2021年、世界のアート界を俯瞰する16のニュース
2020年に、アート界のみならず世界中で明らかになったのは、以前のままでいられるものはほとんどないということだった。嵐のような1年を経て、2021年には各所で劇的な変化が起きた。その一つが美術館だ。
米国や欧州では、美術館のあり方を根本的に考え直すような議論を重ねたところもあれば、リーダーを多様化させて前に進もうとするところもあった。一方、欧州やアジアでは、コロナ禍による長期延期の末、ようやく開館した美術館が国際的な舞台で重要な地位を確立した。
アーティストたちは、さまざまな対話を推し進め、喫緊の課題を世界中で議論する方法を具体化し、さらに新しいアート分野の急成長を促すのに重要な役割を果たした。マーケットでは、2021年に見送られていたフェアやオークションなどのイベントが復活している。
以下、2021年のアート界を代表する16の出来事を振り返る。
16. ジャスパー・ジョーンズの重要な回顧展が2都市で同時開催
「Mind/Mirror(マインド/ミラー)」という展覧会タイトルは、ジャスパー・ジョーンズが追求してきたテーマを改めて認識させるものだ。その作品を回顧する、重要かつ意欲的な2部構成の展覧会が、ホイットニー美術館(ニューヨーク)とフィラデルフィア美術館で同時に開幕した(会期は2022年2月半ばまで)。この回顧展では、異なる場所にある二つの美術館が、あるときは互いに呼応し、あるときは共通のテーマを異なる側面から取り上げながら、綿密かつ多彩な展示を行っている。
回顧展の企画は、ホイットニー美術館のスコット・ロスコフと、フィラデルフィア美術館のカルロス・バスアルドによるものだ。これほどの大規模展の実現に至るまで、二人のキュレーターは徹底的な議論をしたに違いない。そして、存命アーティスト中で最も重要な人物である91歳のジョーンズの作品も、多くの論点を提示している。—Andy Battaglia
15. インディアナポリス美術館の求人広告が大炎上
ニューフィールズのインディアナポリス美術館が出した新館長募集の求人広告は、好感を持たれるものではなかった。募集要項に「これまで中心的だった白人の来館者を維持しつつ、より幅広く多様な観客を集めることを目指す」という記述があったからだ。
美術館はすぐに方針を転換し、次のような声明を出した。「私たちの、そして多くの美術館の来館者は、歴史的に見ても、また現在も、あまりに同質的です。そのため、私たちは来館者を意図的に多様化するよう取り組んでいます。募集要項の記述では、美術館のコアなファンを増やし、かつ幅を広げることに焦点を置いたつもりでしたが、その表現が排他的で軋轢を生むものであったことを心から遺憾に思います」。しかし、炎上は収まらず、間もなく館長のチャールズ・べナブルは辞任した。—Andy Battaglia
14. フランソワ・ピノー、パリに待望の現代美術館をオープン
実業家でメガコレクターのフランソワ・ピノーは、20年前から自らの本拠地であるパリに美術館を開こうとしていた。2021年、この夢がついに実現し、パリの旧穀物取引所を利用した巨大な私設美術館、ブルス・ドゥ・コメルスが誕生。建築家の安藤忠雄氏による1億9500万ドルの改修を経て、この場所はピノーコレクションのための豪華な展示スペースとなった。
もちろん、展示されている作品の質の高さも見逃せない。コロナ禍による2回の延期後にやっと開館したブルス・ドゥ・コメルスのオープニング展では、デビッド・ハモンズの個展が開催された。ハモンズの作品がまとめて展示されるのは非常に珍しいことだ。それに加え、シンディ・シャーマン、セル・セルパス、ウルス・フィッシャーなどの作品も並ぶ。このオープニング展でブルス・ドゥ・コメルスは、無数の美術館があるパリだけではなく、国際的な舞台にも堂々と仲間入りを果たした。—Alex Greenberger
13. キューバのアーティストたちが人権侵害への抗議活動に立ち上がる
