調査ボランティアが古代ケルト金貨を発見! ケルト社会が独自に鋳造を始めた貴重な初期例
- TEXT BY ARTNEWS JAPAN
スイス北西部の湿地帯で、紀元前3世紀に鋳造されたケルト金貨2枚が、考古学調査に参加していたボランティアによって発見された。ギリシャの硬貨を手本に作られたこの金貨は、ケルト社会の貨幣制度や儀式的慣習を解明する手がかりになると期待されている。

スイス北西部アリスドルフ近郊の森林地帯で2枚のケルト金貨が発見された。これらは2025年春、バーゼル=ラント準州考古学局の調査に参加していたボランティアによって見つかったもので、紀元前3世紀半ばから後半に鋳造されたと考えられている。
同じ地域からは2022年から2023年にかけて34枚のケルト銀貨が発見されており、ベーレンフェルス地域で行われた今回の調査は、この成果を受けて追加されたもの。その結果、水で満たされた陥没穴や湿地が点在するこの場所から見つかったのが、重さ7.8グラムの金貨と1.86グラムの小型金貨の計2枚だった。
これら2枚の金貨には、紀元前4世紀後半に地中海世界で流通していたギリシャ硬貨を手本に、ギリシャ神話に登場するアポロンの横顔と馬に引かれた戦車がそれぞれの面に描かれている。一方、トリスケルと呼ばれるケルト芸術や信仰を象徴する螺旋状の紋様など、独自の装飾も施されていることから、ケルト社会が独自に鋳造を始めた初期の例と考えられる。スイスでは同様の金貨がこれまで20枚ほど見つかっている。
考古学者たちは、非常に高い価値を持つこれら金貨は日常的な取引には使われておらず、権威や地位を示すための品、あるいは外交上の贈り物として使われていた可能性があると指摘する。また、結婚の持参金や配下への報酬といった特別な場合にのみ使用された可能性があるとも推測されている。
さらに、ケルト金貨は今回のように湿地や水辺など、ケルト人が神聖視していた場所で発見されることが多く、神々への奉納品として捧げられていたとも考えられている。このような儀式的な奉納は中央ヨーロッパの数多くの遺跡で確認されており、古代の記録にも言及があることから、この慣習が広く行われていたことがうかがえる。
希少性の高い2枚の金貨は、アリスドルフで発見された銀貨とともに、2026年3月からバーゼルで特別展示される予定だ。

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