大切な人に贈りたい、アートブック5選

大切な人へのギフトに、お気に入りアーティストの作品集はどうだろう? 現在、国立近代美術館で16年ぶりの大回顧展が開催中の大竹伸朗の最新刊から、限定発売されたバンクシーの作品集まで、ギフトシーズンにぴったりのアートブックを厳選して紹介する。

1. 草間彌生『草間彌生 わたしの芸術』

草間彌生『草間彌生 わたしの芸術』(2019年/グラフィック社)

日本を代表する現代アーティスト、草間彌生の生い立ちから90歳の新作までを網羅した本作品集は、草間作品や草間の人生を読み解く上で欠かせない必読書。今年93歳になる草間は、水玉模様を描き続けることで幼少期から体験した幻覚や幻聴と向き合ってきた。絵画やソフト・スカルプチュア、鏡を用いたインスタレーションなどで世界を魅了する草間の芸術を、インタビューや専門家の作品・作家検証などで探求し、アート初心者も長年のファンも納得させるボリューム満点の一冊。

2. 横尾忠則『横尾忠則全ポスター』

横尾忠則『横尾忠則全ポスター』(2010年/国書刊行会)

1980年にニューヨーク近代美術館の「ピカソ展」に衝撃を受け、「画家宣言」をした横尾忠則だが、それ以前は20年以上グラフィックデザイナーとしてポスターの制作を中心に活動していた。本作品集は、横尾が高校2年生だった1953年から2010年までに制作した全ポスター約900点を収録。ビートルズや沢田研二などのポップスターをはじめとする大衆文化を横尾の独創的な世界観と色使いで表現するポスターは、見る者に懐かしさと活力を与えてくれる。「画家宣言」前後の作風の比較も、本書を楽しむポイントの1つ。

3. 大竹伸朗『銅の時代 1978-2022』

大竹伸朗『銅の時代 1978-2022』(2022年/カルチュア・コンビニエンス・クラブ)

1980年代にアーティストデビューした大竹伸朗は、絵画、版画、彫刻、映像、絵本、インスタレーション、巨大な建造物など、型にはまらない独自の創作活動を精力的に行い、海外でも高い評価を得ている。2022年秋に発売されたばかりの本書は、大竹が美⼤⽣時代から取り憑かれてきた「線」の魅⼒を表現したエッチング作品集。「線」から繰り出される⾳楽、旅などの多様なモチーフに大竹らしさが存分に体現されている。また、版画と自身の関係を語ったエッセイやロングインタビューなど、マルチに活躍する大竹ならではのアプローチで読者を魅了する圧巻の一冊。

4. 李禹煥李禹煥

李禹煥『李禹煥』(2022年/平凡社)

韓国に生まれ、日本の大学で学んだ李禹煥(リ・ウファン)は、1960年代後半から「もの派」を代表する現代アーティストとして制作活動を続けている。本書は、その初期作品から最新作までを集めた、国立新美術館、兵庫県立美術館での展覧会公式図録。李は「作らない」ことを基本とし、自然界のありのままの物質を用いた作品を通じて「もの」との関係性を問いかける。そこには、見る者の心に平穏をもたらす簡素で静謐な魅力が詰まっている。

5. バンクシー『BANKSY CAPTURED by STEVE LAZARIDES Vol.1 2nd edition』

バンクシー『BANKSY CAPTURED by STEVE LAZARIDES Vol.1 2nd edition』(2020年/バンクシーオフィシャルECサイト)

11月にウクライナの首都キーウで、男性2人組だという目撃情報が出たバンクシー。世界中で絶大な人気を誇るアーティストだが、その素顔を知る者はほとんどいない。本書はバンクシーと11年間仕事をともにしてきたスティーブ・ラザリデスが、本人を捉えた写真や未発表作を収録した写真集。世界数量限定発売の本書を手にすれば、謎に包まれたバンクシーの姿を目にすることができる。

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