2021年、キューバのアーティストたちは、自国の人権侵害と検閲に抗議の声を上げ続け、たびたび投獄の危険にさらされた。街頭で大規模な抗議デモが行われる中、ルイス・マヌエル・オテロ・アルカンタラなどのアーティストが長期間拘留されることもあった。抗議運動のうねりはハバナ・ビエンナーレの時期に爆発し、タニア・ブルゲラやテレシータ・フェルナンデス、ワリッド・ラードなど、世界中から400人以上の美術関係者が、2020年にキューバ政府が行った人権侵害に拒絶の意を示す公開書面にサインをしている。
ハバナで絶えず警察の監視にさらされていたブルゲラは、#NoALaBienalDeLaHabana(ハバナ・ビエンナーレ反対)のハッシュタグでソーシャルメディアに拡がったボイコットキャンペーンの熱心な支持者だった。また、ジュリー・メレツ、シースター・ゲイツ、マリーナ・アブラモヴィッチ、キュレーターのハンス・ウルリッヒ・オブリストなどの著名人も、ビエンナーレのボイコット支持を公に表明していた。2021年11月時点で、この呼びかけに応じ、出展を取りやめるケースもあった。—Tessa Solomon
12. クラウス・ビーゼンバッハ、ロサンゼルス現代美術館を突然辞職
ロサンゼルス現代美術館(MOCA)は、今世紀に入って以来、ニューヨークから迎えた館長が立て続けに職を辞すという嵐のような時期を切り抜けてきた。ニューヨークのMoMA PS1の運営に10年以上携わってきたクラウス・ビーゼンバッハが2018年に任命された時、彼なら長く務めるだろうと考えた人は多い。しかしビーゼンバッハは、その短い在任期間中、シニアキュレーターに抜擢したミア・ロックス、コマーシャルギャラリーのレーゲン・プロジェクツに移ったブライアン・バルセナという二人の主要キュレーターと、人事担当ディレクターのカルロス・ビラモンテスを失うことになった。
2021年にビーゼンバッハはアーティスティックディレクターに任命されたが、これは実質的な降格だった。美術館側が、日々の管理運営や長期的なスタッフ対策を監督するエグゼクティブディレクターを探し始めていたからだ。理事会は結局、ニューヨークのニュー・ミュージアムで名を上げた後、2019年にオハイオ州コロンバスのウェクスナー芸術センターでエグゼクティブディレクターに就任したジョアンナ・バートンを起用した。
しかし、うまくいったかのように思われたのも束の間、1週間後にはビーゼンバッハがベルリンの二つの美術館、ノイエ・ナショナル・ギャラリーと今後開館予定の20世紀美術館の運営に携わるため辞職を発表。この移籍はMOCAの理事会にとっても驚きだったようで、彼を引き留めようと手を尽くしたという。バートンはその後すぐ、MOCAの総合ディレクターとして2021年11月に着任している。—Maximilíano Durón
11. 論争の的になったロバート・E・リー将軍像がついに撤去
2020年、ブラック・ライブス・マター(BLM)運動の中で、人種差別主義者を称えた記念像、とりわけ南部連合軍司令官で奴隷の所有者だったロバート・E・リー将軍像の撤去が要求された。2021年には多くの記念像が撤去されたが、馬に乗ったリー将軍像は中でも最大のもので、長年バージニア州のリッチモンドにある台座の上に立っていた。撤去を阻止しようとする訴訟が2件あったものの、リー将軍像は2021年9月に取り払われている。
銅像が台座から下された日、バージニア州知事のラルフ・ノーサム(当時)は次のように述べている。「公共の記念碑や記念像は、我々がどんな人間であるか、我々は何を尊重しているかの象徴です。奴隷制存続のために戦ったリーダーを称えるなら、長い間バージニアの重荷になってきた無駄な努力を称えることになってしまいます」。多くの人が待ち望んでいたこの銅像の撤去は、2021年における反人種差別運動が実を結んだことの証しだろう。—Shanti Escalante-De Mattei
