ダライラマから贈られた菩提樹付き! ポール・アレンが所有したジョージア・オキーフ邸が売り出し中
2000年にポール・アレンが購入した邸宅「Sol y Sombra(太陽と影)」は、ジョージア・オキーフが98歳で亡くなるまで暮らした家。2021年から売りに出されているが未だ買い手がついていないこの家の魅力を、写真とともに紹介する。
マイクロソフトの共同創業者、ポール・アレンが2000年に1200万ドル強(現在の為替で約16億円)で購入した邸宅は、かつてジョージア・オキーフが暮らした家でもある。2018年のアレンの死後、同氏の資産を管理しているポール・アレン・エステートは保有資産の売却を開始し、彼が所有していた芸術作品はオークションで合計15億ドル(約20億円)で落札され、個人コレクションでは過去最高額を記録した(収益のほぼすべてはチャリティーに寄付された)。
そのアレンが所有していたニューメキシコ州サンタフェにある20エーカー(約8ヘクタール)の敷地に建つ大邸宅は、オキーフが98歳で亡くなるまで暮らしたアドベ(砂質粘土やわらからなる天然建材)造りの家で、「Sol y Sombra(太陽と影)」と呼ばれていた。2021年から売りに出されているが、まだ買い手は見つかっておらず、希望価格を2260万ドルから1500万ドルへと引き下げたばかりだ。
「Sol y Sombra」が素晴らしい歴史と魅力に溢れた邸宅であることは確かだが、他のオキーフゆかりの物件、例えばニューメキシコ州タオスにあるアトリエハウスや、同じくニューメキシコ州アビキウにあるオキーフ美術館には残念ながら劣るのもまた事実。アビキウの美術館の一角はかつてオキーフの住居としても使用され、今もミッドセンチュリーモダンの家具をはじめ、彼女のスタイルセンスとライフスタイルがそのまま残されている。対する「Sol y Sombra」はアドベ壁とむき出しの木の梁が印象的ではあるが、アレン流に一部が改修されていたり家具が入れ替えられており、オキーフらしさはあまり残っていない。
しかしこの家には、特別な樹木がある。釈迦がその下に座って悟りを開いたと言われる菩提樹だ。これは、1991年にダライラマがポール・アレンに贈った種から約30年かけて育った若木で、この家の次の住人は、アレンのサボテン・コレクションと一緒にこの菩提樹も所有することになる。(翻訳:編集部)
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