世界唯一のフランク・ロイド・ライト設計プラネタリウムが復活! 20年ぶりに一般向け上映を再開
- TEXT BY ARTNEWS JAPAN
フランク・ロイド・ライトが設計した世界唯一のプラネタリウムが、米フロリダ・サザン大学で20年以上ぶりに一般向け上映を再開した。歴史的な空間を修復し、新たな映像・音響設備を導入。建築と宇宙の魅力に触れる体験を提供する。

フロリダ・サザン大学(Florida Southern College、以下FSC)は9月26日、フランク・ロイド・ライト(1867–1959)設計のプラネタリウムの修復を終え、20年以上ぶりに定期的な一般向け上映を再開した。
1883年創立のFSCには、1938年に始まったキャンパス計画に基づく建築群など、ライト設計の建築物が13棟ある。1カ所に集まるライト建築としては世界最大規模を誇り、ポーク科学棟内には、彼の設計に基づいて実際に建設された唯一のプラネタリウムがある。
同施設は1954〜1958年に建設され、1960年4月7日に初上映を行った。大学の天文学教育を支えるとともに、学校の校外学習や一般来場者も受け入れてきたが、2004年に投影システムが故障。その後、修復事業が始まるまで、利用は限定的なものにとどまっていた。
ライトは、FSCの計画にプラネタリウムを組み込む以前から、数十年にわたりその設計を構想していた。科学棟の当初の計画には、一般の人々が学べる空間が複数含まれていた。そこには、大学は学生だけでなく、周辺地域にも学びの機会を広げるべきだという信念が反映されている。





今回の再公開は、段階的に進められてきた修復事業の集大成となる。外装の修復にはフロリダ州と民間の資金が、内装の修復には連邦政府の文化遺産保護助成事業「Save America’s Treasures」と民間寄付者の資金が充てられた。直近の工事もフロリダ州の支援を受け、COSMの新しい投影システムとBowenの音響システムを導入。歴史的な空間を修復するとともに、現代の上映に対応する設備を整えた。
一般向け上映は、毎週火・木・土・日曜日の午後3時30分から行われている。上映作品は「宇宙の冒険(Cosmic Adventure)」「火星へ:新たなフロンティア(Destination Mars: The New Frontier)」「地球から宇宙へ(From Earth to the Universe)」「神と科学、そして生きる意味を探す私たち(God, Science, and Our Search for Meaning)」「宇宙のオアシス(Oasis in Space)」「未知の世界:太陽系の外を探る(Undiscovered Worlds: The Search Beyond Our Sun)」の6作品で、月ごとにプログラムを入れ替える。
各作品の上映時間は約20〜32分。上映前には、ライトが設計した空間の歴史と意義を紹介する解説があり、全体の所要時間は約60〜90分となる。料金は1人20ドル(約3200円)で、大学が実施するライト建築の見学ツアーとは別料金だ。
FSCで観光事業と来訪者向けサービスを統括するトリー・キングは、再公開についてプレスリリースで次のように述べた。
「プラネタリウムの再公開は、フロリダ・サザン大学の歴史の重要な一部をよみがえらせるとともに、学生や地域の人々に新たな機会をもたらします。建築の修復によって空間が本来の姿を取り戻し、新しい技術の導入によって、教育施設としての本格的な活用と一般公開を再開できるようになりました」

フランク・ロイド・ライト設計の名住宅、2億6000万円で売りに──「圧縮と解放」の思想を体現
フランク・ロイド・ライト(1867-1959)が手がけたテネシー州唯一の住宅「シーモア&ガート・シェイヴィン邸」が、オーナー一族によって初めて売りに出された。価格は160万ドル(約2億6000万円)。
Photo: Courtesy of Alliance Sotheby’s International Realty

シーモア&ガート・シェイヴィン邸内部の様子。Photo: Courtesy of Alliance Sotheby’s International Realty

シーモア&ガート・シェイヴィン邸の外観。Photo: Courtesy of Alliance Sotheby’s International Realty

フランク・ロイド・ライトの傑作「落水荘」、11億円の大規模修復が完了へ──「不確かな未来」に対応
フランク・ロイド・ライト(1867–1959)の代表作アメリカ・ペンシルベニア州の森の中、ベア・ラン川の約9メートルの滝の上に建てられた「落水荘」の3年に及ぶ大規模修復・保護プロジェクトが、今年4月に完了見込みだ。約700万ドル(約11億円)を投じたこの修復は、同邸の構造的欠陥や「不確かな未来」に対応する重要な取り組みだ。
Photo: Chris Melzer/picture alliance via Getty Images

