2024年下半期に見たい日本のアートフェア&芸術祭19選。注目のTokyo GendaiからArt Collaboration Kyotoまで一挙紹介!

アーティストやキュレーター、ギャラリストらアート専門家たちが、さまざまな切り口で作品を提示する「アートフェア」と「芸術祭」。トレンドの最前線に触れながら作品を購入したり、その土地ならではの鑑賞体験をするなど、美術館での鑑賞体験とは異なるアートの魅力を味わえる機会だ。2024年下半期に開催される中で注目の19イベントをご紹介する。

2023年のTokyo Gendai会場風景

ここ数年で、新しいアートフェアや芸術祭が次々と誕生し、長年開催する常連も努力を重ね、年々内容の充実を図っている。芸術祭の中には3年に1度開催されるトリエンナーレもあるので、今年忘れずにチェックしておきたい。それでは、2024年下半期に開催される中で注目の「アートフェア」「芸術祭」19イベントをご紹介しよう。

1. Tokyo Gendai

2023年のTokyo Gendai会場風景

昨年初開催して話題をさらった世界水準の国際アートフェア。台湾の台北當代など大規模なアートフェアを手がける英国のジ・アート・アセンブリーが主催する。今年はペロタンブラム、Almine Rech、Sadie Coles HQなど18カ国から70ギャラリーが集結する。メインは、実力派が集まる「Galleries」、注目株や中堅を紹介する「Hana」、アジア出身の作家などが集まる「Eda」の3セクター。今回新設された「Sato」で披露される“もの派”の菅木志雄鬼頭健吾ら4人の大型インスタレーションも見逃せない。サテライトイベントとして、寺田倉庫(東京都品川区)など天王洲アイル各所で「TENNOZ ART WEEK 2024」(6月27日~7月15日)を開催。

Tokyo Gendai
日程: 7月4日(木)〜 7日(日)(4日はプレビュー)
会場:パシフィコ横浜 展示ホールC/D(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1)


2. ART OSAKA 2024

桝本佳子 《本 / 壺》 セラミック 2023 Courtesy of CANDYBAR Gallery

20年以上の歴史を持つ現代アートフェア。大阪を代表するギャラリストたちが運営するのが特徴だ。歴史的建築の大阪市中央公会堂が会場となる「Galleriesセクション」には、関西や東海、東京、台湾韓国などの45ギャラリーが出展。Gallery Yamaki Fine Artは関西戦後芸術の作家・木下佳通代を紹介する。大型作品やインスタレーションに特化した「Expandedセクション」は、クリエイティブセンター大阪とkagooの2会場で開催。ヤノベケンジが発足したモフモフ・コレクティブ(YOD Gallery)など21組の作家が参加する。

ART OSAKA 2024
日程:「Expandedセクション」7月18日(木)~ 22日(月)/「Galleriesセクション」7月19日(金)~ 21日(日)(19日はプレビュー)
会場:クリエイティブセンター大阪(大阪府大阪市住之江区北加賀屋4-1-55)、kagoo(大阪市住之江区北加賀屋5-4-19)/大阪市中央公会堂3F(大阪市北区中之島1-1-27)


3. ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024

ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023の会場風景

アジアの玄関口、福岡で「日本とアジアのアートマーケットの架け橋」を掲げて開かれ、今年で9回目。今年は台湾韓国香港・フィリピンを含む国内外98のギャラリーや団体が参加する。昨年は過去最多の来場者数1万人を超え、年々勢いを加速させる中、今回は福岡国際センターでの開催となる。小山登美夫ギャラリーや東京画廊+BTAP、ケンジタキギャラリーなどの実力派ギャラリーや注目の作家がそろい、アジアのアートの現在地を知ることができる。

ART FAIR ASIA FUKUOKA 2024
日程: 9月20日(金)~ 22日(日)
会場:福岡国際センター(福岡県福岡市博多区築港本町2-2)


4. MEET YOUR ART FESTIVAL 2024

2023年開催時の様子

アートを軸に、音楽・食・ファッションなどの隣接したカルチャーを横断するアートフェスティバル。テーマを「NEW ERA(新時代)」とし、日本とアジアの新しいムーヴメントに視線を向ける。気鋭のアーティスト100人以上が参加。東京・天王洲の運河沿いの7会場で、アートエキシビションや2つのアートフェア、アートグッズやZINEを扱うマーケットなどを開催する。森山未來と出展作家によるトークセッション、ライブパフォーマンスも。

