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今週末に見たいアートイベントTOP5: 韓国出身作家が沖縄の「死珊瑚」をテーマにインスタレーションを展開、食文化に潜む「地域性」や「批評性」をアートで考察

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

大田黒衣美《sun bath》

1. 青木野枝「光の柱」(市原湖畔美術館)

《光の柱 Ⅰ》撮影:本多康司

“水や闇や光が降りそそぐ”、青木野枝の大規模な新作

重力から解放された軽やかな表現は、その素材が鉄だということを一時忘れさせてしまうほどだ。鉄板から切り出したリング状などのパーツを溶接して立体作品を生み出す、1958年生まれの彫刻家・青木野枝。展覧会名にも採用した新作《光の柱》を始め、数点の大型作品やドローイングを発表する。生命や自然を表そうとする青木の作品世界が、展示空間や美術館を囲む里山の環境と呼応する。

青木が《光の柱》を制作したのは、地下から広がる高さ9メートルの吹き抜け空間。床から天井に向かって柱のように伸びる大規模な作品は、この空間から構想したと言う。「上昇する水や闇や光、そして匂いの粒子やケミカルな粒子たち。それはまた上方から降りそそぐものでもある。上昇と下降を繰り返す、動体の光の柱をつくりたいと思った」と、作品の意図を話す。鉄を「透明な金属」「いつも内部に透明な光をもっている」とも語る青木。作家がたどりついた“鉄の本質”に触れることができる展覧会だ。

青木野枝「光の柱」
会期:10月14日(土)~ 2024年1月14日(日)
会場:市原湖畔美術館(千葉県市原市不入75-1)
時間:10:00 ~ 17:00 (土曜と祝前日は9:30~19:00、日曜と祝日は9:30~18:00、入場は30分前まで)


2. エコロジー:循環をめぐるダイアローグ  「新たな生」崔在銀展(銀座メゾンエルメス フォーラム)

展示風景

土中に埋めた和紙に、沖縄の“死珊瑚”。自然と対話する40年の歩み

「エコロジー:循環をめぐるダイアローグ」の第一弾として、韓国出身の崔在銀(チェ・ジェウン)を特集する。1953年生まれの崔は、来日をきっかけに「いけばな草月流」に学んだ後、80年代からアートの道へ。生命の循環や時間を題材に、環境や自然との“ダイアローグ=対話”を続けてきた。国際展への参加や原美術館などでの個展を重ねてきた40年の歩みを、継続中のプロジェクトや新作を交えて紹介する。

和紙を世界各地に埋め、年月を経た後で掘り起こす「ワールド・アンダーグラウンド・プロジェクト」《大地からの返信》では、1986年に韓国と福井県で埋蔵し、1990年と1991年に発掘した8枚を展示。和紙はそれぞれに異なる表情で、土中の記憶を記録する。新作のインスタレーション《White Death(白い死)》は、積み上げられた白い珊瑚の上に鏡の破片が散らばる。使われたのは、地球温暖化などの環境変化によって浜へ打ち上げられた、沖縄の“死珊瑚”。沖縄で珊瑚の現状を目にした崔は、「亡骸のように残酷でありながらも同時に美しさも覚えずにはいられない切迫したものであった」と回想している。韓半島を南北に隔てる非武装地帯(DMZ)の生態系をテーマにした作品なども。森美術館で開催中の「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」展の関連企画。

エコロジー:循環をめぐるダイアローグ 「新たな生」崔在銀展
会期:10月14日(土)~ 2024年1月28日(日) 
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム(東京都中央区銀座5-4-1 8・9F)
時間:11:00 ~ 19:00 (入場は30分前まで)


3. 葛飾応為「吉原格子先之図」―肉筆画の魅力(太田記念美術館)

葛飾応為「吉原格子先之図」

北斎の娘・応為の希少な名作を約3年半ぶりに公開

葛飾北斎の娘で浮世絵師の葛飾応為が残した希少な代表作「吉原格子先之図」を、約3年半ぶりに公開する。類まれなる画才が後世に伝わりながら、生没年や制作の全貌などに謎も多い応為。世界でも十数点しか作品が確認されていないが、なかでも肉筆画「吉原格子先之図」は傑作として知られている。今展では、北斎、喜多川歌麿歌川国芳、歌川国英、歌川広重、小林清親、月岡芳年らの“肉筆画”も紹介し、版画とは異なる生の筆致の魅力に注目する。

