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バンクシーの実名が明らかに! 失われた20年前のインタビューで本人が公表

バンクシーの謎を紐解く英BBCラジオの人気番組「Banksy Story」の特別回で、今から20年前に行われた若きバンクシーへのインタビュー音源の未公開部分が史上初めて放送された。バンクシーはそこで、自身の実名以外にも興味深い見解を述べている。

ヴェネチアにあるバンクシーの《Migrant Child》(2019)。Photo: Vincenzo Pinto/ AFP via Getty Images

バンクシーが2000年初頭にストリートアーティストとして頭角を表しはじめてから、イギリス・ブリストルが拠点であるということ以外に彼について知られることは、ほぼ皆無だった。ゆえに、バンクシーというアーティスト名だけを手がかりに、これまで多くの人がその正体を暴き出そうと様々な推理を行ってきた。例えば、ゴリラズの共同制作者で漫画『Tank Girl』の共著者であるイラストレーターのジェイミー・ヒューレットや、マッシブ・アタックの共同創設者でアーティストとしても知られるロバート・デル・ナジャはブリストル出身であり、デル・ナジャに至ってはグラフィティアーティストでもあったことから、度々、彼こそがバンクシーなのではないかと噂されてきた。

しかしここにきて、2003年の夏に東ロンドンで開催されたバンクシーのゲリラショー「Turf War」に先立ち行われたBBCのインタビューの中で、バンクシーが自身の本名を明かしていたことがわかった。このインタビュー音源はその後お蔵入りしていたのだが、BBCは、今年7月に開始したラジオ番組「Banksy Story」の特別回で、このインタビュー音源を再編集して放送。その中で、インタビューを行った当時のBBCアート特派員、ナイジェル・レンチが、「あなたの名前はロバート・バンクスですか?」と尋ねると、バンクシーは「ロビーです」と答えていたのだ。

この特別版は、「Banksy Story」を聴いたレンチが、自身の中に眠っていたバンクシー熱が再燃したことをきっかけに制作された。当時のインタビューの全録音を聞き返すことにしたレンチは、実名以外にも、非常に興味深いバンクシー独自の視点が語られていたことを知るのだ。

例えば若きバンクシーは、グラフィティは破壊行為かと聞かれ、こう答えている。

「適当にやれば違法だろうね! でも幸いにも、俺は普通では考えられないほど良い反応を得ることができた。中には、俺の作品を気に入ったという警察官もいたくらいだ。外に出て絵を描くのは、自分の権利だと思ってる」 

「そして同じように、他のグラフィティアーティストが外に出て絵を描くのも、そいつの権利。たとえ俺の作品が気に入らないからといって上書きしたとしてもね。白いペンキの入ったバケツを持ってきてグラフィティを消すのに、大した時間はかからない。俺は、街を大きな遊び場として扱った方がいいと思うんだ。そうだろ? だって街っていうのは、そのためにあるんだから」

この失われた音声部分は、来年の11月20日まで、「Banksy Story」の特別回(Bonus Episode)で聴くことができる。

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