ARTnewsJAPAN

今週末に見たいアートイベントTOP5: “愛”がテーマの「ルーヴル美術館展」、28作家の約100点が集結「MEET YOUR ART FAIR 2023」ほか

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

ルーヴル美術館展 愛を描く(国立新美術館)より、フランソワ・ジェラール 《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》1798年 油彩、キャンバス 186 x 132 cm パリ・ルーヴル美術館 Photo: © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Tony Querrec / distributed by AMF-DNPartcom

1. フィオナ・タン「スリSuri」(ワコウ・ワークス・オブ・アート)

フィオナ・タン《Archive》(2019) 3-D animation, Black and white, stereo, loop duration: 5 min. 42 sec. ©Fiona Tan, courtesy WAKO WORKS OF ART

1889年に実在したスリ犯の記憶を呼び起こす、フィオナ・タンの実験

インドネシアに生まれ、現在はオランダを拠点に活動するフィオナ・タン。丹念なリサーチに基づいて生み出される映像作品を通して、過ぎ去る時間や人々の記憶、歴史の紡ぐ先を探求している。ヴェネチア・ビエンナーレ(2009)のオランダ館代表展示など、国際的にも高い評価を受けている。

本展では、1889年のパリ万博で逮捕された、実在したスリ犯のポートレートの静止画像に、架空の独白が重ねられていくビデオ・インスタレーション《Pickpockets》(2020)のほか、情報学の父ポール・オトレが取り組んだ壮大なアーカイブ計画「ムンダネウム」をモチーフにした4Kデジタル映像作品の《Archive》(2019)を日本で初公開する。

フィオナ・タン「スリSuri」
会期:2月10日(金)~4月1日(土)
会場:ワコウ・ワークス・オブ・アート(東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル3F)
時間:11:00 ~ 18:00


2. ルーヴル美術館展 愛を描く(国立新美術館)

フランソワ・ジェラール 《アモルとプシュケ》、または《アモルの最初のキスを受けるプシュケ》1798年 油彩、キャンバス 186 x 132 cm パリ・ルーヴル美術館 Photo: © RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Tony Querrec / distributed by AMF-DNPartcom

中世~近代の西洋絵画における「愛」を珠玉の名画73点で紐解く

38万点の所蔵作品数で、すべて見終わるには10年かかるとも言われている世界最大の美術館、ルーヴル美術館。本展は、その膨大なコレクションから厳選した73点の絵画で、16世紀から19世紀半ばまでの西洋社会における様々な愛の概念が絵画芸術にどのように描出されてきたのかを浮き彫りにする。

西洋絵画では、「愛」を表現する題材が、古代神話やキリスト教から人間たちへと移り変わっていった。その変遷を、時代ごとにヨーロッパ各国の主要の画家の作品とともに丁寧に紐解いていく。なかでも注目の作品は、26年ぶりに来日した、18世紀フランスを代表する画家フラゴナールの《かんぬき》。

 ルーヴル美術館展 愛を描く
会期:3月1日(水)~6月12日(月)
会場:国立新美術館(東京都港区六本木7丁目22-2)
時間:10:00 ~ 18:00(金・土曜は~20:00、入場は30分前まで)


3. ゲリラ・ガールズ展 『F』ワードの再解釈:フェミニズム !(渋谷PARCO)

ゲリラ・ガールズ《Naked》(2012)

覆面で闘い続ける「アート界の良心」、ゲリラ・ガールズの活動を展覧するチャリティ展

3月8日の国際女性デーに合わせ、倉敷芸術科学大学の川上幸之介研究室の協力のもと、セレクトブティック「Sister」が主催する。1985年、ニューヨークで結成されたアーティスト集団、ゲリラ・ガールズは、政治や文化の腐敗だけでなく、ジェンダーや民族の偏見について、ユーモアとインパクトのあるヴィジュアルの作品で公共に介入してきた。偽名を使い、公共の場ではゴリラのマスクを着用して匿名性を保っているのが特徴で、現在まで55人以上のメンバーが所属している。

