ビル・ゲイツがNFTを「大ばか理論に基づく」と苦言。BAYCのシリーズを皮肉る
6月14日、米マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツが、米メディアTechCrunch(テッククランチ)主催のイベントに登壇。NFTは「100%『大ばか理論』に基づくものだ」と苦言を呈した。「大ばか理論(greater fool theory)」とは、バブル状態の市場で過大評価された資産を買った愚か者が、それをさらに愚かな者に売って儲けを得ることを言う。
ビル・ゲイツは、気候変動への意識向上に努め、週に1冊本を読み、ロジャー・フェデラーとテニスをすることを是としている。一方、今回の発言からすると、NFTはゲイツの好みに合わないようだ。
DappRadar(ダップレーダー)社のデータによると、2021年のNFT取引総額は220億ドルに達した。しかしゲイツは、「NFTはその匿名性ゆえに、税金など政府が定めたルールを全て回避できる」と批判。「とにかく私は関わらない」と言い切った。
さらに、表情や服装が異なる1万点のエイプ(猿)画像が人気のNFTシリーズ「Bored Ape Yacht Club(ボアード・エイプ・ヨット・クラブ、略称BAYC)」については、「高額な猿のデジタル画像は、明らかに世界を変えるね。すごいことだ」と皮肉ったという。ちなみに、BAYCのシリーズには、オークションで340万ドルもの落札価格を付けたものもある。
この発言に対し、NFTコミュニティはソーシャルメディアの投稿でゲイツを揶揄。その1人は、自分のNFT作品がクリスティーズで6930万ドルで落札され、ブームのきっかけを作ったアーティストのビープルだ。彼は、ゲイツの発言に関するCNNの記事のスクリーンショットに、絵文字の🤔をいくつも並べてツイートしている。
ビルゲイツの発言に関するビープルのツイート
暗号資産の売買・管理ウォレットアプリAbra(アブラ)は、ビープルのツイートにこうリプライした。「ゲイツは暗号資産相場が下落したからそう言っているんだろうが、ビットコインが勢いを盛り返した時には恥をかくことになるだろう」
ビットコインなど暗号資産急落のニュースは、一部からは、「それ見たことか」といった受け止められ方をしている。たとえば、ニューヨーク・マガジン誌の記事はこんな見出しだ。「Crypto Is Crashing. It Deserves to(暗号資産の暴落は当然)」(翻訳:清水玲奈)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年6月15日に掲載されました。元記事はこちら。
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