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  • 2023.03.10

今週末に見たいアートイベントTOP5: 西野達の巨大な新作が登場「オオサカアートフェスティバル」、日本初公開作品も展示「シャルロット・デュマ」展

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

シャルロット・デュマ「Ao 青」(小山登美夫ギャラリー六本木)より、シャルロット・デュマ《Avis》(2021)c-print framed in walnut wood without glass 50.0 x 40.0 cm e.d. 1/7 ©︎Charlotte Dumas

1. 六本木クロッシング2022展:往来オーライ!(森美術館)

⻘⽊野枝「coreシリーズ」2022年 Courtesy: ANOMALY(東京)

22組のアーティストを通して、アートシーンの今を観測

森美術館が3年に1度、日本の現代アートシーンを総覧するシリーズ展「六本木クロッシング」。7回目となる今回は、1940年代から90年代生まれの日本のアーティスト22組による、約120作品を展覧。ベテランと気鋭の若手美術家の創作活動が、会場でクロスする。

誰もが自己や他者、生活環境を改めて見つめ直したコロナ禍を経て開かれた本展。「新たな視点で身近な事象や生活環境を考える」「さまざまな隣人と共に生きる」「日本の中の多文化性に光をあてる」の3つのトピックで展示を構成する。市原えつこは、未来の回転寿司店を具現化した大型インスタレーションを披露。金川晋吾の、失踪していた伯母を再会後から撮り続けたポートレート写真や、キュンチョメによるトランスジェンダーが主題の映像作品なども。そのほか参加作家は、AKI INOMATA、青木千絵、青木野枝潘逸舟、伊波リンダ、池田宏、猪瀬直哉、石垣克子、石内都、松田修、呉夏枝、O JUN、折元立身、進藤冬華、SIDE CORE / EVERYDAY HOLIDAY SQUAD、竹内公太、玉山拓郎、やんツー、横山奈美。

六本木クロッシング2022展:往来オーライ!
会期:2022年12月1日(木)~2023年3月26日(日)
会場:森美術館(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階)
時間:10:00 ~ 22:00 (3月21日を除く火曜は~17:00、入場は30分前まで)


2. KOBE Re:Public Art Project(新港地区特設会場、KIITOほか神戸市内各所)

テーマは人新世。アーティストが「パブリック」に存在する「アート」を発見

「神戸の多様な“風景”、“場所”、“建物”がアートとなりうる」という考えのもと、音楽家や美術家ら23組が神戸市内に滞在し、神戸の魅力を再発見するプロジェクト。各自の視点でリサーチした神戸の姿や、それを基にしたアート作品を市内各所で発表する。リサーチのテーマは、地質学における“人類の時代”を指す「人新世」。

大正15年に建てられた港湾倉庫をメイン会場とし、小金沢健人による神戸の坂道と港に着想した照明のインスタレーションなどを展示。デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)では、各アーティストのリサーチ結果を公開する。大倉山公園では冬木遼太郎が、伊藤博文像の台座にあるスイッチを入れると48時間後に点灯する作品を通して、人類が自然環境に与える影響は時間差で不特定多数の人に訪れることを提示する。以上はいずれも3月12日(日)まで。3月18日(土)18:00~と19日(日)16:00~、入江地域福祉センターで、音楽家や服飾家らで構成する「仕立て屋のサーカス」が、光と音のライブパフォーマンスを行う。

KOBE Re:Public Art Project
会期:2月22日(水)~3月19日(日)
会場:KOBE Re:Public Art Project特設会場(兵庫県神戸市中央区新港町7)ほか市内各所
時間:会場により異なる


3. ねこのほそ道(豊田市美術館)

佐々木健《ねこ》(2017) 油彩、カンヴァス Courtesy of the artist and Gomike

「猫的」な視点で解釈するアートと建築

長い進化の過程で人間と暮らすようになりながら、野生を失わずにあるがままの道を歩む、猫。独特な空間認識能力や倫理観を持ち、自由で、時にナンセンスな「猫的なるもの」をひそませる現代美術にスポットを当てる。人間の視点からずらしてアートを見ると、違った世界が立ち現れる。

