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  • 2024.07.19

「多様な声を広げる」ロエベ財団/スタジオ・ヴォルテール賞2024はインド出身のプラジャクタ・ポトニス

ロエベ財団/スタジオ・ヴォルテール賞」国際アーティスト・イン・レジデンスの2人目の参加者に、インドのアーティスト、プラジャクタ・ポトニスが選ばれた。スタジオ・ヴォルテールは、イギリスを代表する非営利芸術団体の1つ。

プラジャクタ・ポトニス《Self close》(2023)Photo: Courtesy the artist and the Sharjah Art Foundation

インド・ムンバイを拠点に活動するアーティスト、プラジャクタ・ポトニスが「ロエベ財団/スタジオ・ヴォルテール賞」国際アーティスト・イン・レジデンスの2人目の参加者に選出された。ポトニスには、ロンドンのスタジオ・ヴォルテールのスタジオスペースが1年間無償で提供されるほか、旅費や宿泊・生活費、制作費、専門技術開発などを支援する2万5000ポンド(約510万円)の奨励金が授与される。

同賞は、「現代アートの実践における才能、個性、独創的な思考」に光を当てることを意図して2021年にスタート。「公平な表現とアクセスの拡大・強化を図り、階級、人種、ジェンダーセクシュアリティ障がいの有無を超えてアーティストの声を広める」ことを目的としている。第1回の受賞者は、香港のアーティストで独立系出版社を運営するビアトリクス・パンだった。

今回、インドからは同国アートシーンのキーパーソンが12人のアーティストの作品を応募。美術史家でキュレーターのデヴィカ・シン、スタジオ・ヴォルテールのディレクターであるジョー・スコットランド、キュレーターのドット・ジーハン・ジアが最終選考を行った。

ポトニスは絵画、写真、インスタレーション、タイムベースト・メディア(*1)を駆使して制作に取り組み、グローバルな政治や経済が人々の公的・私的な営みにどんな影響を与えるのかを探求。作品の中で、家族、社会、政府、時間など、我われの中に根付いた制度の枠組みに問いを投げかけている。


*1 映像やスライド、パフォーマンスなど、鑑賞が時間的に展開するメディア。
プラジャクタ・ポトニス《Capsule》(2012)、コットンラグ紙にデジタルプリント Photo: Courtesy the artist

ポトニスは受賞の喜びを声明でこう述べている。

「この賞は、私がこれまで探求してきた重要な問題との比較を可能にする新たな文脈を与えてくれるだけでなく、不確実で困難に満ちた今の時代に向けた新しい作品のリサーチや制作を行う貴重な機会となるでしょう。また、アーティストや活動家、キュレーター、オーディエンスが集う活気あるコミュニティの中で、内省と交流の場を提供してくれることと思います。これまでの経験やアイデアを共有できることを楽しみにしています」

ポトニスにとってイギリスでの初のプロジェクトとなるスタジオ・ヴォルテールでのレジデンスプログラムは、今年10月から始まる。

なお同賞では、2021年からロンドンを拠点とする7人のアーティストに、無償のスタジオスペース、専門技術開発の場や奨励金など、2年にわたる支援を実施している。2023-25年の受賞者は、ババジデ・ブライアン、マズ・マレー、エミリー・ポープ、シャミカ・ラドック、ミーラ・シャクティ・オズボーン、ニック・スミス、オジー・ウィリアムズ。(翻訳:石井佳子)

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