ARTnewsJAPAN

ホワイトキューブが新しい市場戦略グローバルディレクターを選出。韓国進出も発表

イギリスの大手ギャラリー、ホワイトキューブが、新たに市場戦略担当グローバルディレクターに起用したのは、有色人種のアーティストらの認知向上に多大なる貢献を果たしたアートディーラー、Sukanya Rajaratnam。同ギャラリーはさらに、ソウル進出も発表した。

ホワイトキューブのグローバルディレクター就任が決まった、Sukanya Rajaratnam。Photo: Weston Wells/ Courtesy White Cube

今年9月からホワイトキューブの市場戦略担当グローバルディレクターを務めることとなったニューヨークのアートディーラー、Sukanya Rajaratnamは、これまで光を当てられてこなったアーティストたちを紹介する歴史的にも意義深い展覧会を数多く手がけ、評価されてきた。

Rajaratnamは今年はじめ、15年間務めたMnuchin Galleryのパートナー職を退くことを発表していた。在任中は、サム・ギリアム、エド・クラーク、アルマ・トーマス、ベティ・ブレイトン、メアリー・ラブレス・オニール、そして2016年には今も語り継がれるデイヴィッド・ハモンズの回顧展を開催するなど、美術界の主流から見過ごされてきたアーティストたちの画期的な展覧会を企画。また、こうしたアーティストらの市場構築にも貢献した。

ホワイトキューブの創設者、ジェイ・ジョプリンは、今回の発表に関するプレスリリースの中で、「私は過去数年間、Sukanyaが手がけたプログラムに注目してきました。彼女を間違いなく、アート界で最も優れたマーケットメーカーの一人です。彼女のホワイトキューブへの参画は非常に喜ばしいことであり、今後、ともに仕事することを心から楽しみにしています」と述べている。

Rajaratnamは今後もNYを拠点に活動予定だが、ホワイトキューブのロンドン、香港、パリの拠点、及び、ウェストパームビーチにある季節限定の空間においても「市場開拓と展覧会づくりに尽力する」として、こうコメントしている。

「私は常々、ホワイトキューブの所属アーティストやギャラリーの遺産に対する誠実なキュレーションに感銘を受けてきました。今後、同ギャラリーのすべての拠点でそれに貢献できることに興奮しています。私たちの市場は今、変化の時を迎えているのかもしれませんが、だからこそ、展覧会のプログラムやコンテンツを通じてギャラリーの価値を高めていくことが不可欠だと思います」

ホワイトキューブは今年後半、マンハッタン・アッパーイーストサイドのマディソンアベニュー1002番地にNY1号店をオープン予定で、昨年11月に、ミッチェル=イネス&ナッシュの元パートナー、コートニー・ウィリス・ブレアをシニアディレクターに採用。ウィリス・ブレアのホワイトキューブでのデビュー展は「Chopped & Screwed」であることが発表された。リリースによると、この展覧会は「確立された物語やシステムを検証し、覆すために使用される形式的および概念的なツールとしての歪みのアイデア」を探求し、シアスター・ゲイツ、デイヴィッド・ハモンズ、クリスチャン・マークレー、ティオナ・ネキア・マックロデン、ジュリー・メレツ、ナサニエル・メリー・クインなどの作品が展示される予定だ。

ホワイトキューブはさらに今回のリリースで、ソウルへの進出も発表。昨年9月に初開催されたフリーズ・ソウルの成功を受けての決断で、江南区に位置する韓国の古美術や現代美術を扱う私立美術館「ホリムアートセンター」と同じ建物内にできる計画。300平方メートルの空間は、展示スペースとビューイングルーム、オフィスで構成される予定という。

この2年間で、グラッドストーン、エスター・シッパー、ペロタンタデウス・ロパックなど、数多くの欧米ギャラリーがソウルに進出しており、少し前には、ペースリーマン・モーピンもこれに続いている。また、2025年にはポンピドゥー・センターソウル支店を開設予定とも言われている。(翻訳:編集部)

from ARTnews

あわせて読みたい