期中はフリーズソウルおよび韓国芸術管理院(KAMS)との共催で、多様なトークプログラムも予定されている。

そのひとつ、ビエンナーレをテーマにしたセッションでは、「ハワイトリエンナーレ2025」「釜山ビエンナーレ2024」「ダッカ・アート・サミット」「シャルジャ・ビエンナーレ」といったアートイベントのキュレータやアーティスティックディレクターが参加し、現代アート市場形成におけるアートイベントの役割について議論する。

また「Contemporary Feminist Art in Asia」と題されたセッションでは、バークレー美術館・太平洋フィルムアーカイブ(BAMPFA)、国立現代美術館ソウル館、アジア・アート・アーカイブ、ロサンゼルス現代美術館(MOCA)、ナム・ジュン・パイクアートセンターのキュレーターらが、フェミニズムとアジアのアートについて語る。

2022年にローンチされたフリーズ・ソウルとの提携も2年目に入り、新規参加ギャラリーの増加によってますます国際色豊かになった印象の今回のキアフだが、参加ギャラリーの60%は韓国拠点。同国のアートシーンの「いま」を目撃することのできる貴重な機会となりそうだ。

キアフ・ソウル 2024

会期:2023年9月4日〜9月8日
会場:コエックス・コンベンション・センター(COEXホールA・B、ザ・プラッツエリア)
住所:513 Yeongdong-daero, Gangnam-gu, Seoul
公式サイト:https://kiaf.org/

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