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ACK期間に見たい京都・大阪の展覧会9選──グッチ100年の展覧会から京都の建築、塩田千春まで

京都国際会館を舞台に、Art Collaboration Kyotoがいよいよ開催される(11月1日から11月3日まで、10月31日はVIPプレビュー)。この時期、開催地の京都、そしてお隣の大阪では見逃せない展覧会やイベントが目白押しだ。その中でもおすすめの9本をピックアップした。アート三昧な3連休を楽しんでもらいたい。

京都市遠景。Photo: Getty images

1. LOVEファッション―私を着がえるとき(京都国立近代美術館)

Comme des Garçons(川久保玲)トップ、パンツ 2020 年春夏 © 京都服飾文化研究財団、撮影:来田猛

服を着ることの意味を再考する

服を着ることは人間の普遍的な営みの一つ。「あの人のようになりたい」「ありのままでいたい」「我を忘れたい」など、装いには私たちの内なる欲望が潜み、ときに憧れや熱狂、葛藤や矛盾をともなって表れる。京都国立近代美術館(MoMAK)と京都服飾文化研究財団(KCI)が共同で開催する本展では、18世紀から現代までの衣服作品を通じて、「着ること」をめぐる人々の多様な情熱や願望=「LOVE」とそのありようについて見つめ直す。

18世紀フランスの絹織物のドレスから、時代や性別を超えた衣装で私たちの固定概念を揺さぶる川久保玲(コム・デ・ギャルソン)、ジャン=ポール・ゴルチエとサカイのコラボレーションによるオートクチュール作品まで、着る側と作る側それぞれの熱い「LOVE」が万華鏡のようにカラフルな世界を作り出す。

LOVEファッション―私を着がえるとき
会期:9月13日(金)〜11月24日(日)
場所:京都国立近代美術館(京都府左京区岡崎円勝寺町)
時間:10:00〜18:00 (金は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(11月4日は除く)、11月5日


2. Gucci Cosmos(京都市京セラ美術館)

Photo: Courtesy of GUCCI

世界で愛されるラグジュアリーブランドの伝統と革新

1921年、イタリア・フィレンツェで創設され、世界のラグジュアリーファッションを牽引するブランドとして揺るぎない地位を築いた「グッチ」。日本で正式に紹介されてから60周年の節目である今年、フィレンツェの姉妹都市である京都と日本をオマージュし、アーカイブ作品を通じて100年以上にわたるブランドの歴史と現代への系譜を紐解く。

ブランド創設者グッチオ・グッチが若き日に抱いた夢や願望、息子たちが受け継いだ先進的なビジョン、そして歴代のクリエイティブ・ディレクターのイマジネーションとクリエイティビティに至るまで、グッチの持つ多彩な側面に迫る。月明かりに照らされた竹林をイメージし、 ブランドのアイコン“グッチ バンブー 1947”にフォーカスしたスペース「Bamboo」をはじめ、6つの展示スペースで魅せる伝統と革新の世界観は圧巻。

Gucci Cosmos
会期:10月1日(火)〜12月1日(日)
場所:京都市京セラ美術館(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町124)
時間:10:00〜18:00 (入場は1時間前まで)
休館日:月曜(祝休日は除く)


3. 開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!(福田美術館)

伊藤若冲_果蔬図巻_部分(1790年以前)通期_福田美術館蔵

若冲の幻の大作が初お目見え

生き生きとした花鳥画で今も根強い人気を誇る、江戸時代の絵師、伊藤若冲。美術館開館5周年を記念し、70代の時に描いた絵巻《果蔬図巻(かそずかん)》を、世界初公開する。全長3メートル余りの大作で、52種類の野菜や果物が美しい色彩を用いて鮮やかに描かれている。館所蔵の若冲の作品約30点も一挙公開するほか、若冲が影響を受けた禅僧・白隠禅師や中国清の画家、沈南蘋の作品なども併せて展示することで、未だ謎が多い若冲の人生に迫る。

開館5周年記念 京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!
会期:10月12日(土)〜2025年1月19日(日)
場所:福田美術館(京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16)
時間:10:00〜17:00 (入場は30分前まで)
休館日:12月3日、12月30日~2025年1月1日


4. 京都モダン建築祭(京都市内各所)

会場のひとつ、先斗町歌舞練場。Photo: Wikimedia Commons

古都に息づくモダン建築を一斉公開

2022年にスタートした、京都に現存する魅力的なモダン建築を一斉公開するプロジェクト。“関西建築界の父”武田五一の監修による京都市役所本庁舎や、赤坂離宮などを手がけた宮廷建築家・片山東熊による京都国立博物館など、過去最多の102の建築が参加。普段は一般公開されていない建築が、このときだけ扉を開く。一歩足を踏み入れれば、歳月を経た建物ならではの深みと味わいを全身で感じることができる。参加方法は、土日のみ開催され事前申込不要の「パスポート公開」と、会期中全日実施し要申込の「ガイドツアー」の2種類。

京都モダン建築祭
会期:11月1日(金)〜10日(日)
場所:京都市内各所
時間:10:00〜17:00 (一部、建築によって異なる)
休館日:無休


 5. 「黙:Speaking in Silence ‒Bosco Sodi & Izumi Kato」(両足院)

Photo: ©2024 Bosco Sodi, ©2024 Izumi Kato / Installation view at Ryosokuin Zen Temple, Kyoto JapanPhoto: Mitsuru Wakabayashi Courtesy of Executive Committee, “黙: Speaking in Silence” Exhibition

