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イギリス軍の略奪品をオークション直前に出品取り下げ。エチオピア政府が返還要請

1868年のマクダラの戦いでイギリス軍が略奪した盾を返還するよう、エチオピアの文化遺産関係当局が公式に要請を行った。この盾はオークションにかけられる予定だったが、直前に出品が取り下げられたとアートニュースペーパー紙が一報を伝えた。

1868年のマクダラの戦いでイギリス軍が持ち去ったアビシニアの盾。Photo: Courtesy of Anderson & Garland

ドーム型で全面に装飾が施されたこの19世紀の盾は、イギリスオークションハウス、アンダーソン&ガーランドの「コレクターズ・オークション」セールのロット903として、2月29日の午前中にニューカッスルの同社本部で競売に出品される予定だった。

金属と獣皮が用いられた盾には、戦いのあった場所と日付が「マグダラ 1868年4月13日」(現在の表記はマクダラ)と刻まれている。予想落札価格は800ポンドから1200ポンド(約15万〜23万円)とされていた。

イギリス軍はアビシニア(エチオピアの旧名)の皇帝テオドロス2世が拠点としていた北部の村にある屋敷を占拠した後、皇帝の宝物や宗教的・軍事的な物品を大量に強奪。この盾も、解放されたイギリス人の人質とイギリス兵によって持ち去られた略奪文化財の一つだった。

オークションへの出品取り下げは、エチオピア文化遺産当局幹部のアベバウ・アヤレウが、2月23日にアンダーソン&ガーランドに書簡を送ったことを受けて行われた。アヤレウは、盾が「不当に取得された」ものだとして、競売の取りやめとエチオピア政府への送還を求めている。また、エチオピア観光局の一部門である国家遺産局配下の返還委員会が、この競売は「不適切かつ不道徳」と断じたことを英テレグラフ紙が報じている。

アンダーソン&ガーランドのウェブサイトに掲載された盾の出品説明には、その背景にある歴史的な出来事として、イギリス軍の司令官ロバート・ネイピア(後のマグダラのネイピア男爵)が「報復としてテオドロス2世の軍備を破壊し、マグダラを焼き払う」ことを命じ、部隊が「多数の宝物などを奪ってイギリスに持ち帰った」と書かれている。しかし、アートニュースペーパーによると、1868年以降の盾の来歴は明らかにされていない。

US版ARTnewsはアンダーソン&ガーランドにコメントを求めたが、回答は得られなかった。(翻訳:石井佳子)

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