サザビーズが検討中のIPO、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーを幹事に起用へ
ブルームバーグ(英語版)の1月13日付記事によると、オークションハウスのサザビーズは、ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーに、同社が検討しているIPO(株式公開)のアドバイザーを務めるよう打診したという。記事によれば、サザビーズは2022年中に株式公開することを検討しており、評価額は50億ドル(約5700億円)前後を見込んでいる。
277年の歴史を持つサザビーズは、通信業界の大物として知られるパトリック・ドライ氏が2019年6月に37億ドルで買収したことで株式非公開化されたが、それ以前の30年間は上場企業だった。オーナーのドライ氏がIPOを検討するに至った背景には、コロナ禍を経てアートマーケットが大幅に回復し、サザビーズが2021年に73億ドル(約8300億円)という記録的な売上高を達成した事実がある。そのうち60億ドル(約6800億円)がオークション、13億ドル(約1500億円)がプライベートセールによるものと発表されている。
サザビーズ買収以降の2年間で、ドライ氏の投資はすでに一定の成果を上げたと見られる。借り入れた資金を活用して大規模投資をすることで知られるドライ氏は、2019年のサザビーズ買収では14億5000万ドルを株式で、残りは借入金でまかなった。コロナ禍におけるコスト削減の後、ドライ氏は配当から4億6500万ドルを回収している。
ブルームバーグのコラムニストであるクリス・ヒューズは、ワシントン・ポスト紙への寄稿記事で、ドライ氏のIPO計画を「機を見るに敏なやり方」と評している。ヒューズは、このIPOはおそらく実のあるものになるという見方を示し、「株式公開で得られた資金を他の投資先に振り向けられる」と述べている。
ドライ氏は、通信会社アルティスの創業者でオーナーでもある。同氏は12月にアルティスによる英通信会社BTへの出資比率を12.1%から18%に引き上げたことから、同社の買収を目論んでいるのではないかとの憶測を呼んだ。ドライ氏はこれを否定している。(翻訳:清水玲奈)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年1月13日に掲載されました。元記事はこちら。