「ヌード作品と同じ姿で鑑賞を」──スペインの考古学博物館が全裸のガイドツアーを開催
スペインのカタルーニャ考古学博物館で、10月28日に全裸でのガイドツアーが実施された。90分間のツアーは、カタルーニャ・ナチュリズム・クラブと共同で企画されたもの。
カタルーニャ・ナチュリズム・クラブは、スペインのカタルーニャをはじめヨーロッパ各地のヌーディストビーチへのツアー、遠泳やビーチバレー、ボディペインティングワークショップなど、ヌーディスト向けのアクティビティを数多く提供している。
ロイター通信によると、この企画は、「一糸まとわぬ姿の作品が並ぶ中、作品と同じ状況でポーズをとって鑑賞する」チャンスだと、カタルーニャ考古学博物館のウェブサイトで告知されていたという。
同博物館では、裸体の古代ギリシャ戦士のブロンズ像を撮影したルイジ・スピーナの写真展、「リアーチェのブロンズ像」が開催されている。紀元前5世紀にさかのぼる大きな2体のブロンズ像は、1972年にイタリアのリアーチェ近郊で発見された。
自らも生まれたままの姿でツアーガイドを務めたエドガル・マエストレは、こう説明する。
「ありふれたガイドツアーではなく、もっと生き生きとした体験を提供したいと考えました。見に来てくれた人たちに、自分が見ている作品とまったく同じように感じてほしかったのです」
一方、ツアーに参加した59歳の医療従事者、マルタはロイター通信にこう答えた。
「作品から受けるインパクトは、服を着たまま鑑賞するのと変わりません。しかし、ヌードというものが常に存在し、肉体は誰にとっても恥ずべきものではないことを、よりよく理解できるという違いはあると思います」
日常的とまではいかないが、博物館や美術館では時折全裸のガイドツアーが行われている。2018年にパリのパレ・ド・トーキョーは、全裸での美術鑑賞ツアーを実施。また、ピッツバーグのマットレス・ファクトリー美術館では、11月10日にヌード・アート・ツアーの開催を予定している。ケータリングの食事付きの入場チケットは30ドル(約4500円)だ。(翻訳:石井佳子)
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