保存版! 2023年に必見の世界のアートフェア12選【上半期編】

欧米を中心に主要なアートフェアが復活した2022年を経て、今年はシンガポールで新フェアがローンチするなど、アジアを含めて本格的にアート市場が活気づく1年になりそうだ。2023年上半期に訪れるべき世界のアートフェアを紹介する。

2022年のTEFAF ニューヨーク会場風景。Photo: bfa.com/Aflo

海外のアートフェアに行く楽しみと言えば、ダイナミックな作品群と国際フェスティバルの名に相応しい華やかな雰囲気、周辺のアートスポット観光だろう。23年のフリーズ・ロサンゼルスの会場は、なんと空港。台北當代はフェア期間中、地域と連携して台北市内のギャラリーを夜間開館する「台北ギャラリーナイト」を開催するなど、世界のさまざまなアートフェアが新しい工夫とホスピタリティで独自性をアピールしている。

2023年上半期に開催予定の中でも代表的な12のアートフェアを紹介していこう。


1. アートSG(シンガポール)

アートSGの舞台となるシンガポールのマリーナ・ベイ・サンズ。Photo: DietmarPhoto:

2018年よりコロナ禍で延期されていたが、遂に開催されることとなったアジア最大級のアートフェア。シンガポールのランドマーク、マリーナ・ベイ・サンズを会場に、ガゴシアンペースタデウス・ロパックなどのメガギャラリーのほか、オオタファインアーツ思文閣など日本からの17ギャラリーを含む150団体が出展。その多くがシンガポール初進出となる。国内外のギャラリーを集めたメイン部門「GALLERIES 」、アーティストにクローズアップする「FOCUS」、設立6年以下の若手ギャラリーや、アーティスト・ラン・スペースを特集する「FUTURES」、アニメーション、NFTなど、デジタル技術を駆使したアートを紹介する「 REFRAME」など、7セクションで構成される。フェア以外にも、アートインスタレーションやパネルディスカッション、実験的な映画上映会などを予定している。 

日程:1月11日~1月15日(11日はプレビュー)
会場:マリーナ・ベイ・サンズ・エクスポ&コンベンション・センター
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2. FOG Design + Art(アメリカ)

2022年の会場風景。Photo: ©FOG Design + Art

西海岸沿いにある歴史的建造物、フォート・メイソン・センターを舞台に開催される、20世紀・現代アートとデザインの祭典。 今回はデビッド・ツヴィルナーハウザー&ワースなど45の国際的なギャラリーが出展する。会期中は地元サンフランシスコを拠点に活動するアーティストによる展示プログラムも行われる。毎年プレビュー・ガラで、サンフランシスコ近代美術館の展示と教育プログラムへの支援金を贈呈するなど、地元愛にあふれたフェアである。

日程:2023年1月19日~1月22日
会場:フォート・メイソン・センター
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3. フリーズ・ロサンゼルス(アメリカ)

2022年の会場風景。Photo: ©Frieze

世界的アートフェア「フリーズ」の2023年は、ロサンゼルスからスタート。会場は、なんとサンタモニカ空港だ。一角に設置する特注テントをメイン会場に、敷地内の複数の場所で展示が行われる。世界22カ国から参加する120以上のギャラリーには、Taro NasuMisako & Rosenなど日本の4ギャラリーも含まれる。今回は、20世紀美術や、これまで見過ごされてきたアーティストの作品を展示するギャラリーにスポットを当てるほか、設立12年以下のギャラリーを対象とし、キュレーターが企画展を開催する「Focus」、キュレーションプログラムの「Frieze Projects」が設けられる。ロサンゼルスで最も人気のあるレストランからのポップアップや、新しい野心的なアクティビティなど、フェア以外のお楽しみも。

日程:2023年2月16日~2月19日
会場:サンタモニカ空港
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4. アート・ドバイ(UAE)

2022年の会場風景。Photo: ©Art Dubai

ペルシャ湾沿いにある高級リゾート、マディナ・ジュメイラで開催される、中東を代表するアートフェア。新進気鋭から実力派まで、多彩なギャラリーを集めた「CONTEMPORARY」、中東、アフリカ、南アジアのモダンアートに特化した「MODERN」、過去1年間に制作された作品や、このフェアのために制作された作品を特集する、アラビア語で入り口という意味の「BAWWABA」、アート、デザイン、音楽、ファッションなど、さまざまな分野を横断する新しいメディアや文化におけるムーブメントを取り上げる「DIGITAL」という4セクションからなる。世界中から招聘したギャラリスト、美術評論家、大学教授などからなる選考委員会が出展団体を選抜している。

日程:2023年3月1日~3月5日(1日、2日はプレビュー)
会場: マディナ・ジュメイラ・カンファレンス&イベントセンター
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5. TEFAF マーストリヒト(オランダ)

2022年の会場風景。Photo: ©TEFAF

1988年にオランダ南部のマーストリヒトで始まった、オールドマスター絵画からアンティーク、近・現代美術、ジュエリー、20世紀のデザインに至るまで幅広いジャンルが楽しめる老舗のフェア。今回は20カ国から275以上の団体が参加する。そのほか、キャリアが浅く、実力のあるギャラリーを招待する「SHOWCASE」や、アートのスペシャリストによるインタラクティブなパネルディスカッションなどが開催される。チューリップが有名なオランダで開催されるTEFAF マーストリヒトの名物は、会場を彩る花のディスプレイ。フェアの創設以来、地元の花屋、テン・ケイトが手掛けているスタイリッシュなフラワー・インスタレーションにも注目。