10. アートマーケットでリアルイベントが再開
国際的アートフェアや一流オークションハウスが、コロナ禍で約2年間中断していたリアルイベントを再開した。2021年秋には世界最大のアートフェア、アート・バーゼルがスイスの街に戻り、アーモリー・ショーもニューヨークに戻ってきた。ただし、混雑緩和のための時間指定入場や感染防止のための規制が続いていることもあり、フェアの雰囲気は例年より静かなものだった。
一方、3大オークションハウスのクリスティーズ、サザビーズ、フィリップスは、ニューヨークや欧州、香港のセールスルームに参加者を呼び戻し、売買は活況を呈している。オークション部門で注目されたのは、サザビーズにおけるリンダ&ハリー・マックローコレクションのような、単一オーナーによる大型オークションの復活だ。マックローコレクションの競売では、何百人もが見守る中、6億7600万ドルという驚異的な金額が叩き出されている。コロナ禍が始まって以来、これほど活発な入札が行われ、これほどの高値がつくのは初めてのことだ。—Angelica Villa
9. ユネスコ、英国にギリシャへの大理石彫刻返還を勧告
2021年10月にパリで開催されたユネスコの諮問委員会は、英国政府に対し、ロンドンの大英博物館が所蔵する大理石彫刻の所有権について再考するよう勧告して年次総会を閉会した。文化財の返還論争の中でも最も長く燻っているこの事案にとって、これは大きな転機になる出来事だ。
問題の彫刻やレリーフは、ギリシャがオスマン帝国の支配下にあった1801年に、英国の外交官だったエルギン伯爵がアテネのパルテノン神殿から持ち出したものだ。英国政府は、彫刻はオスマン帝国との合法的な契約のもとに持ち帰られたとして返還を拒否。対するギリシアは、これは明らかに略奪事件であると主張している。英国政府は、彫刻が英国に持ち込まれた経緯に関する調査も拒否し、以来この問題は棚上げにされていた。しかし、ユネスコの勧告は、1984年からこの問題に関する働きかけを行ってきたギリシアに分があることを示している。—Tessa Solomon
8. サムスングループ総帥、李健熙(イ・ゴンヒ)のコレクションは韓国の美術館へ
世界中の美術館が厳しい環境におかれた年に、大きな収穫を得た美術館があったのは喜ばしいことだ。2021年4月、世紀の大オークションになったかもしれないものが、韓国の国立中央博物館と国立現代美術館(MMCA)の館長の言葉を借りれば、「世紀の大寄贈」になった。MMCAは、故人となったサムソングループの前会長、李健熙(イ・ゴンヒ)が所有する2万3000点のコレクションの寄贈先として名前が挙がった韓国の美術館の一つだ。
2020年にイ・ゴンヒが亡くなった後、遺族は12兆ウォン(104億ドル)を超える相続税に直面していた。200億ドルとも言われるコレクションの一部が2021年夏に公開された時には、ルノワール、ゴーギャン、ピサロといった世界的名作と並んで、劉永国(ユ・ヨングク)や、李仲燮(イ・ジュンソプ)、金煥基(キム・ワンキ)など、歴代の韓国人アーティストの作品も数多く展示された。—Sarah Douglas
7. 黒人女性が米国の美術館のトップに相次いで就任
2021年4月、シカゴ美術館で長年評議員を務めてきたデニス・ガードナーが、同美術館の次期理事長に選出されたことは、歴史的な出来事として大きな話題になった。11月に就任したガードナーは、シカゴ美術館を率いることになった初の女性であり、初のアフリカ系アメリカ人だ。
その後、これまで変化が少なかった美術館の理事会に関するニュースが相次いだ。9月には、シーナ・ホッジスがミネアポリスのウォーカー・アート・センターの会長に、スザンヌ・マクファイデンがテキサス大学オースティン校ブラントン美術館の理事長に、そして、コンスタンス・ライスが、シアトル美術館の理事長に就任。4人の黒人女性がトップの地位に就くというこの動きが、米国の主要な美術館にも広がるよう期待したい。—Maximilíano Durón