本展では6人の美術家と1組の建築家を紹介。雑巾やテニスボールのような、通常絵画の主題にならないものにも等しく眼差しを向ける佐々木健は、背景のない猫の写実画を出展。中山英之+砂山太一は、各部屋が岩でできた住宅模型や、石の家具に見立てた紙製の作品《かみのいし》を並べ、空間に変容をもたらす。ほかに泉太郎、大田黒衣美、落合多武、岸本清子、五月女哲平が参加。

ねこのほそ道
会期:2月25日(土)~5月21日(日)
会場:豊田市美術館(愛知県豊田市小坂本町8-5-1)
時間:10:00 ~ 17:30 (入場は30分前まで)


4. オオサカアートフェスティバル(大阪府立江之子島文化芸術創造センターほか大阪府内各所)

Art in the City NAKANOSHIMA 西野 達《永遠に続くわけがない》 Photo: 麥生田兵吾

大阪を美術で巡る3日間、西野達の巨大な新作も路上に出現

2025年に大阪・関西万博を控える大阪府が、「アートエキシビション&フェア」「アート×都市」「アートdeまちめぐり」の3つのアートプログラムを展開する。大阪市中央公会堂前広場では、海外でも活躍し、街中の光景を一変させる野外作品で知られるアーティストの西野達が新作を発表。乗用車の上にバンを縦に重ね、その上にシイの木を植えた高さ約10メートルの作品《永遠に続くわけがない》が異彩を放つ。

「アートエキシビション&フェア」(大阪府立江之子島文化芸術創造センター)では、地元ギャラリーの推薦と公募の作家計20組が、作品を展示販売する。「アート×都市」(中之島、御堂筋エリア)では、西野達のほかに、関西ゆかりの小笠原周、木村舜、DAISAK、大東真也、濱野怜子、葭村太一が歩道に作品を展示する。府内の美術館やギャラリーなど約40カ所を巡るデジタルスタンプラリー「アートdeまちめぐり」は、3カ所訪ねるごとにアートが楽しめるホテルの宿泊券などが当たる抽選会に参加できる。

オオサカアートフェスティバル
会期:3月10日(金)~12日(日)
会場:大阪府立江之子島文化芸術創造センター(大阪府大阪市西区江之子島2-1-34)ほか府内各所
時間:会場により異なる


5. シャルロット・デュマ「Ao 青」(小山登美夫ギャラリー六本木、同 天王洲)

《Avis》(2021)c-print framed in walnut wood without glass 50.0 x 40.0 cm e.d. 1/7 ©︎Charlotte Dumas

新シリーズを日本初公開。沖縄の在来馬と少女が浮かび上がらせるもの

馬や救助犬など、人間に密接に関わる動物を20年以上とらえてきた、オランダの写真家でアーティストのシャルロット・デュマ。六本木と天王洲の2会場で、2015年から与那国島など沖縄の在来馬や情景、少女たちを撮り続けたシリーズ「Ao 青」を発表。六本木会場では日本初公開の写真作品と新作のドローイングを展示し、天王洲会場では「Ao 青」の最新映像作品を上映する。

土地への愛着や、島を取り巻く霊的な強さを感じながら、「Ao 青」の撮影を重ねてきたというデュマ。「子供と動物の共通点は、100%今を生きていること」だと話し、少女を通じて島自体を映し出すような作品を制作してきた。動物を見つめることで見える、1人では生きられない人間の存在性を想起させる展覧会。

シャルロット・デュマ「Ao 青」
会期:3月10日(金)~4月8日(土) ※天王洲は3月11日(土)~4月1日(土)
会場:小山登美夫ギャラリー六本木(東京都港区六本木6-5-24 complex665 2F)、同 天王洲(東京都品川区東品川1-33-10 Terrada Art Complex I 4F)
時間:11:00 ~ 19:00(天王洲は~18:00)

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