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  • 2023.01.20

現代アートやファッション関連のお宝が約400点。VOGUEの名物エディターの遺品がオークションに

US版VOGUEの編集長アナ・ウィンターの右腕として、また、アフリカ系アメリカ人として初めて同誌のクリエイティブ・ディレクターを務めたアンドレ・レオン・タリー。昨年1月に死去した彼が遺した美術品やデザイン画などがクリスティーズオークションに出品されることになった。

歓談するアンドレ・レオン・タリー(左)とアンディ・ウォーホル(中央)。ビアンカ・ジャガー(右)の誕生日を祝うディナーパーティにて(1981年、ボブ・コラセロ撮影)。Photo: Courtesy Christie's

2022年1月に73歳で亡くなったアンドレ・レオン・タリー。ファッション界に風穴を開けた人物として知られる彼の遺品から、プラダグッチルイ・ヴィトンといったラグジュアリーブランドのトランク、ローブ、サングラスなどが、遺言執行人によって来月売りに出される予定だ。

タリーは、ファッションやアート、メディア業界をはじめ幅広い人脈があり、今回オークションに出品される400点近い遺品がそれを物語っている。遺品の一部は、タリーが理事を務めたサバンナ芸術工科大学に寄贈される。

2月15日にクリスティーズ・ニューヨークで行われるオークションでは、総額100万ドル(約1億3000万円)の値が付くと予想されており、売却益は、歴史的に黒人信者の多い2つの教会の支援に充てられる。

出品される遺品にはアンディ・ウォーホルのシルクスクリーン版画3点も含まれ、予想落札価格はそれぞれ1万5000~2万ドル(約195万〜260万円)。そのうちの1点は、タリーの師である伝説のファッションエディター、そしてメトロポリタン美術館コスチューム・インスティテュートのディレクターも務めたダイアナ・ヴリーランドがモデルのものもある。

アンディ・ウォーホル《ダイアナ・ヴリーランド(ジャック・ルイ・ダヴィッド「サンベルナールのナポレオン」以後)》Photo: Courtesy Christie's

ヴリーランドは、他の出品作品にもたびたび登場する。たとえば、ファッション写真界の巨匠、ホルスト・P・ホルストが1979年に撮影した写真では、マンハッタンの自宅にある真っ赤な部屋のソファーにヴリーランドが横たわっている。ちなみにこの部屋は、「地獄の庭」と呼ばれていた。

まだ若いタリーが、アンディ・ウォーホルやビアンカ・ジャガーと一緒にディナーに出席している1981年の写真は、Interview誌のエディターで、ウォーホルのアトリエ兼サロン「ファクトリー」のメンバーでもあったボブ・コラセロが撮影したもの。また、Andy Warhol's Interview誌(のちのInterview誌)の創刊10周年記念品で、黒い筆記体の誌名があしらわれた黄色のキャスター付きマガジンケース2点も出品される予定だ。

このほかにも、イヴ・サンローランによるコラージュ作品や、ヴィヴィアン・ウエストウッドのローブ、カール・ラガーフェルドによるスケッチなど、ファッション界の歴史的人物によるアートワークやデザイン画も多数出品される。ラガーフェルドは、メトロポリタン美術館コスチューム・インスティテュートで行われる2023年メット・ガラのテーマにもなっている。(翻訳:石井佳子)

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