江戸の遊廓、吉原の夜を描いた「吉原格子先之図」。妓楼の内に並ぶ遊女の華やかさと、外から格子越しに覗く客たちの影が、抒情的に表される。室内や提灯の明かりを効果的に使った光と闇のグラデーションは、一般的な浮世絵のイメージを越えて西洋画を思わせる。展示は、絵師たちが描いた羅漢図や美人画、景色などの肉筆画を、「人」「市井」「風景」「物語」の4つのキーワードで紹介。描線の表現だけでなく、ぜいたくに使われた顔料の美しさも見どころだという。

葛飾応為「吉原格子先之図」―肉筆画の魅力
会期:11月1日(水)~26日(日)
会場:太田記念美術館(東京都渋谷区神宮前1-10-10)
時間:10:30 ~ 17:30  (入場は30分前まで)


4.  食と現代美術 Part9—食とアートと人と街—(BankART Station)

大田黒衣美《sun bath》

食文化に潜む“プライベート性“や“暴力性”をアートで考察

横浜市内の歴史的建造物や遊休空間などを文化芸術に活用して、街を再生するプロジェクト「BankART1929」が主催するアートプログラム。みなとみらい線・新高島駅地下構内のスペースを会場に、「食」をテーマにした作品が展示され、各種ワークショップやイベントなども開催される。参加作家は磯崎道佳、大田黒衣美、カブ(深沢アート研究所 緑化研究室)、下寺孝典(TAIYA)、谷本真理、ちぇんしげ、平田守、婦木加奈子、丸山純子、三田村光土里、武藤勇+(君塚史高+加藤良将+札本彩子)、村田真、森田浩彰、矢内原充志、ヤング荘、茶室プロジェクト[花升木工社寺建築(茶室)+藤井健司(軸)+丸山純子(花)]ほか。

BankART1929の「食と現代美術」をテーマにした展示は今回が9回目。アートによって、食文化の中に潜む、プライベート性、地域性、共有性、暴力性、批評性、時代性、空間性などを解きほぐすのが狙いだという。食という普遍的なテーマに現代美術の視線を持ち込むことで、食文化のもつ深さやアートの根源的な部分を浮き彫りにする。ヨコハマポートサイド地区でも、街や周辺の飲食店舗などにアートが出現する「食とアートと人と街」を同時開催。

食と現代美術 Part9—食とアートと人と街—
会期:11月2日(木)~ 12月2日(土)
会場:BankART Station(神奈川県横浜市西区みなとみらい5-1)
時間:11:00 ~ 19:00


5. ART is・・・W/J with JILL STUART(WHAT CAFE)

yutaokuda作品

若手人気作家19人が参加。アートとファッションのコラボレーション展

企画展を通して「アートとは」を見つめ直し、新たな発見や豊かな生活を提案するWHAT CAFEのシリーズ展示の31回目。本展はアパレルブランド、JILL STUARTが、コラボレーションを通して女性の人生をより豊かに楽しいものにすることを目指したプロジェクト「W/J (ウィズ ジル スチュアート)」にちなんで開催される。

会場では、JILL STUARTとコラボレートし、オリジナルアイテムを共同開発したアーティスト、yutaokuda、岡田佑里奈を中心に、同ブランドのシーズンコンセプト「Bloom in the mirror」を再解釈した若手作家19人の作品を展示販売する。そのほか、コラボレーションアイテムの販売や、展覧会をイメージしたスイーツメニューの提供も。出品作家は、ayaka nakamura 、新井碧、官野 良太、作田優希、長谷川彩織、佐々木類、高島マキコ、西岡悠妃、ニミュ、MANA HIRAI、藤本純輝、松村咲希、南花奈、御村紗也、弓指貴弘、皆川百合、吉岡かおる。

ART is・・・W/J with JILL STUART
会期:11月10日(金)~ 11月26日(日)
会場:WHAT CAFE(東京都品川区東品川2-1-11)
時間:11:00 ~ 18:00(26日は17:00まで)

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