ボスコ・ソディと加藤泉。長年の友情が京の名刹に結実

メキシコとニューヨークを拠点に活動するボスコ・ソディと、「ひとがた」を⼿がかりに制作を続けるアーティスト、加藤泉の2人展。ソディと加藤は2007年に知り合って以来親交を深めており、本展もその関係性から共同企画に至った。1202年に創建された京都の名刹・建仁寺を会場に、本展のために制作された新作約30点が展示される。かつて僧侶が書をしたためた⼤書院や、京都府の名勝庭園に指定されている池泉回遊式庭園などの風景に調和するインスタレーションにも注目したい。

「黙: Speaking in Silence –Bosco Sodi & Izumi Kato」
会期:11月2日(土)〜17日(日)
場所:両足院(京都府京都市東⼭区⼤和⼤路通四条下る4丁⽬⼩松町591)
時間:13:00〜17:00 (入場は30分前まで)
休館日:無休


6. 日本の美術工芸を世界へ 特別展『工芸的美しさの行方―うつわ・包み・装飾』(建仁寺)

会場となる京都・建仁寺。

 自由な工芸表現を通して「うつわ」の本質を問いかける

「うつわ」形をテーマに、工芸が基点でありながら、ジャンルを超えて制作をしている10人のアーティストを紹介する。漆という素材に身体的な感覚を投影した作品を手がける石塚源太や、現代の自然に対する意識の在りようをテーマに動植物、神獣、古典図案等を再構成し色絵磁器に起こしている牟田陽日など、独自の作風を追求する作家が参加。工芸的なこだわりを持ちつつ、単なる道具としての器を超えて、現代アートの表現力やコンセプトを併せもつ作品が並ぶ。キュレーターは東京藝術大学名誉教授で金沢21世紀美術館特任館長の秋元雄史と、直島、豊島、犬島美術館の立ち上げに携わってきた高山健太郎。

日本の美術工芸を世界へ 特別展『工芸的美しさの行方―うつわ・包み・装飾』
会期:11月3日(日・祝)~11月5日(火)
場所:建仁寺 書院(京都市東山区大和大路通四条下る小松町)
時間:10:00〜17:00 (入場は30分前まで)
休館日:無休


7. 塩田千春 つながる私(アイ)(大阪中之島美術館)

塩田千春《The Eye of the Storm》 2022年 画像提供:バンコクアートビエンナーレ ©JASPAR, Tokyo, 2024 and Chiharu Shiota

3つの「アイ」で他者とつながる

「生と死」という人間の根源的な問題に向き合い、「生きることとは何か」「存在とは何か」を問い続けてインスタレーションや写真、映像などを手がける塩田千春。現在ベルリンを拠点として国際的に活躍する塩田が、故郷の大阪で16年ぶりに開催する大規模な個展。全世界的な感染症の蔓延を経験し、否応なしに人々が意識した他者との「つながり」に、「私/I」、「目/EYE」、「愛/ai」の3つの「アイ」を通じてアプローチを試みる。塩田の代名詞といえる、糸を使ったインスタレーションを中心に、絵画、ドローイングや立体作品、映像など多様な手法を用いた作品が並ぶ。「つながり」をテーマとして一般から募集したテキストメッセージを組み込んだ作品も。

塩田千春 つながる私(アイ)
会期:9月14日(土)~12月1日(日)
場所:大阪中之島美術館(大阪府大阪市北区中之島4-3-1)
時間:10:00〜17:00 (入場は30分前まで)
休館日:月曜(11月4日は除く)、11月5日


8. 線表現の可能性(国立国際美術館)

ベルナール・フリズ《ガルブ》2003 年 アクリル、樹脂、カンバス 国立国際美術館蔵 Courtesy of the artist

古くて新しいテーマ「線」の多様性に迫る

一枚の絵は一本の線を引くことから始まる。直線、曲線、点線、波線といった形態だけでなく、描く材料によってもその表情はさまざまに変化する。本展では、版画・素描を中心に、絵画、彫刻、写真を加えた約150点の作品によって、現代美術における線表現の多様性を示す。絵画の原点であると同時に、今なおその表現領域を拡大し続ける線の軌跡と可能性に驚かされる。出品作家は、木村忠太、津高和一、中原浩大、舟越桂李禹煥ゲルハルト・リヒターサイ・トゥオンブリ―ほか。

線表現の可能性
会期:11月2日(土)~–2025年1月26日(日)
場所:国立国際美術館(大阪府大阪市北区中之島4-2-55)
時間:10:00〜17:00 (金土は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(11月4日、1月13日は除く)、11月5日、1月14日、12月28日~2025年1月4日

9. Open Storage 2024-祝う収蔵庫(MASK)

巨大アート倉庫で開かれる“美と智慧と愛の饗宴”

約1000平方メートルの工場・倉庫跡に、国際的に活躍する現代美術作家の大型作品を保管・展示するMASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA)が、開館10周年を記念して収蔵作品を一般公開する。参加アーティストは宇治野宗輝金氏徹平、久保田弘成、名和晃平持田敦子やなぎみわヤノベケンジ。11月2日には10周年記念イベント「10th Anniversary Special Program」を開催。収蔵作家が一堂に会し、今後の作品制作やコラボレーションの可能性について語るほか、収蔵作品を“舞台”として活用するパフォーマンスも。一夜限りのスペシャルな空間で観客、アーティスト、パフォーマーが共に祝い楽しむ。

Open Storage 2024-祝う収蔵庫
会期:10月18日(金)〜20日(日)、10月25日(金)~27日(日)、11月1日(金)〜4日(月休)
場所:MASK(MEGA ART STORAGE KITAKAGAYA、大阪市住之江区北加賀屋5-4-48)時間:12:00〜18:00(11月2日は15:30~20:00) 
休館日:無休

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