MEET YOUR ART FESTIVAL 2024
日程:10月11日(金)〜 14日(月・祝)(11日はOUTSIDE MARKET・ライブパフォーマンス/DJエリアのみ)
会場:寺田倉庫G1ビルほか東京・天王洲運河一帯


5. Art Collaboration Kyoto

2023年 ACKイベントホール会場風景 Courtesy of ACK, photo by Moriya Yuki

現代美術を扱う世界トップクラスのギャラリーが名を連ねるフェアで、今回は19の国と地域から69ギャラリーが出展する。ギャラリー同士の共演が特徴で、「ギャラリーコラボレーション」では、国内の各ギャラリーが海外のギャラリーをゲストに迎えて1つのブースをシェア。今年はANOMALY(東京)がA Thousand Plateaus Art Space(成都)とN/A(ソウル)を、スカイザバスハウス(東京)がTanya Bonakdar Gallery(ニューヨーク)を招く。もう一方の、京都ゆかりの作家や作品を紹介する「キョウトミーティング」にはペロタン東京などが参加する。そのほか、ACKが主催する企画展やトークセッション、子どもを対象としたガイドツアーやワークショップなどの関連プログラムも充実している。

Art Collaboration Kyoto
日程:10月31日(木)〜 3日(日)(31日はプレビュー)
会場:国立京都国際会館(京都府京都市左京区宝ヶ池)ほか


6. アートウィーク東京

アートウィーク東京2023年度プログラム「AWT FOCUS:平衡 世界 日本のアート、戦後から今日まで」会場外観(大倉集古 館、東京) Courtesy Art Week Tokyo.

東京都内に点在する50以上の美術館・ギャラリーを無料シャトルバスでつなぐアートの祭典。それぞれのホームグラウンドで作品を見られるのが醍醐味だ。日本のアートシーンを象徴する施設がそろい、今年日本に進出したメガギャラリー「ペース」も参加する。⼤倉集古館で開催される、展示作品を “買える展覧会”「AWT FOCUS」は、森美術館館⻑・⽚岡真実が監修する。国際的なキュレーターによる映像プログラムや、気鋭の建築家やシェフとアートのコラボレーションが楽しめる「AWT BAR」も注目したい。

アートウィーク東京
日程: 11月7日(木)~ 10日(日)
場所:東京国⽴近代美術館、東京都現代美術館、森美術館など東京都内の美術館とギャラリー約50カ所


7. TOKYO ART BOOK FAIR 2024

アート関連の出版物に特化したブックフェアとして、アジアでも最大規模をほこる。毎年開催され、国内外の出版社やギャラリー、アーティストら約300組が出展。個性豊かなアートブック、カタログ、ZINEなど、目移りする豊富さだ。例年、展覧会やトークなどが企画され、ひとつの国や地域の出版文化にフィーチャーする「ゲストカントリー」も目玉。ファン垂涎の、有名アーティストたちのサイン会もチェックしておきたい。

TOKYO ART BOOK FAIR 2024
日程:11月28日(木)~ 12月1日(日)
会場:東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1)


8. KOGEI Art Fair Kanazawa 2024

2023年のKOGEI Art Fair Kanazawa展示風景。

多くの伝統工芸が受け継がれる金沢で開かれる、国内で唯一の「工芸」に特化したアートフェア。古美術や近代工芸の繊細な手技から、気鋭の作家や世界的アーティストによる創造性豊かな「KOGEI」までが並ぶ。昨年は日本、台湾、韓国から参加する40ギャラリーが、陶磁、金工、染織、漆、ガラス作品などを紹介した。“ホテル型”の展示が特徴で、会場にはホテルの客室やフロアを使用。住まいに近い空間で作品を見ることで、購入の検討もしやすくなる。

KOGEI Art Fair Kanazawa 2024
日程: 11月29日(金)〜 12月1日(日)(29日はプレビュー)
会場:ハイアットセントリック金沢 2、5、6F(石川県金沢市広岡1-5-2)


9. UNKNOWN ASIA 2024

日本とアジア各国のアーティストが大阪に集い、そのスケールは西日本最大級。食、音楽などを含めた「UNKNOWN=未知」のアジアを紹介する。ギャラリーブースをメインにせず、アーティスト自身が作品の魅力をダイレクトに来場者へ伝えるのが特色だ。ジャンルは、イラストレーション、デザイン、グラフィックまでと多彩。個性的な表彰システムがあり、国内外から審査員とレビュアーを200人以上招聘して、さまざまな視点からアーティストの魅力を発掘する。

