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2023年版「TOP 200 COLLECTORS」リストが発表!世界的アートコレクターが今年買った作品は?

US版ARTnewsの名物企画「TOP 200 COLLECTORS」の2023年版が発表された。リストに名を連ねる、アートへの情熱と卓越した審美眼を持つ彼らは、今年どのような作品を購入したのだろうか。

アレクサンダー・カルダー《The Yellow Disc》(1958)Photo : Spike Mafford, Zocalo Studios, LLC/©2023 Calder Foundation, New York, and Artists Rights Society (ARS), New York

US版ARTnewsの「TOP 200 COLLECTORS」は、その年にもっとも積極的かつ挑戦的にアートを購入した世界のアートコレクターを称える名物企画だ。旺盛な収集意欲を持ち、目の肥えた彼らは、毎年コレクションを増やそうと探求を続けている。多くのコレクターにとって、コレクションには終着点はなく、終わりのない旅のようなものである。

栄えあるTOP 200 COLLECTORSに選ばれたコレクターたちは、今年どのような作品を買ったのだろうか?以下に、おもなコレクターが最近購入した作品を紹介する。

2023年版TOP 200 COLLECTORSリストはこちら

大林剛郎

トイン・オジ・オドゥトラ《So Precious》(2023)Photo : Dan Bradica Studio

大林剛郎は、今年初めて開催されたアートフェア、Tokyo Gendaiのアドバイザーとして実現に貢献。会期中はゲストハウスを開放して、自身のコレクションを披露した。会場にも足を運び、アートを購入する姿も見られた。そのひとつが、ジャック・シャインマン・ギャラリーで展示されたトイン・オジ・オドゥトラの《So Precious》(2023)。オドゥトラがTokyo Gendaiのために描き下ろした新作だ。

田口弘・美和

カプワニ・キワンガ《Hour glass #3》(2022)Photo : Courtesy La Biennale di Venezia

田口美和とその父である田口弘が最近購入した作品には、柳幸典、ジョナタス・デ・アンドラーデ、ウィリアム・ケントリッジ、そして2022年のヴェネチア・ビエンナーレに出品されたカプワニ・キワンガ《Hour glass #3》(2022)がある。田口弘・美和が国際諮問委員会の委員を務める今年の第35回サンパウロ・ビエンナーレにもキワンガが出品される。同ビエンナーレで8人の日本人学芸員とともにブラジルを訪問する美和は、「日本と諸外国との人的交流をもっと促進したい」と語る。

エイドリアン・チェン

フィリダ・バーロウ《Untitled: Folly; Baubles》Photo : Courtesy K11 Musea

香港の巨大なアート・商業施設K11 Museaで11月まで展示されているのは、エイドリアン・チェンの最新コレクションである、フィリダ・バーロウの《Untitled: Folly; Baubles》だ。この作品は、2017年のヴェネチア・ビエンナーレのイギリス館で展示された。バーロウは今年5月に死去した。チェンはバーロウの作品について、「捨てられた物や残骸、瓦礫を生き生きとした彫刻の形に変える卓越した能力に惹かれました。彼女が日常的な素材の可能性に喜びを感じ、芸術的表現の可能性を明らかにしたところが好きです。彼女は、威嚇的であると同時に遊び心もあり、圧倒的且つ繊細な作品を作り上げています」と評している。

アニタ・ブランチャード、マーティン・ネスビット

シモーヌ・リー《Untitled》(2022)Photo : ©Simone Leigh/Courtesy the artist and Matthew Marks

アニタ・ブランチャードとマーティン・ネスビットは、マーク・ブラッドフォード、リネット・イヤドム・ボアキー、ケリー・ジェームズ・マーシャル、バークレー・L・ヘンドリックスといった大物作家の作品を、過去12ヶ月の間に20点近く手に入れた。その中で、最も反響を呼んだのは、シモーヌ・リーの2つの彫刻作品だ。2022年10月、ブランチャードは、その年のヴェネチア・ビエンナーレでリーが代表作家を務めたアメリカ館で開催された、黒人女性の知的創造労働に関する3日間のシンポジウム「Loophole of Retreat」に参加した。「私が経験した中で、最もパワフルな会議でした。真のつながりが形成され、画期的な議論が始まったのです」と、シンポジウムで受けた感動を話してくれた。

ニコラ・エルニ

ラシード・ジョンソン《The Broken Thirteen (The Last Supper)》(2023)Photo : Photo Stephanie Powell/Courtesy Hauser & Wirth

ニコラ・エル二は最近、ラシード・ジョンソンに作品制作を依頼した。《The Broken Thirteen (The Last Supper)》と題されたこの作品は、アンディ・ウォーホルのシルクスクリーン作品《60の最後の晩餐》(レオナルド・ダ・ヴィンチの《最後の晩餐》を模した作品)との対話の中で制作された。ジョンソンとウォーホルの作品は現在、スイスにあるエルニの私設美術館で、隣接させて展示している。「この2点を一緒に見るのは感動的な体験です」とエルニは言う。

キム&ジョン・シャーリー

アレクサンダー・カルダー《The Yellow Disc》(1958)Photo : Spike Mafford, Zocalo Studios, LLC/©2023 Calder Foundation, New York, and Artists Rights Society (ARS), New York

キム&ジョン・シャーリー夫妻は、4月にシアトル美術館にアレクサンダー・カルダーの作品48点を大々的に寄贈したにもかかわらず、1958年の《The Yellow Disc》を買わずにはいられなかった。その他、ファイアレイ・バエスやイグシャーン・アダムスの作品も購入している。「時代を超えたアーティスト同士の世代を超えた対話を促進することが、私たちのコレクションの指針です」とジョンはUS版ARTnewsに語っている。

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