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今週末に見たいアートイベントTOP5: 毛利悠子の国内初大規模展、日本国憲法をアートで考察

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて(アーティゾン美術館)より、毛利悠子《Decomposition》2021年—、「Neue Fruchtige Tanzmusik」展示風景、2022年、Yutaka Kikutake Gallery 写真:kugeyasuhide

1. 松谷武判 Takesada Matsutani(東京オペラシティ アートギャラリー)

《二つの形》2022 作家蔵 Courtesy the artist and Hauser & Wirth ©Takesada Matsutani Photo: Benoît Fougeirol

具体の作家、松谷武判の60年にわたる創作を回顧

具体美術協会の一員として活躍し、現在はパリを拠点とするアーティスト、松谷武判の国内初、過去最大規模の包括的個展。松谷は60年以上にわたる活動を通じて、物質が示す表情や肌理、存在感と生命の波動、流動を交錯させる優れた作品を生み出し続けている。

本展は、最新の調査に基づいて、初期から最新作を含む作品や資料、映像など200点以上で松谷武判の創作の全貌を紹介する。ボンドを用いた有機的な造形に鉛筆の黒色を重ねた松谷の個性が際立つ作品や、建築を取り入れたインスタレーション、パフォーマンスのほか、近年発表している、ひとつの手法や表現にとらわれない大胆かつ繊細な作品が展示される。

松谷武判 Takesada Matsutani
会期:10月3日(木)〜12月17日(火)
場所:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿3-20-2)
時間: 11:00 〜 19:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜(祝休日の場合は翌平日)

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2. 日本国憲法展 2024(青山|目黒)

Photo: Koichi Nishiyama

日本国憲法×アートから見える新たな視点

2019年に刊行された、日本国憲法全文に現代アート作品を添えた書籍『日本国憲法』(松本弦人編、TAC出版)から着想を得、憲法と美術に焦点を当てた展覧会。昨年に引き続いて2度目の開催となる今回も、11月3日の憲法の公布日(憲法記念日 )前後の約2か月間、Part1〜3を異なる会場で開催し、10月26日からはここ青山|目黒でPart3が開催される。

本展は展示ディレクターに広島市現代美術館学芸員の角奈緒子を迎えた。同著に掲載された作品とは異なる作家が選出され、日本国憲法の条文と組み合わせて作品が展示される。参加作家は、こうの史代、長谷川学、横山奈美、宇川直宏、村上慧、青山悟、加藤立、石黒健一、大谷透、服部公太郎。

日本国憲法展 2024
会期:9月21日(土)~11月17日(日)
場所:青山|目黒(東京都目黒区上目黒 2-30-6 保井ビル1階)
時間:水〜金 12:00〜19:00、土日祝 12:00〜18:00
休館日:月火(11月3日は除く)


3. ウェイド・ガイトン 「THIRTEEN PAINTINGS」(エスパス ルイ・ヴィトン東京)

WADE GUYTON – THIRTEEN PAINTINGS エスパス ルイ・ヴィトン東京での展示風景(2024年) Installation view at Espace Louis Vuitton Tokyo (2024)

絵画の変革者、ウェイド・ガイトンの新作が世界初公開

2000年代初頭からニューヨークのアートシーンで中心的な存在として活躍してきたウェイド・ガイトンの日本初個展。ガイトンは、伝統的な手法とデジタル印刷技術を融合させる独自の制作技法を用いて絵画の領域に革新をもたらしてきた。エプソンの大判インクジェットプリンターを意図的に「誤用」し、キャンバスに直接プリントすることで、エラーやインクの液垂れ、ミスプリントが画面全体に広がる構成要素となり、唯一無二の表現を生み出している。

本展ではフォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵作品から13点の絵画で構成される新作シリーズ「Untitled」(2022)を世界初公開する。

ウェイド・ガイトン 「THIRTEEN PAINTINGS」
会期:10月31日(木)〜3月16日(日)
場所:エスパス ルイ・ヴィトン東京(東京都渋谷区神宮前5-7-5)
時間:12:00 〜 20:00
休館日:無休


4. アーリーン・シェケット 「信仰のその先」(Pace ギャラリー)

Arlene Shechet Together: For Japan (detail), 2024 Glazed ceramic and powder coated steel, 14" × 15" × 13" (35.6 cm × 38.1 cm × 33 cm). No. 93100 © Arlene Shechet, courtesy Pace Gallery

素材と色彩を巧みに操るアーリーン・シェケットの日本初個展

アメリカのアーティスト、アーリーン・シェケットの日本初となる展覧会。シェケットは自然界の言語と建築空間の言語を融合し、素材、色、形による表現の可能性を掘り起こしている。

本展では近・新作を中心に、彫刻、紙の作品、タペストリーなどシェケットの多様な作品を紹介する。今年に入って制作された未発表の紙の作品や、1997年に発表した手作りのアバカ紙による作品、さらに2019年の布地のタペストリー作品などが出品され、ジャンルを問わず質感と色彩に富む抽象表現を生み出す彼女の非凡な才能を浮き彫りにする。

アーリーン・シェケット 「信仰のその先」
会期:11月2日(土)~12月21日(土)
場所:Pace ギャラリー(東京都港区虎ノ門5-8-1)
時間:11:00 〜 20:00
休館日:月曜


5. ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて(アーティゾン美術館)

毛利悠子《Calls》2013年—、「MEDIA/ART KITCHEN—ユーモアと遊びの政治学」展示風景、2014年、国際芸術センター青森 写真:Kuniya Oyamada

ヴェネチア・ビエンナーレ代表作家、毛利悠子の国内初大規模展

石橋財団コレクションとアーティストとの共演展「ジャム・セッション」の第5回目は、国際的なアートシーンで注目を集める毛利悠子の国内初の大規模展覧会。毛利は、環境の諸条件によって変化していく「事象」にフォーカスしたインスタレーションや彫刻作品を制作しており、2024年のヴェネチア・ビエンナーレ日本館の代表作家として現在展示を行っている。

本展では、2013年に発表した《Calls》や、2023年光州ビエンナーレで展示された《I/O》(2011‐)などの新旧の作品とともに、ジョルジュ・ブラック《梨と桃》(1924)、コンスタンティン・ブランクーシ《接吻》(1907-10)など毛利自身が選んだ石橋財団コレクションを並べる。

ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子—ピュシスについて
会期:11月2日(土)〜2025年2月9日(日)
場所:アーティゾン美術館(東京都中央区京橋1-7-2)
時間: 10:00〜18:00(金曜は20:00まで、入館は30分前まで)
休館日:月曜(祝日の場合は翌平日、12月28日〜1月3日)

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