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借金の返済か。米実業家がウォーホルやバスキアを含む71点の作品を1500億円超で売却

実業家のロナルド・O・ペレルマンがこれまでコレクションしていた71点の美術品を約1511億円で売却した。自身が株を持つ化粧品メーカーのレブロンの株価が急落したことから、ウォーホルやバスキアといったアーティストの作品を売却し、資金を調達していたことが裁判資料から明らかになった。

トライベッカ映画祭に参加するロナルド・O・ペレルマン。Photo: Brad Barket/Getty Images for Tribeca Film Festival

ARTnews US版が選ぶTOP 200 COLLECTORSに何度か選出されている実業家のロナルド・O・ペレルマン。かつてはガゴシアンから頻繁に作品を購入していた彼が、ブルーチップのアーティストが手がけた71点の作品を2020〜2022年にかけて9億6300万ドル(約1511億円)で売却していたことが、公開された裁判資料から明らかになった。

売却された作品には、サイ・トゥオンブリーやエド・ルシェ、アンディ・ウォーホルアルベルト・ジャコメッティロイ・リキテンスタインパブロ・ピカソエルズワース・ケリー、ブライス・マーデン、ジャスパー・ジョーンズエゴン・シーレジャン=ミシェル・バスキアアニッシュ・カプーアマーク・ロスコフランシス・ベーコン、そしてジャクソン・ポロックの作品が含まれる。

これらの作品は、サザビーズのオークションやプライベートセールを通して売却された。彼が1985年に17億4000ドル(現在の為替で約2670億円)で買収した化粧品メーカーのレブロンの株価が新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって大幅に下落したことから、借金の返済に当てるべくこれらの作品を売却したという。

これまでも、ペレルマンが「1000点に及ぶアートコレクションのほとんどを売却した」ことは報じられてきたが、売却作品が明らかになったのは、今回裁判所に提出された書類が初めてだ

ドイツ銀行がマージンコール(金融機関が投資家に不足の証拠金を求めること)を行ったことで、ペレルマンは71点の美術品やその他の資産を売却することになった。同金融機関はまた、ペレルマンが担保に入れた美術品に対して融資を行っている。

ペレルマンが手放した作品のうち、少なくとも二つはTOP 200 COLLECTORSの一人であるケネス・C・グリフィンのもとへとわたった。ヘッジファンド、Citadelの創業者であり、シカゴ美術館の理事を長年務めているグリフィンは、ブライス・マーデンの《Letter About Rocks #2》と《River 4》をそれぞれ3000万ドル(約47億1200万円)と950万ドル(約15億円)で購入している。(翻訳:編集部)

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