好奇心旺盛な4歳児が誤って3500年前の壺を破壊。美術館の神対応とは?
ロイベン&エディト・ヘフト美術館に展示されている青銅器時代中期の壺が、4歳児によって壊されてしまった。しかし美術館側は、賠償を請求する代わりに、子どもとその家族に寛大な対応をとったという。美術館側の提案とは?
イスラエルのロイベン&エディト・ヘフト美術館に展示されている壺が、家族とともに同館を訪れた好奇心旺盛な4歳の少年によって割られてしまった。この壺は、紀元前2200年から1500年の青銅器時代中期のもので、もともとはワインやオリーブオイルのような地元の物資を貯蔵・運搬するために使われていた。
壷は美術館の入り口付近でガラスで保護されることなく展示されており、少年の父親はBBCの取材に対し、「息子は中に何が入っているのか気になってしまい」中身をよく見ようと壺をたぐり寄せたのだと語っている。
家族は少年が壺を破壊したことを近くの警備員に伝え、謝罪した。すると美術館側は、怒るどころか、少年とその家族に「修理された壺を見るために、再び美術館を訪れてほしい」と、家族を貸し切りのツアーをオファー。家族はこの招待を受け入れ、8月末に館内を見学するために美術館を再訪する予定だという。
美術館の広報担当者によれば、この壺は長らく展示されており、写真資料も豊富にあることから、修復作業は問題なく完了する見通しだという。今回起きてしまった事故に対して美術館の担当者はBBCに次のように語る。
「意図的に展示物が壊されてしまった場合は、警察に出動してもらうなどなど厳重に対処しています。しかし、今回の場合は幼い男の子が壺を割ってしまったので、大事にはせず、穏便に済ませることにしました」
博物館の創設者であるルーヴェン・ヘクトは、ガラスの壁や障壁に邪魔されることなく、一般の人々が遺物を鑑賞できるようにすべきだと考えから、保護ガラスを設置していなかった。美術館の担当者はUS版ARTnewsの取材に対し、「今回のような事故があったとはいえ、当館はこの創設以来続いているこの伝統を続けていくつもりです」と語った。(翻訳:編集部)
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