日程:2023年3月9日~3月19日(9日、10日は招待客のみ)
会場: MECC
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6. アート・バーゼル香港 

2022年の会場風景。Photo: ©ART BASEL

2013年から開催される、アジアの中でも歴史がある世界的アートフェア。22年は新型コロナウイルスの影響で、当初予定されていた3月から5月へ延期された。23年は3月に開催される。今回は、ガゴシアン、ハウザー&ワース、リーマン・モーピンなど名だたるメガギャラリーのほか、日本からはアノマリーカイカイキキギャラリーミズマナンヅカなどが参加。展示は「Galleries」「Insights」「Discoveries」など6セクションで行われるが、今回、大規模な作品を展示する「Encounters」が復活する。会期中、美術界の主要出版社や書店による近現代美術に関する書籍をそろえたブースも設けられる。

日程:2023年3月23日~3月25日
会場: 香港コンベンション&エキシビションセンター
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7. インディペンデント・ニューヨーク(アメリカ)

会場となるスプリングスタジオ。Photo: ©Independent

ニューヨークのアート界で「カルト的な人気」を誇るアートフェアと言えば、アウトサイダー・アートを含む個性派アートの殿堂、インディペンデントだろう。10年以上にわたって毎年春と秋に開催されてきた同フェアは、発見と文脈を重視するギャラリストやアートコレクターに高く評価されてきた。毎回、斬新な展示で来場者を驚かせてくれるが、今回は、90以上の国際的なギャラリーや非営利団体がニューヨークに集結予定だ。

日程:2023年5月11日~14日(11日はプレビュー)
会場: スプリングスタジオ
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8. TEFAF ニューヨーク(アメリカ)

2022年の会場風景。Photo: bfa.com/Aflo

2017年にオランダ・マーストリヒトの一大アートフェア「TEFAF」がニューヨーク進出を果たしてから、今回で8回を数える。会場はマンハッタンの一等地にある歴史的建造物、パーク・アヴェニュー・アーモリー。ガゴシアン、ブラム&ポーグラッドストーン・ギャラリーなど、地元ニューヨークやロンドン、パリを中心とした122ギャラリーが出展する。TEFAFマーストリヒトの特徴と言えば、花を取り入れた空間レイアウトだが、ニューヨークもそのDNAを受け継ぎ、優雅でシックなフラワー・インスタレーションで観客を迎えてくれる。また、オンライン・ビューも同時開催されるので、ニューヨークに行かずともフェアを楽しむことができる。 

日程:2023年5月11日~16日(11日はプレビュー)
会場:パーク・アヴェニュー・アーモリー
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9. 台北當代(台湾)

2022年の会場風景。Photo: ©Taipei Dangdai

台湾を代表するアートフェア、台北當代。昨年は2万人以上の来場者を記録し、好調な売上と高い評価を得た。実力のあるギャラリーを集めた「Galleries」、今年新設された、年代問わず、歴史的に重要な作家にスポットを当てる「Engage」、新進気鋭のギャラリーを対象にした「Edge」の3セクションが設けられる。 会期中は、個人・企業コレクションツアー、アーティストのスタジオ、美術館の舞台裏など、台北の活気あるアートシーンを巡るVIPツアーのほか、台北市内の20以上のギャラリーが夜間営業を行う「台北ギャラリーナイト」も開催される。

日程:2023年5月11日~14日(プレビューは11日)
会場: 台北南港展覧館
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10. フリーズ・ニューヨーク(アメリカ)

2022年会場風景。Photo: Casey Kelbaugh

12回目を迎えるフリーズ・ニューヨークの舞台となるのは、ハドソンヤードの文化複合施設、ザ・シェッド。22年は66ギャラリーが参加した。プレビュ―では多くのギャラリーで50万〜100万ドルクラスの作品が次々と取引され、好調な売れ行きを記録。23年は約65のギャラリーが参加予定で、国際的なギャラリーが集う「Main」と、設立12年以内のギャラリーによる個展に特化し、展示アーティストに補助金を与える「Frame」の2セクションで構成される。 

日程: 2023年5月17日~5月21日
会場: ザ・シェッド
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11. NADAニューヨーク(アメリカ)

2022年の会場入り口。Photo: Shanti Escalante/ARTnews

現代アートの育成、支援を目的とする非営利団体、NADA(New Art Dealers Alliance)が主催するフェア。毎年5月にニューヨーク、11月にマイアミで開催されているが、コロナ禍により休止されていた。昨年、4年ぶりに開催された際には120ギャラリーが参加。大規模なフェアではないが、良質なギャラリーが集まることに定評がある。今年はピア36からウエスト・チェルシーのギャラリー街の中心にある548ウエストに会場を移しての開催となる。

日程:2023年5月18日~5月21日
会場:548 West
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12. アート・バーゼル

2022年会場風景。Photo: ART BASEL

スイス北西部の都市バーゼルで1970年から毎年開催される世界最大級の現代アートフェア。今回は200以上のギャラリーが出展し、4千人以上のアーティストの作品が展示される予定だ。日本からはタカ・イシイギャラリータケニナガワ東京画廊+BTAPが参加。フェアに合わせて、バーゼル周辺の美術館やギャラリーでは展覧会が開催され、地域全体でアートウィークを盛り上げる。 

日程:2023年6月12日~6月18日(12日~14日は招待のみ)
会場:メッセ・バーゼル
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