アートな開運スポット5選。杉本博司が手掛けた神社からアーティスト作のおみくじetc.
寺社仏閣は古くから芸術と密接な関係にあるが、2024年の始まりを現代アートとともに迎えられる、5つの開運スポットを紹介しよう。
1. 武蔵野坐令和(むさしのれいわ)神社(埼玉県)
人気アーティストの創意が集結。出版社の神社らしいユニークなお守りも
出版社のKADOKAWAが2020年、埼玉県所沢市にオープンさせた複合施設、ところざわサクラタウン内にある神社。鳥居や、神殿の屋根に設けた千木に金属を使用するなど、スタイリッシュなデザインは隈研吾、神殿内の天井画は天野喜孝が手掛けた。注目は、彫刻家の土屋仁応による狛犬。古来より秩父市の三峯神社、青梅市の武蔵御嶽神社を中心に、この神社がある旧武蔵国全域でオオカミ信仰が行われていたことから、ニホンオオカミをモチーフにした。仏教美術の古典技法を応用して檜や樟を素材にし、水晶の玉眼を施した狛犬は現代アートらしいスタイリッシュな姿だ。
授与所では、仕事や勉強の締切を守りたい人向けの「締切守」、カメラ、設計で使用されるデバイダーなど、クリエイターゆかりのモチーフがあしらわれた「芸道上達守」など、KADOKAWAならではのお守りやグッズを販売している。隣接する角川武蔵野ミュージアムでは、サルバドール・ダリの人生を迫力満点のデジタルアートでたどる「サルバドール・ダリ ― エンドレス・エニグマ 永遠の謎 ―」が開催中だ(年末年始は無休、5月31日まで)。
武蔵野坐令和神社
住所:埼玉県所沢市東所沢和田3-31-3
授与所開所時間:10月~3月10:00 ~ 16:30(土日祝は17:00まで) 、4月~9月10:00 ~ 17:00(土日祝は18:00まで)
授与所閉所日:第1、3、5火曜日
2. 小田原文化財団 江之浦測候所 甘橘山 春日社(神奈川県)
海原を臨む、杉本博司の2つの思いがこもった聖域
小田原の相模湾に面した1万5000坪におよぶ敷地に、現代美術作家の杉本博司が創出した屋外型美術館「江之浦測候所」は、杉本の作品が展示された長さ100メートルに及ぶギャラリー棟、野外の舞台、茶室などで構成される。この土地の霊を祀る神社の必要性を感じた杉本が2022年に奈良・春日大社の御霊を迎え建立したのが甘橘山 春日社だ。
社殿は、春日信仰の拠点であり、平安時代から鎌倉初期にかけての繊細で優美な様式を受け継ぐ忍辱山円成寺の社殿を細部に至るまで測って建立したという。相模湾の海原を背景にして建つ神社であるという点や、杉本が海を撮り続けてキャリアを築いたことへ加護の感謝の意味を込め、社殿の横に水の魂を祀るための井戸を手掘りした。2024年は1月4日から開館。甘橘山 春日社の参拝には、公式HPより江之浦測候所の見学予約が必要。
小田原文化財団 江之浦測候所 甘橘山 春日社
住所:神奈川県小田原市江之浦362番地1
事前予約・入替制 午前の部: 10:00~13:00、午後の部: 13:30~16:30
休館日:火・水曜日、年末年始、臨時休館日
3. 太宰府天満宮(福岡県)
「文化・芸術の神様」ならではの境内美術館
平安時代に学者・政治家として活躍し、大宰府で亡くなった菅原道真の墓所に創建された神社。菅原道真は「学問の神様」としてよく知られているが、「文化・芸術の神様」としても古くから崇められおり、同天満宮は明治期より地元の文化活動の支援を行ってきた。そのスピリットを受け継ぐかたちで2006年に発足したのが、国内外のアーティストを太宰府に招聘し、取材・滞在制作をしてもらう「太宰府天満宮アートプログラム」だ。
これまで日比野克彦、小沢剛、ホンマタカシなど錚々たるアーティストが参加した。その中のいくつかの作品を境内で恒久展示したのが「境内美術館」だ。展示作家は、ライアン・ガンダー、サイモン・フジワラ、ピエール・ユイグ、ローレンス・ウィナー、田島美加。太宰府天満宮に隣接する九州国立博物館では、元旦から「徳川美術館所蔵 国宝 初音の調度」が始まる。
太宰府天満宮
住所:福岡県太宰府市宰府4丁目7-1
時間:6:30~18:30 季節により変動あり
4. 国上寺(新潟県)
越後最古の寺が魅せるイケメン壁画
709年に弥彦大明神の詫宣により建立された、越後で最古の寺。源義経が武蔵坊弁慶らとともに奥州へ落ち延びた際、同寺に寄進した大黒天木像を本尊とする六角堂や、1804年から18年間、良寛が同寺の庇護のもと隠棲した五合庵など、由緒正しく見どころも多い同寺だが、2019年、本堂に描かれた「イケメン壁画」を発表して話題を集めた。
その壁画《イケメン偉人官能絵巻》を制作したのは、イケメン仏画を描く、アーティストの木村了子。同寺ゆかりの5人の偉人、上杉謙信、源義経、武蔵坊弁慶、良寛禅師、酒呑童子が温泉に入浴したり、龍とたわむれたりする様子が妖艶に描かれている。発表当初は過激な表現が物議を醸したが、今では「イケメン寺」として親しまれるようになり、2023年には修復を行った。木村了子の絵画を使った「イケメン偉人御朱印」も発売中。
国上寺
住所:新潟県燕市国上1407番地
時間:8:30~16:30
5. 布忍(ぬのせ)神社(大阪)
胸にグサッと突き刺さる一言のおみくじは現代アート作品
江戸時代より病気平癒、交通安全・商売繁盛の神様として崇められてきた布忍神社。1999年に、同神社の宮司と、タイポグラフィ・アートで知られる現代アーティスト、イチハラヒロコがタッグを組んで新しいおみくじを作る「イチハラヒロコ 恋みくじプロジェクト」が発足。おみくじに書かれた内容を読む前に、吉凶の結果に一喜一憂する参拝者が多いことから、吉凶のないものを考えた。
全部で36種類あるおみくじには、「どうにもならない事がある。」「その女と別れろ。」など、イチハラによる一言のみが印刷されている。引く人によってはグサッと胸に刺さる言葉が話題となり、初詣にはイチハラの「お告げ」を目当てに多くの参拝者が訪れる。おみくじはアート作品なので、飾っても良いそうだ。
布忍神社
住所:大阪府松原市北新町2-4-11
時間:6:00~18:00(授与所は9:00~15:00)