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北斎の代表作が過去最高額の3億6000万円で落札。「富嶽三十六景」の一図

ニューヨーククリスティーズで行われたオークションで、葛飾北斎の代表作《神奈川沖浪裏》が280万ドル(約3億6000万円)で落札され、過去最高額を記録した。

葛飾北斎の《神奈川沖浪裏》。Photo: Courtesy Christies

クリスティーズ側は、当初は50万ドル(約6500万円)から70万ドル(約9000万円)の間で落札されると予想していたが、オークションでは6人の入札者による13分間の争奪戦が繰り広げられ、最終的に匿名の電話入札者が競り落とした。

前回、2021年に《神奈川沖浪裏》がオークションに出品された時には、予想落札額の15万ドル(現在の為替で約1900万円)の10倍となる160万ドル(現在の為替で約2億円)で落札された。

大波の中で江戸に向かう船と、富士山を描いた《神奈川沖浪裏》は、「富嶽三十六景」の一図として1830年~1832年に制作された。当時、北斎は70代で、経済的に困窮していたという。この北斎の代名詞的作品は19世紀半ばにヨーロッパに紹介され、2015年にはフランスで切手の図案に採用されるなど、世界的に知られた作品となっている。

この浮世絵は、当時何枚刷られたのか、そのうち何枚が現存しているのかは分かっていない。中でも最も人気があるのは初期の刷りのもので、版木が摩耗していないため線がシャープであることや、ピンクの空に繊細な雲の輪郭が描かれていることが評価されている。今回落札された版画は初期の特徴がよく表れている。(翻訳:編集部)

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