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  • 2022.02.01

大噴火・津波被災のトンガに、アート団体が支援を要請

海底火山の大規模噴火で危機に陥ったトンガ王国を救おうと、海洋をテーマに活動するアート団体、TBA21-アカデミー(TBA21-Academy)が支援を呼びかけている。

提供:CIRA/NOAA/ロイター/アフロ

同団体のウェブサイトには次のように記されている。「専門家の推定によると、これは過去30年間で最大の噴火だ。その威力は広島に落とされた原爆の数百倍に相当し、衝撃波の音は750キロメートル以上離れたフィジーでも聞こえた。火山灰がトンガ全域を厚く覆い、飲料水を汚染し、農作物に被害を与えている。また、有毒な亜硫酸ガスが洋上を漂っており、その濃度は非常に高い値を示している」

TBA21-アカデミーは、被災地に心を寄せる世界の人々に寄付を呼びかけている。寄付は、2021年の東京五輪でトンガ選手団の旗手を務めたピタ・タウファトフア氏がGoFundMeで立ち上げたクラウドファンディングや、現地支部と連携しさまざまな支援活動を展開する国際赤十字を通じて行える。

TBA21-アカデミーの会長は、著名なアートコレクターでパトロンのフランツェスカ・ティッセン=ボルネミッサ氏。ディレクターはマルクス・レイマン氏が務めている。同団体は、トンガやその周辺で長年活動を続け、主催する航海に世界中のアーティストや科学者、思想家を招き、海洋環境の破壊という目に見える形で影響が現れている気候変動問題について共に考え、行動するよう促してきた。

そうした活動の成果の一例に、2018年の航海に参加したデンマークのアーティスト集団、Superflex(スーパーフレックス)が制作した21分のビデオ作品《Hunga Tonga(フンガ・トンガ)》がある。TBA21-アカデミーは、この作品をトンガ救済を呼びかける同団体のウェブサイトで公開している。

以前、Superflexのラスムス・ニールセンは、TBA21-アカデミーに関する記事でARTnewsの取材に応じてくれた。彼は、底知れぬ深さのトンガ海溝を航海した直後、その経験についてこう語っている。「あまりに波が高いので、まるで陸の風景の中を航海しているようだった。スケール感がつかめず、ひどい船酔いになり、足元ある水の量が多すぎて把握しきれないという感覚だった」

ティッセン=ボルネミッサ氏は、支援を呼びかける声明の中で次のように述べている。「とても親切で温かい心の持ち主であるトンガの人々は、気候変動の影響に悩まされています。大勢の人々が住む家や生活の糧を得る手段を失ったことに加えて、私が非常に懸念していることがあります。トンガの海は世界有数のザトウクジラの繁殖地で、それがこの国の観光産業の主な収入源となっています。いま必要とされているのは、トンガへの援助に加え、このすばらしい国を取り囲む豊かな海の科学的調査です。トンガの人々を支援するために、TBA21-アカデミーはあらゆる研究、リソース、人脈を結集し、効率的な支援策を考えています」(翻訳:野澤朋代)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年1月21日に掲載されました。元記事はこちら

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