テート・モダン、史上2人目の女性館長が誕生。北欧最大級の芸術施設オープンの手腕を評価
テート・モダンの次期館長に、現オスロ国立美術館館長のカリン・ヒンスボーが選出された。現館長に続き史上2人目の女性リーダーとなる。
初の女性館長は、2016年から務める現職のフランシス・モリス。ヒンスボーは彼女に次ぐ形で、2023年9月に就任する。
ヒンスボーは、オスロ国立美術館館長時代に、ノルウェーが運営する複数の多様な施設をまとめると同時に、同館を大幅に拡張し、北欧最大の芸術施設とする壮大なプロジェクトを手掛けた。
ヒンスボーの選出について、テートミュージアムネットワークのディレクターであるマリア・バルショーは声明で、「世界的なパンデミックの中で実現したオスロの新しい国立美術館の成功は、彼女のリーダーとしての手腕を証明するものです。国や国境を越えた芸術の生態を表現するための彼女の多様なアプローチは、テート・モダンの理念と見事に合致しています」と述べている。
構想30年の末、2022年6月にリニューアルオープンしたオスロ国立美術館は、敷地面積を5万4000平方メートル以上拡張し、7億ドル(956億円)以上を費やした。パリのルーブル美術館やサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館に次ぐ規模の美術館のオープンは、世界的に報道され好評を博したが、建設期間中は、拡張工事を行うノルウェーの業者との問題が大きく報道され、論争になった。
それ以前にも、評論家のラース・エルトンが「Dagsavisen」誌に寄稿し、ヒンズボは夫である元保守党の政治家のコネクションで仕事を得たと主張し、彼女の経営スタイルも批判した。一部で批判が起こる中、ヒンスボーはエルトンの批評を「ミソジニー的」と反論している。
ヒンスボーは2017年にオスロ国立博物館に赴任する以前、コペンハーゲンのDen Frie Centre for Contemporary Art、Kunsthal Aarhus、クリスチャンサンドのSørlandets Kunstmuseum、ベルゲンのKodeなど、デンマークの複数の美術館を率いており、近現代美術を扱う経験を積んでいる。また、デンマークの情報誌「Øjeblikket」の編集長も務めていた。
彼女は、館長就任の決定に際して、声明で以下のように語っている。
「テートの、熟練したスタッフの一員となることに、この上ない喜びを感じています。テート・モダンは私にとって常に特別な場所であり、そこで素晴らしい芸術に出合うという最高の経験をしてきました。私は、現在進行中の壮大なプロジェクトを継続し、広く多様な観客のためにユニークで刺激的な美術館を作り上げたいと思っています」(翻訳:編集部)
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