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  • 2023.04.28

2023年ターナー賞の候補者4人が決定! 「アイデンティティやコミュニティのレジリエンスを高らかに表現」

世界有数の芸術賞、ターナー賞が2023年の受賞候補者4人を発表した。同賞はイギリスの現代アーティストに贈られるもので、毎年世界的な注目を集める。

バーバラ・ウォーカー《Burden of Proof》(2022) Photo: Danko Stjepanovic

INDEX

今年のターナー賞受賞候補者は、ジェシー・ダーリング、ジスレーヌ・レオン、ローリー・ピルグリム、バーバラ・ウォーカーの4人。9月には、イースト・サセックスのアートスペース、タウナー・イーストボーンで開かれる同賞恒例の展覧会に、全員の作品が展示される。

ダーリングは、人体の脆さを表現した彫刻で、ジェンダー障がいに関連する問題に焦点を当てることが多い。最近のカムデン・アートセンターとモダンアート・オックスフォードでの個展が、ノミネートの理由となった。

レオンの作品は非常にコンセプチュアルなもので、しばしば労働という概念をテーマにしている。最近、ニューヨークのエセックス・ストリート・ギャラリーで行われた個展では、ベビーゲートやベビーモニターなどを用いた作品が展示されたが、彼女はこれを「母親として、アーティストとしての抵抗的な選択」と呼んでいる。この個展は、レオンがスタジオにいる時間帯のみ一般に公開されるという点で特徴的だった。ターナー賞ノミネートの決め手になったのは、デンマーク・コペンハーゲンのアートセンター、シミアンでの個展だ。

絵画作品で知られるピルグリムだが、今回ノミネートされたのは、ロンドンサーペンタイン・ギャラリーおよびバーキング・ホールの依頼で制作された《RAFTS》だ。パフォーマンス、サウンド、映像で構成されるこの作品は、コロナ禍の時代の連帯感やメンタルヘルスについて考察している。今年後半には、ロンドンのチゼンヘイル・ギャラリーでの個展が予定されている。

ウォーカーは現在、アラブ首長国連邦で行われているシャルジャ・ビエンナーレに参加している。今回のノミネートもこれが理由となったが、展示されているのは、イギリスでウィンドラッシュ世代と呼ばれるカリブ海地域から来た移民たちの大規模な肖像画だ。彼女の作品には、イギリスで暮らす黒人を壮大なスケールで描く作品が多い。

イギリス最高峰の美術賞と言われるターナー賞は、しばしば論争の的になる。早くからコンセプチュアル・アートを高く評価してきたことが、一般大衆の間に賛否両論を巻き起こす一因だ。過去の受賞者には、ヴォルフガング・ティルマンス、クリス・オフィリ、アニッシュ・カプーア、マーク・レッキー、ルバイナ・ヒミド、ヴェロニカ・ライアンなどがいる。

同賞の審査委員長を務めるテート・ブリテンのディレクター、アレックス・ファーカソンは声明でこう述べている。「ターナー賞が社会に提示するのは、今、イギリスで活躍する才能あるアーティストたちの姿です。彼らはそれぞれ、人生における光と影や矛盾を探求し、コンセプチュアルで政治的な問題を、あたたかさや遊び心、誠実さ、やさしさと組み合わせ、個人のアイデンティティやコミュニティのレジリエンスを高らかに表現しています」

今年の受賞者の発表は12月5日に予定されている。(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

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