UNKNOWN ASIA 2024
日程:12月6日(金)〜 8日(日)(6日はプレビュー)
場所:梅田サウスホール(大阪府大阪市北区梅田1-13-1 大阪梅田ツインタワーズ・サウス 11F

《芸術祭》

1. AOMORI GOKAN アートフェス 2024

青森県立美術館 メイン企画「かさなりとまじわり」 青木淳 《つらなりのはらっぱ のための壁》2024 年 Photo:小山田邦哉

青森県内にある現代美術を扱う5つの美術館・アートセンターの学芸員が協働で企画を練りあげた、初開催のアートフェス。テーマは「つらなりのはらっぱ」。5館を「はらっぱ」に例え、より大きなつらなりを生み出す。青森県立美術館では原口典之ら19組による「かさなりとまじわり」展を開催。弘前れんが倉庫美術館では「蜷川実花展 with EiM:儚くも煌めく境界 Where Humanity Meets Nature」を行う。8月9日から、美術家・栗林隆の体験型インスタレーション「元気炉」が全館を巡回する。

AOMORI GOKAN アートフェス 2024
日程:4月13日(土)〜 9月1日(日)
会場:青森県立美術館(青森市)、青森公立大学 国際芸術センター青森(青森市)、弘前れんが倉庫美術館(弘前市)、八戸市美術館(八戸市)、十和田市現代美術館(十和田市)の青森県内5館が中心


2. 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024

2023年越後妻有アートトリエンナーレ会場風景 「鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館」田島征三 Photo 秋元茂

2000年から3年に1度開催されてきた国際芸術祭で、日本での地域芸術祭の先駆け的存在として有名だ。新潟県・越後妻有地域で、里山の自然、廃校やトンネルなどを活用した多くの作品が生まれてきた。今年は100組の新作・新展開作品を加えた、41の国と地域・275組の作品が楽しめる。総合ディレクターは北川フラム。東弘一郎、磯辺行久、牛島智子、岡本光博、イリヤ・カバコフ(旧ソビエト連邦/アメリカ)、アントニー・ゴームリー(イギリス)、田島征三らが参加する。

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024
日程:7月13日(土)〜 11月10日(日)
会場:新潟県・越後妻有地域(十日町、川西、中里、松代、松之山、津南の6エリア)


3. 浅間国際フォトフェスティバル PHOTO MIYOTA

2023年の浅間国際フォトフェスティバル PHOTO MIYOTAの展示会場

浅間山麓の雄大なロケーションの中で毎年開催される、屋外型のアート写真の祭典。昨年は世界の20作家が参加した。大型展示や、意外な支持体によるユニークな見せ方はフェスティバルならではだ。今年のテーマは「Memories Through Photography 写真の中の記憶」。各写真家が、⼈、場所、モノなどに秘められた物語や問題などを浮かび上がらせる。AIやプリント技術の進化など、写真技術の“いま”が体感できるはずだ。

浅間国際フォトフェスティバル PHOTO MIYOTA
日程:7月20日(土)~ 9月16日(月・祝)
会場:MMoP(長野県北佐久郡御代田町馬瀬口1794-1)


4. さどの島銀河芸術祭

寺田佳央 世阿弥の彼岸ボートゴールデンクルージング

佐渡島民の主導で2021年に生まれた国際芸術祭。離島で育まれた伝統芸能や建築物などの文化資源を、国内外のアーティストが作品やパフォーマンスに昇華し、島内各所で発表する。その昔、北前船がさまざまな文化を佐渡に運んできたことから、テーマは初回から一貫して「過去と未来の帰港地」。参加作家は、中村厚子、ジョン・ウイリアムズ(イギリス)、 渡辺志桜里、計良宏文×高木由利子、吳建興(台湾)、Ana Amelia Genioli(ブラジル)ほか。

さどの島銀河芸術祭
日程:8月11日(日)〜 11月10日(日)(6日はプレビュー)
会場:新潟県佐渡市の佐渡島内各所(両津エリアが中心)


5. 神戸六甲ミーツ・アート

2023年神戸六甲ミーツ・アート会場風景 川俣正《六甲の浮き橋とテラス》2023年 撮影:高嶋清俊

神戸市・六甲山上で毎年開催され15回目を迎える。今年のテーマは「新しい視界 Find new perspectives.」。時間的コストを優先して思考が省略されがちな昨今、さまざまな表現手法で制作された現代アートを通じて、新たな価値観を提示する。青木 陵子+伊藤 存、青野文昭、雨宮庸介、金氏徹平さわひらき、のん、宮永愛子など “幅広い視点”で活動する60組以上が参加。オランダゆかりのアーティストら4組が、「人間やそれ以外の生命」について思索した作品も公開。

