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Netflix「BEEF/ビーフ〜逆上〜」出演のアーティスト、過去のセクハラ問題で大炎上

Netflixで話題のドラマ「BEEF/ビーフ〜逆上〜」に出演しているロサンゼルスのグラフィティアーティスト、デヴィッド・チョーが大炎上中だ。2014年のポッドキャストで語った過去の「レイプ的な行動」が掘り起こされ、波紋を呼んでいる。

ハリウッドのNetflix TUDUMシアターで行われたドラマ「BEEF/ビーフ〜逆上〜」のプレミアに出席したデヴィッド・チョー(2023年3月30日撮影)。Photo: Rodin Eckenroth/FilmMagic

スティーブン・ユァンとアリ・ウォンが主演するNetflixドラマ「BEEF/ビーフ〜逆上〜」は、4月6日に配信開始されると瞬く間に人気番組になった。ドラマを制作したプロダクションのA24は、3月に開催された2023年アカデミー賞で16部門の賞を受賞している。

デヴィッド・チョーはこのNetflixドラマに出演しているだけでなく、各エピソードのタイトルバックの絵も描いている。ドラマを制作したイ・サンジンはNBCの番組「トゥデイ」で、ユァンとウォンに相談した結果、アイザック役のオーディションにチョーを呼んだと話している。ユァンとウォンはドラマの共同エグゼクティブ・プロデューサーでもあり、チョーの友人でもある。

チョーは、2005年にフェイスブック(現メタ)の本社ビルに壁画を描き、その報酬をストックオプションで受け取ることを選択して話題となった。2012年5月の同社のIPOによって、チョーが所有する株式の価値は2億ドル(当時の為替レートで約160億円)に上ると推定された。

しかしドラマ配信が始まってまもなく、調査報道を手がけるRevealのレポーター、アウラ・ボガードが、チョーが2014年4月に自身のポッドキャスト「DVDASA」で話したエピソードの動画をツイッターに投稿すると、物議を醸すことに。さらにジャーナリストのハンナ・ベイが4月5日にサンフランシスコ・クロニクル紙にドラマの批評記事を寄稿し、チョーの問題発言が大炎上することとなった。

というのも、チョーはこのポッドキャストの中で、「ローズ」というマッサージ師に施術中にオーラルセックスを強要したエピソードを披露したのだ。チョーと一緒に司会を務めていたポルノ女優のアサ・アキラは、この発言に対し「つまり彼女をレイプしたということ?」と聞くと、チョーはまるで自身を「成功したレイプ犯」と自認しているかのような回答をした。しかしチョーは、その後すぐに「レイプ的であることは認めるが、私がレイプ犯ではないことをはっきりさせたい」と釈明して終わった。

4月16日にボガードは、デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく著作権所有者の申し立てにより、ポッドキャストの動画が削除されたことをツイートしたが、そこに添付したスクリーンショットには、著作権者としてチョーとその非営利財団が記載されていた。やはり動画を投稿したライターのミーチャム・ホウィットソン・メリウェザーも、同じ理由でツイートを削除されている

2014年に問題のエピソードが配信された当時も、XOJaneやバズフィードニュースなどのメディアがチョーの問題発言を報じていた。配信の数日後、チョーは番組のウェブサイトでこの疑惑に答え、自分はレイプ犯ではなく、むしろレイプ犯たちを憎むと述べている。そして、自分はアーティスト、ストーリーテラーであり、DVDASAポッドキャストは「自分のアートの延長線上にあるもの」だと語った。

「わたしに罪があるとするなら、挑発的な話し方をしてしまったことだろう。自分の作品は誤解されがちだが、ポッドキャストでも同じことが起きた。わたしはポッドキャストで、友人や番組の共演者をわざと挑発している。トークバトルを楽しんで、笑いあう番組だからだ。ダークで悪趣味で、まったく不遜な番組で、リスナーや共演者同士で丁々発止とやり合う。ストーリーを作り、語る番組であり、ニュース番組ではない。つまりそこにリアリティはなく、わたしやわたしの人生について信頼できる情報を得る場でもない。番組は自分の世界における現実ではあるが、アートでもある。この話が事実だと思った人がいたとしたら、申し訳ない。そうじゃないんだ。下品な人間だらけの世界を神様がお守りくださることに感謝します」(翻訳:清水玲奈)

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