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ポケモンとゴッホのコラボグッズ、即完売! 限定カードはeBayで20万円超え

詳細も明かされないまま9月28日にローンチされたオランダ・ゴッホ美術館とポケモンとのコラボレーション。当日、同美術館には想定以上の観客が押し寄せ、ミュージアムショップは騒然となった。

ゴッホ《灰色のフェルトの帽子をかぶった自画像》(1887)と、その自画像をモチーフにしたピカチュウ。木村尚代(1960ー)作。 Photo: The Pokémon Company International

コラボレーションのローンチ当日、ゴッホ美術館には熱狂的ファンが押し寄せ、様々なグッズは瞬く間に完売してしまった。YouTubeに投稿された動画には、「列に並んでください!」というスタッフの叫び声も虚しく、ポスターやぬいぐるみを両手いっぱいに抱えて押し合うファンたちの姿が映っている。

中でも人気だったのは、「ポケモンアドベンチャー」クイズをクリアした人がゲットできる限定カード。このカードには、ゴッホの《灰色のフェルトの帽子をかぶった自画像》ならぬ「グレーのフェルトの帽子をかぶったピカチュウ」が描かれており、すでにeBay上では1500ドル(約22万3000円)を超える価格で取引されている。

ポケモンとゴッホ美術館のコラボレーションは、ローンチの約2週間前にポケモン公式YouTubeチャンネルで発表された。それを伝えるティザー動画は、ピカチュウとイーブイという人気ポケモンの2匹が晴れた日にひまわり畑を駆け抜けていたところ、突然背景やキャラクターたちの描写がゴッホの特徴である重厚な筆致に変化する、というものだった。

小宮友和(1973ー):《「ひまわり」をモチーフにしたキマワリ》 Photo: The Pokémon Company International
sowsow(1988ー):《「寝室」をモチーフにしたゴンベとカビゴン》 Photo: The Pokémon Company International

近年アート業界では、メトロポリタン美術館が同館のロゴを用いたオリジナルグッズの販売を強化するなど、利益拡大を目指したライセンスビジネスが加速している。Forbesによると、株式会社ポケモンのライセンスビジネスの売上は、昨年だけで116億ドル(約1兆7000億円)にも上る。今回のプロジェクトは、そのポケモンと美術史上最も名の知れたアーティストとのコラボだけに、成功しないわけがない。しかし、これほどの混乱を招くとは誰も予想していなかったようで、ゴッホ美術館はForbesの取材に対し、「来館者の中に残念な行動を取る人がいることを想定していなかった」と語った。

また株式会社ポケモンは、X(旧ツイッター)もこの大騒動について謝罪し、「今後、ポケモンセンターで買い物をするファンに、より多くの『グレーのフェルトの帽子をかぶったピカチュウ』の限定カードを提供する方法を積極的に検討している」と述べた。

ちなみに今回のコラボレーションは、グッズ販売だけではない。同館では、《灰色のフェルトの帽子をかぶった自画像》(1887年)、《ひまわり》(1889年)、《寝室》(1888年)といったゴッホの代表作に着想を得て制作された、ピカチュウやイーブイ、ドーブル、カビゴン、ゴンベといったポケモンが登場する絵画も展示されている。また、ピカチュウの描き方解説やアドベンチャー・プログラムなど、子ども向けの特別なアクティビティも開催されている。

発売日の反省から、現在、ミュージアムでのグッズ購入は1人につき1点までに限定されている。また、「ポケモンアドベンチャー」クイズに参加するには展覧会チケットが必要だが、1021日分まで完売となっている。(翻訳:編集部)

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