足場が組まれた落水荘。Photo:Instagram/visitfallingwater

フランク・ロイド・ライト最晩年の傑作が14億円で販売。グッゲンハイム美術館のDNAを受け継ぐ円形建築
フランク・ロイド・ライト(1867–1959)が最晩年に手がけた住宅「ノーマン・ライクス邸(通称サーキュラー・サン・ハウス)」が売りに出された。現在はAirbnbで宿泊も可能なこの名作建築の価格は、約880万ドル(約14億円)に設定されている。Photo: Courtesy Realty ONE Group
ノーマン・ライクス邸リビングルーム。Photo: Courtesy Realty ONE Group
ノーマン・ライクス邸外観。Photo: Courtesy Realty ONE Group
俯瞰図。Photo: Courtesy Realty ONE Group
危機に瀕したフランク・ロイド・ライト「ウォルサー邸」が再生へ──差し押さえから地域ぐるみの保存プロジェクト始動
荒廃が進み、差し押さえによって存続が危ぶまれていたフランク・ロイド・ライト設計の「J.J.ウォルサー・ジュニア邸(ウォルサー邸)」は、一時、連邦住宅抵当公社(通称ファニーメイ)の所有となった。その後、シカゴ市の支援を受けた地元の非営利団体が建物を取得し、修復・活用に向けた新たな一歩を踏み出した。

J.J. ウォルサー・ジュニア邸の様子。Photo: Frank Lloyd Wright Building Conservancy.
フランク・ロイド・ライト「カリル邸」が国家歴史登録財に。「当時のまま」の保存状態を評価
1957年にフランク・ロイド・ライト(1867-1959)が設計したアメリカ・ニューハンプシャー州の住宅、トゥフィック H. カリル邸が国家歴史登録財に指定された。Photo: Currier Museum of Art.
無許可で売却されたフランク・ロイド・ライトの家具を保存団体が取得。散逸防止の「画期的な一歩」
アメリカ・オクラホマ州バートルズビルに建つプライス・タワーは、フランク・ロイド・ライト唯一の高層ビル。そこから許可なく売却されてしまったオリジナル家具などを、ライト建築の保存団体が取得した。このビルをめぐっては、昨年後半にが起きていた。Photo: Getty Images/iStockphoto

プライス・タワーの銅製レリーフ(左は緑青なしの状態)。2006年にワシントンD.C.の国立建築博物館で開催された巡回展より。Photo: Nikki Kahn/The The Washington Post via Getty Images
フランク・ロイド・ライト初期の傑作が2億8000万円で販売! 革新的なアイデア満載の大邸宅
フランク・ロイド・ライト(1867-1959)の初期の傑作で、革新的な建築として知られるアメリカ・イリノイ州のエリザベス&ロリン・ファーベック邸が販売された。価格は197万5000ドル(約2億8000万円)Photo: Courtesy Berkshire Hathaway Home Services of Chicago.
エリザベス&ロリン・ファーベック邸の裏面。木造の梁を使い、落ち着いた外観になっている。Photo: Courtesy Berkshire Hathaway Home Services of Chicago.

エリザベス&ロリン・ファーベック邸内部の様子。Photo: Courtesy Berkshire Hathaway Home Services of Chicago.
フランク・ロイド・ライト設計の名邸宅、世界遺産登録抹消を免れる。予算復活で運営人員を確保
ロサンゼルス市の予算削減で、約100年前に建てられたフランク・ロイド・ライトの名作住宅の世界遺産登録取り消しが懸念されていた。しかし、同市市議らによる予算復活の努力が実り、危機は回避されることになった。Photo: Barry Winiker/Getty Images

ホリーホック・ハウスの内部。Photo: Lonely Planet/Getty Images
サザビーズの春のイブニングセールは冷え込む市場下で上々の結果。ジャコメッティはまさかの不落札
サザビーズ・ニューヨークで行われたモダンアートのイブニングセールでは、高値を予想された目玉作品のジャコメッティの胸像がまさかの不落札なるという番狂わせが起きた。対照的な激しい入札合戦が繰り広げられたのがランプのオークションだった。フランク・ロイド・ライトが1904年にデザインした《ダブル・ペデスタル・ランプ》10分間の競り合いの末、750万ドル(約11億円)で落札された。これは2023年に樹立されたライトのオークション記録の2倍以上にあたる。
Photo: Courtesy Sotheby's
イリノイ州スプリングフィールドのスーザン・ローレンス・ダナ邸のためにフランク・ロイド・ライトがデザインした《ダブル・ペデスタル・ランプ》。
このランプは2点しか制作されておらず、もう1点はダナ・トーマス・ハウス財団資料館の所蔵品になっている。
Photo: Courtesy Sotheby's

フランク・ロイド・ライト設計の邸宅が10億円で売り出し中! 自然光あふれる物件の特徴は?
アメリカ・オクラホマ州で、希少価値の高いフランク・ロイド・ライト設計の邸宅が修復され、売りに出された。この物件はライトの従兄弟のために建てられたもので、ライトの設計した住宅の中でも最大級。6000平方メートルの敷地に建つ邸宅の面積は約970平方メートルある。
Photo: Sarah Strunk Photography

Photo: Sarah Strunk Photography
