NYで相次ぐ美術館のチケット値上げ。ついにグッゲンハイムも30ドルに
アメリカ・ニューヨークのグッゲンハイム美術館が一般の観覧料を25ドル(約3580円)から30ドル(約4300円)に値上げすると発表した。
ニューヨークの美術館で相次ぐ値上げ
同館の入場料値上げは2015年以来8年ぶり。ニューヨークでは、メトロポリタン美術館が2022年から地元住民以外の一般料金を30ドルに値上げしており、2023年7月中旬にホイットニー美術館は一般料金を25ドルから30ドルへ値上げすることを発表している。その他の地域では、2023年4月から、シカゴ美術館が一般入場料を32ドル(約4580円)に上げた一方で、シカゴ市民は無料にしている。
これまで、美術館の入場料の値上げは経済状況の変化と関連づける傾向があった。ホイットニー美術館が値上げを行った際には、「インフレ、コストの上昇、回復していない入場者数など、さまざまな要因によって変化する状況の中で、美術館と芸術家を支援するという使命を強固に保つ」ために必要な措置であると説明している。
グッゲンハイム美術館の広報担当者は、値上げの理由を「コロナ禍により長引く財政負担」としている。声明では、「ニューヨークの他の美術館も同価格帯に値上げしており、増額分は美術館の運営費を支える助けとなる 」と述べている。
美術館にとって、コロナ禍以降の入場者数の低迷は深刻な問題だ。2022年、アートネット・ニュースが12以上の美術館に調査を行った結果、2021年から1年間の入場者数は、増加した時期はあったものの2019年以前の数字には戻っていないことが明らかになっている。
財源確保としての値上げを疑問視する声も
アメリカでは、入場料が高額な美術館は少ない傾向にある。ブロンクス美術館やクイーンズ美術館など、マンハッタン以外の美術館は入場無料であり、ブルックリン美術館は企画展の一般料金は25ドルで、常設展の一般入場料16ドル(約2300円)は寄付金名目だ。
入場料を上げることで、美術館はより排他的になってしまうという懸念の声も聞かれる。2018年にメトロポリタン美術館が一律寄付制から国外の来館者を定額制に変更したとき、批評家のジェリー・ソルツは、「メトロポリタン美術館はその偉大さの一部を故意に捨てた」と批判した。
入場料値上げに反対する多くの人は、ほとんどの美術館の年間収入が入場料によるものではないことを指摘する。事実、2018年の美術館長協会の報告書によれば、年間収入に占める入場料の割合は、平均でわずか7%にとどまっている。(翻訳:編集部)
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