AIアートのための美術館「DATALAND」が2025年にオープン! レフィク・アナドル率いるスタジオが運営
生成AIを駆使したアートだけを展示する美術館、その名も「DATALAND(データランド)」が2025年ロサンゼルスにオープンする。AIアートで高い評価を得るレフィク・アナドルが、フランク・ゲーリー建築を舞台に展開するという意欲的なプロジェクトだ。
人工知能(AI)を用いて斬新な作品制作を行う現代アーティストの中でも最も成功している1人といえるレフィク・アナドル。彼は2025年、自身が率いるスタジオとともにAIが生成したアートに特化した世界初の美術館「DATALAND」をロサンゼルス市内に開館することを発表した。
DATALANDは、建築家のフランク・ゲーリーが手がけた高級マンション、ザ・グランド内に建設される予定で、美術館の設計は、サンフランシスコに本社を置くゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッドと、オーヴ・アラップ・アンド・パートナーズが担当する。後者のアラップは、シドニー・オペラハウスやテート・ギャラリーなどを手がけたことでも知られる。
DATALAND開館の発表に際してレフィク・アナドル・スタジオは、次のような声明をホームページ上で公開した。
「DATALANDは、あらゆる背景の人々が楽しめるような機械学習や最新の感覚・視覚化技術を活用した比類のない体験を、これまでにない規模とクオリティで提供します。オンラインアクセスと学習プラットフォームを統合し、美術館を自然に焦点を当てた大規模なデータセットの公共リポジトリとして機能させながら、AIアートの包括的なコレクションを構築していきます」
2014年に創業したレフィク・アナドル・スタジオは非代替性トークン(NFT)をはじめとするデジタルアートの作品を多く手がけてきたが、この数年では、とくに建築物にプロジェクションする作品を精力的に制作している。その好例が、《Living Architecture: Casa Batlló》(2022)だ。この作品でアナドルらは、バルセロナにあるアントニ・ガウディの有名な建物をキャンバスに、リアルタイムで収集された気候データを使用して、「幻覚」を起こすようなインスタンスを生成した。これ以外にも、2023年にラスベガスに建てられた没入型施設、スフィアの外観に投影するための《Machine Hallucinations》なども発表している。
アナドルはこう期待を込める。
「芸術や音楽、映画、建築などの様々な実験が行われてきたロサンゼルスほど、私がキャリアを捧げてきた芸術、科学、テクノロジー、AI研究といった分野を支援する、先進的かつ革新的なDATALANDを立ち上げるのに相応しい場所はありません。人間の想像力と機械の知能、そして最先端のテクノロジーを融合させることで、美術館の新しいあり方を示す恒久的な空間を創出することは、私の最大の夢のひとつでした。私が尊敬するフランク・ゲーリーが設計した建物でそれを実現できることに、まだ実感がわいていません!」
レフィク・アナドル・スタジオは2025年4月にも、ゲイリー建築の代名詞とも言えるビルバオ・グッゲンハイム美術館で新シリーズ《In Situ》を披露する予定だ。