人気ファッションブランド、シュプリームがハーレムの写真家とコラボ。新アイテムは日本でも発売
ストリート系ファッションとして人気のスケーターブランド、シュプリーム。積極的なコラボ戦略を展開するシュプリームが新たにリリースしたのは、マルコムXやハーレムの人々の姿を捉えた写真作品をフィーチャーしたものだ。このコラボアイテムは日本でも販売中。
今回シュプリームがコラボするのは、20世紀のアメリカを代表する写真家で、1950年代のハーレムを撮影したモノクロ写真で知られるロイ・デカラヴァ(1919-2009)だ。その作品がプリントされたフーディーとTシャツは、米国で5月19日に、日本では21日に発売された。
ニューヨークのハーレム生まれのデカラヴァは、絵画と版画を学んだ後、写真の道に進んだ。1952年には黒人写真家として初めてグッゲンハイム奨励金を受けている。
この奨励金を利用し、ハーレムの人々の暮らしを架空の老婆の目を通して描いた写真集『The Sweet Flypaper of Life(人生の甘いハエ取り紙)』を55年に制作。これは、ハーレム・ルネサンスの中心的存在だった詩人、ラングストン・ヒューズの文と自分の写真を組み合わせたもの。
同年、ニューヨークに短期間ながらフォトグラファーズ・ギャラリーを開設し、75年からはニューヨーク市立大学ハンター校で教鞭を取るようになった。2009年、89歳で亡くなっている。
シュプリームはこれまでも、ナン・ゴールディンやキース・ヘリングといったアーティストとコラボしている。新アイテムは、デカラヴァの作品を管理するデカラヴァ・アーカイブズと共同で制作され、収益は全てハーレムにあるションバーグ黒人文化研究センターに寄付される。
今回のコラボの背景には、近年デカラヴァの作品が再び注目されていることがある。1963年から83年までの黒人アーティストの作品を集め、2017年から米英を巡回した大規模な展覧会「Soul of a Nation: Art in the Age of Black Power(ソウル・オブ・ア・ネーション:ブラックパワー時代のアート)」でもデカラヴァの写真が展示された。
22年1月には、4年前からデカラヴァ作品を扱うようになったメガギャラリー、デビッド・ツヴィルナーによって、30年ぶりとなるデカラヴァの本格的な回顧展が開かれている。(翻訳:清水玲奈)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年5月17日に掲載されました。元記事はこちら。