神戸六甲ミーツ・アート
日程:8月24日(土)~ 11月24日(日)
会場:ROKKO森の音ミュージアム(神戸市灘区六甲山町北六甲4512‐145)ほか全9会場


6. みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2024

2023年山形ビエンナーレの会場風景

東北芸術工科大学の主催で2014年にスタートした同芸術祭は、同大と蔵王温泉が舞台。今回のテーマ「いのちをうたう」は、地域ゆかりの歌人、斎藤茂吉からイメージを膨らませたという。今の時代の「いのち」と「うた」について、美術家や歌人、デザイナー、ダンサーらが4つのプロジェクトを展開。茂吉の歌碑を巡る周遊型展覧会、観客参加型の音楽ライブや食の体験、陶器市、野外インスタレーション、企画展など趣向を凝らした内容を用意する。

みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2024
日程:9月1日(日)〜 16日(月・祝)
会場:蔵王温泉(山形県山形市)、東北芸術工科大学(山形県山形市上桜田3-4-5)


7. 北アルプス国際芸術祭2024

北アルプスに抱かれた長野県大町市を舞台に、市街地、ダム、源流、仁科三湖、東山という特徴的な5つのエリアでサイトスペシフィックなアートを展開する。3年に一度の開催で、芸術祭のコンセプトは「水・木・土・空」。総合ディレクターの北川フラムが、11の国と地域から第一線で活躍する36組を招いた。淺井裕介、ダナ・アワルタニ(パレスチナ)、千田泰広、平田五郎、川俣正、木村崇人、ジミー・リャオ(台湾)、目[mé]、村上慧、山本基らが参加する。

北アルプス国際芸術祭2024
日程:9月13日(金)〜 11月4日(月・祝)
会場:長野県大町市内の5エリア


8. 森の芸術祭 晴れの国・岡山

Courtesy of Rirkrit Tiravanija

岡山県北部で、今年新たに始まる国際芸術祭。12市町村を6エリアに分け、町家、明治・大正期の欧風建築、大名庭園、高原など多岐に渡るロケーションで作品を見せる。新見市内の2つの鍾乳洞で行われる、蜷川実花、アンリ・サラの展示も気になるところ。13の国と地域から、レアンドロ・エルリッヒ、磯崎新、川内倫子、森山未來、坂本龍一高谷史郎、妹島和世ら36人が出展する。アートディレクターは金沢21世紀美術館館長の長谷川祐子。

森の芸術祭 晴れの国・岡山
日程:9月28日(土)〜 11月24日(日)
会場:岡山県内の12市町村(津山市、高梁市、新見市、真庭市、美作市、新庄村、鏡野町、勝央町、奈義町、⻄粟倉村、久米南町、美咲町)


9. GO FOR KOGEI 2024

2023年 GO FOR KOGEI会場風景 葉山有樹《双竜》2023年 Photo: Watanabe Osamu

ものづくりが根付く北陸から、「工芸」を現代アートやアール・ブリュット、デザインなどと横断的に紹介して、広く「KOGEI」として捉え直す。総合監修・キュレーターは、金沢21世紀美術館特任館長の秋元雄史。「くらしと工芸、アートにおける哲学的なもの」のテーマの下、近代工芸の特徴に改めて着目する。赤木明登×大谷桃子、磯谷博史、伊能一三、岩崎努、サリーナー・サッタポン、舘鼻則孝、外山和洋、松山智一、八木隆裕ら19組の参加が発表されている。

GO FOR KOGEI 2024
日程:9月14日(土)〜 10月20日(日)
会場:富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア)


10.東京芸術祭

東京・池袋エリアで開催される都市型総合芸術祭。演劇などの舞台芸術を中心に、各種アートコンテンツも用意される。舞台芸術のつくり手たちがアートキャンプの成果を語るプレゼンテーション(9月28日)や、多ジャンルの芸術家によるワークショップ「かぞくアートクラブ」(23日と29日)など。美術家・牛島光太郎による託児所「こどもあそびシアター」(20日~28日)も設けられる。21、22、28日は空きがあれば、展覧会鑑賞といった私的なアート活動のための託児としても利用できる。

東京芸術祭 2024
日程:9月15日(日)〜 29日(日)
会場:東京芸術劇場(東京都豊島区西池袋1-8-1)、GLOBAL RING THEATRE〈池袋西口公園野外劇場〉

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