本展では、ゲリラ・ガールズの作品や表現の現場調査団の統計資料展示のほかにワークショップ、グッズの販売を行い、売り上げの一部はゲリラ・ガールズの活動費、ジェンダー関連書籍として国内の図書館へ寄付される。会場では、三重県九鬼町にある書店 「トンガ坂文庫」がジェンダー関連書籍の販売も行う。また、関連イベントとして、3月4日(土)18:45~、ヒューマントラストシネマ渋谷(東京都渋谷区渋谷 1-23-16 ココチビル 7・8F)で、東京大学大学院総合文化研究科教授の清水晶子による公開講座とアメリカのフェミニスト・アーティスト、 マーサ・ロスラーの映像作品『マーサ・ロスラー VOGUEを読む』の特別上映が行われる。

ゲリラ・ガールズ展 『F』ワードの再解釈:フェミニズム !
会期:3月3日(金)~3月12日(日)
会場:渋谷PARCO 1F(東京都渋谷区宇田川町15-1)
時間:11:00 ~ 19:00 


4. デヴィッド・ステンベック・個展「ドリームスケープ」(SNOW Contemporary)

デヴィッド・ステンベック《Jesolo Cloud》(2019) digital print on archival paper,Limited edition,courtesy of Jenn Singer Gallery

詩の世界をCGIで表現するデヴィッド・ステンベックの日本初個展

詩人、編集者という異色の経歴を持つ、スウェーデン出身のアーティスト、デヴィッド・ステンベックの日本初となる個展。自身が思い描く詩の世界を視覚化すべく、CGI(Computer Generated Imagery)を使用して作品を制作している。彼が描いた空や雲、山や海の風景はすべてコンピューターによって創り出されたもので、見る者に現実と非現実、意識と無意識の境界が曖昧になるような錯覚をもたらす。

「私は、古典的な美術史をベースに、古い構造や概念に疑問を投げかけ、作り変え、古い定石をより現 代的で親しみやすいものに更新していく仕事をしています」と語るステンベック。本展では、作家自身がセレクトした約10点を展示する。

デヴィッド・ステンベック・個展「ドリームスケープ」
会期:3月3日(金)~4月8日(土)
会場:SNOW Contemporary(東京都港区西麻布2-13-12 早野ビル404)
時間:13:00 ~ 19:00 


5. MEET YOUR ART FAIR 2023「RE : FACTORY」(寺田倉庫G1・G3ビル)

大山エンリコイサム《FFIGURATI #253》(2019) Artwork ©Enrico Isamu Oyama, Photo: ©Go Sugimoto

「アート」と「音楽」の横断がテーマ。大山エンリコイサムと28作家が創出する新しいアートフェア

絶えず隣接してきた、「アート」と「音楽」の領域を横断するアートフェアとして、昨年の「MEET YOUR ART FESTIVAL 2022 'NewSoil'」に続いての開催。今回は「RE : FACTORY」と題して、アーティスティック・ディレクターを務める大山エンリコイサムが気鋭のアーティスト28人を選出。100点以上の作品展示を通して、アート・音楽・ カルチャーの交差する風景を創り上げる。

参加作家は、宇治野宗輝、大久保紗也、大野修、大庭大介、大山エンリコイサム、小畑多丘、加賀美健、金氏徹平、川人綾、川端健太、小林健太、小牟田悠介、佐藤允、菅原玄奨、五月女哲平、高山夏希、舘鼻則孝、中島晴矢、流麻二果、Nerhol、潘逸舟、HITOTZUKI、布施琳太郎、細倉真弓、前田紗希、村山悟郎、谷敷謙、横田大輔。なお、3月3日(金)18:00~、大山とラッパー・シンガーソングライターのNovel Coreのライブパフォーマンスも行う。

MEET YOUR ART FAIR 2023「RE : FACTORY」
会期:3月3日(金)~3月5日(日)
会場:寺田倉庫G1・G3ビル(東京都品川区東品川2-6)
時間:11:00 ~ 18:00 (5日は~17:00)

あわせて読みたい