6. ルーブル美術館に初の女性館長が誕生
世界の一流美術館のリーダーが、今も、これまでも、ほとんど白人男性だということは誰もが知る事実だ。しかし、変化の兆しもうかがえる。228年の歴史を誇るパリのルーブル美術館が、ローランス・デ・カールを同館初の女性館長に任命したことだ。2014年からオランジュリー美術館を、2017年からはオルセー美術館を率いてきたデ・カールの評価は高く、今回の任命は大きな称賛を得た。
これまでデ・カールは、いくつもの刺激的な展覧会を実現している。その一例は、デニース・マレルがキュレーションし、話題を呼んだ「Black Models(黒人モデル)」展の拡大版をオルセー美術館で行ったことだ。「Black Models」では、エドゥアール・マネの有名な作品など、黒人を描いた絵画が数多く展示された。
2021年9月の就任から間もないため、デ・カールがこれまで同様の過激なエネルギーをルーブル美術館でも発揮するかどうかは未知数だ。しかし、彼女の就任は、展示内容も、組織運営も、めったに変化せず、あるいは変化のスピードが遅い美術館においては大きな前進だと言える。デ・カールはニューヨーク・タイムズに、「美術館の世界で、女性をめぐる状況は大きく変化しつつある」と語っている。—Alex Greenberger
5. 香港の新しい現代美術館、M+が満を持して開館
2021年11月、10年以上の準備期間を経て、香港の美術館M+がついにオープンした。6万5000平方メートルのスペースに、世界有数のコレクションを所有するウリ・シグから寄贈された1400点超の作品など、著名コレクターからの寄贈作品を揃え、規模、意欲ともにニューヨーク近代美術館(MoMA)に肩を並べる。
ヘルツォーク&ド・ムーロンの設計による逆T字型の建物の中にあるM+は、国際的な美術館の仲間入りを果たし、アートファンを集める場所になるだろう。しかし、M+が政治的に際どい問題、特に中国政府に関連するテーマに触れる作品を展示できるのかという疑問は残る。実際、艾未未(アイ・ウェイウェイ)の写真作品が政治的配慮のために公開できず、論争を巻き起こしている。M+がMoMAと肩を並べるという夢を実現できるかどうかは、今後も注視が必要だ。—Alex Greenberger
4. アート界を席巻したNFTブー
人々が家にこもっていた2020年の終わりの数ヶ月、暗号資産の強気相場で起きたビットコインやイーサリアム価格の急上昇に世界が注目していた。2021年に入って数ヶ月経つ頃には、当時ほとんど知られていなかった言葉が表舞台に登場し始めた。その言葉とは、「非代替性トークン(NFT)」だ。NFTは2010年代から存在していたが、つい最近まで、それが何であるか知っていたのはブロックチェーンマニアだけだった。
しかし、暗号資産の価格が急騰すると、イーサリアムで一山当てた相手にデジタルアートを売れば儲かりそうだと考える人も出てきた。ビープル(Beeple、本名:マイク・ウィンケルマン)の《Everydays: The First 5000 Days(エブリデイズ:最初の5000日)》(2021)がクリスティーズのオークションで6900万ドルという落札価格を付けて以降、アート界はもとより、世界中がNFTを真剣な目で見るようになっている。
デジタルアーティストにとって、NFTはまさに夢のような大変革だ。そして、従来のアーティストもすぐにその魅力に注目した。NFTの多くは、作品の取引が成立した直後に再販価格の10パーセントがアーティストの取り分になることを保証しているからだ。ただ、誰もが手放しで喜んでいるわけではない。批評家たちは、NFTのほとんどのアート作品は質が高いものではなく、市場ではいまだ白人男性が支配的で、詐欺や窃盗が横行していると批判する。しかし、この10億ドル規模の産業はまだ黎明期にある。今後どう発展するのか見守るのは非常に楽しみだ。—Shanti Escalante-De Mattei
