匿名の寄付でSFの美術館が無料に。アートで街の空洞化にストップ!
匿名の寄付により、サンフランシスコの21の美術館が12月3・4日の週末に入場料が無料になると、 DATEBOOKが報じた。
同市はハイテク産業が盛んな地域だが、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響で多くの労働者が去り、オフィス空室率は年々上昇。2022年には20%を超え、立ち直りに苦戦している。
この街の芸術機関のリーダーたちは、「サンフランシスコ・フリー・ミュージアム・ウィークエンド」と名付けられたこのイベントが、街に市民を呼び戻す起爆剤になることを期待している。
アジア美術館の館長兼CEOのジェイ・シューは、 DATEBOOKのインタビューに対して、「サンフランシスコ・フリー・ミュージアム・ウィークエンドは、これ以上ないほど良いタイミングで開催されます。長らく続く困難から立ち上がるべく、ベイエリアの美術館のコミュニティが手を取り合い、人々とアーティストが再びつながる手助けをしたい」と語っている。
この「フリー・ウィークエンド」開催のきっかけは、ニューヨーク・タイムズ紙の報道だった。サンフランシスコがアートの中心地としての地位を失い、ゴーストタウン化したとするこの記事に対し、「メガギャラリーの流出にのみ注目し、地方の豊かなアートシーンを無視している」という異論が多く聞かれた。
サンフランシスコ美術館の館長兼CEOであるトーマス・P・ キャンベルは、 声明で次のように述べている。「経済的に困難で、政治的分断が起きているこの時代において、美術館は会話や考察をしたり、インスピレーションを得たりする貴重な場を提供しています。アートスペースへ足を運んでもらう機会を増やし、もっと気軽にアートを体験してもらうことが重要です」
効果は小さいかもしれないが、フリー・ウィークエンドの開催はアートを見る上での大きな障壁を可視化する試みでもあるのだ。
12月3日に入場料が免除されるのは、サンフランシスコ美術館(デヤング美術館、リージョン・オブ・オナー美術館)、カートゥーン美術館、クラフト&デザイン美術館、ウォルト・ディズニー・ファミリー美術館、カリフォルニア科学アカデミー、GLBT歴史協会博物館、アメリカン・ブックバインダーズ・ミュージアム、レターフォーム・アーカイブ、SF カメラワーク、マカヴォイ芸術財団、トロールセンマーモア眼科博物館、インスティテュート・オブ・コンテンポラリー・アート・サンフランシスコ、そしてミネソタ・ストリート・プロジェクト、12月4日は、サンフランシスコ近代美術館、現代ユダヤ博物館、アフリカン・ディアスポラ博物館、ヤーバ・ブエナ・センター・フォー・ジ・アーツ、子供創造博物館、アジア美術館、エクスプロラトリアムの予定だ。
期間中、サンフランシスコ近代美術館ではディエゴ・リベラとジョーン・ブラウン、アジア美術館はバーニス・ビンの特別展が開催されるが、いずれも入場は無料。(翻訳:編集部)
*from ARTnews