3. クリストの夢、凱旋門を包むプロジェクトが実現
ジャン・シャルグランの新古典主義の象徴である凱旋門が、まるでミイラのように、あるいは道端に投げ出されたスクラップのように見えるこの作品は、長く記憶に残るものだ。クリストが何十年も前から取り組んできたプロジェクトが、彼の死後にようやく実現できたという事実も、作品に賛美の響きを与えている。
1995年にドイツ国会議事堂を梱包して以来、おそらく最も巨大な《Arc de Triomphe, Wrapped(梱包された凱旋門)》は、2021年に発表されたことで他の年なら起きなかったであろう感情を生じさせる。フランスの栄光の象徴を覆い隠すことは、文化財返還などの脱植民地化運動と符号し、 何もかもを押し黙らせるような梱包は、繰り返し行われるロックダウンを思わせる。—Sarah Douglas
2. メトロポリタン博物館、サックラーの名前を削除
2010年代後半、美術館・博物館が相次いでサックラー家からの寄付の受け取りを断る方針を発表した。世界有数の大富豪であるサックラー家は、鎮痛薬オキシコンチンの中毒性を十分認識しながら販売を続けていたことで訴訟になっていた。サックラー家は不正行為を否定していたが、2021年後半に45億ドルで和解。サックラー家が経営し、オキシコンチンを製造・販売していたパーデュー・ファーマ社は同年に解散した。
当時、サックラー家の名前を完全に削除するとしていた美術館・博物館はほとんどなかった。そのため、過去半世紀にわたり、同家から数百万ドルを受け取ってきたニューヨークのメトロポリタン美術館が、2021年12月にサックラーの名前を館内から全て削除すると発表したのは、重大な出来事だった。名前を外す中には、館内でも特に訪れる人の多いデンドゥール神殿が設置されているサックラーウィングも含まれている。
サックラー家は、「この美術館を支援したいと思う人たちにバトンを渡す」とコメントしている。メトロポリタン美術館がこうした対応に出た背景には、アーティストのナン・ゴールディンらの活動があり、2018年に彼女が率いるP.A.I.N(*1)グループが行った抗議行動は注目を集めていた。メトロポリタンの発表が報道された直後、ゴールディンは「We did it!(やった!)」とツイートしている。—Alex Greenberger
1. ドイツが他に先駆けてベニン・ブロンズ数百点の返還を開始
1897年に英国軍がベニン王国から略奪した青銅彫刻を巡る抗議活動が、ここ数年勢いを増していた。2021年、ドイツがベニン・ブロンズと呼ばれる数百点の青銅彫刻をナイジェリアに返還する計画を明らかにしたことは、美術館が抗議に耳を傾け始めた証だ。2021年4月に返還計画の発表が行われる前、すでに3月の時点でベルリンのフンボルトフォーラムは、所蔵するベニン・ブロンズを展示しないと述べている。開館して間もない同美術館にとっては、勇気ある宣言だった。
ドイツ政府はこれに追随するように、全面返還を公表している。返還したうちの何点かは、エド州のベニンシティで建設が計画されているEdo Museum of West African Art(エド・ミュージアム・オブ・ウェスト・アフリカン・アート)の開館時に展示されるという。このニュースは、驚きとともに歓迎すべきことと受け止められた。英国などと比べれば、ドイツが保有するベニン・ブロンズは少ない。にもかかわらず、他の国が倣うべき新しい基準を示したからだ。
実際、米国のメトロポリタン美術館と国立アフリカ美術館も、ドイツ政府による発表の数ヶ月後にベニン・ブロンズを返還している。ドイツの返還宣言は、西洋諸国の美術館が、ようやく植民地主義における自らの役割を認識し始めたことを示すとともに、世界中の多くの人々に将来のさらなる返還への期待を抱かせた。(翻訳:平林まき)
※本記事は、米国版ARTnewsに2021年12月13日に掲載されました。元記事はこちら。