勃起した男根彫像は「豊穣」「保護」の象徴だった? 紀元前5世紀の尖筆がシチリア島で出土
- TEXT BY ANNE DORAN
イタリア・シチリア島で行われた発掘調査により、保存状態のきわめて良好な紀元前5世紀の道具「スタイラス」が発見された。上部には男性神の頭部、中央に男根が彫刻されていることから、考古学者たちは、豊穣や創造性を祈願する護符として用いられていた可能性があるとみている。

シチリア島ジェーラのオルト・フォンタネッレ地区で、文化施設の新築に伴う発掘調査が実施された。古代ギリシャ時代、ジェーラは島屈指の重要都市として栄えており、広大な遺跡群があることで知られている。ジェーラを管轄するカルタニッセッタ県文化財監督局の命によって行われた今回の調査過程で、ヘレニズム期の工房跡から、陶工が焼成前の粘土に文字や文様、印を刻むために用いた尖った道具「スタイラス」が発見された。スペイン誌ラ・ブルフーラ・ベルデが報じた。
このスタイラスは動物の骨製で、全長は13.2センチメートル。制作年代は紀元前5世紀にさかのぼり、その意匠はきわめて異例だ。四角形の柄の上部にはギリシャ神ディオニュソスの顔が彫られ、中央部分には精巧に表現された勃起した男根が配されている。
この形状は、古代ギリシャの「ヘルマ」と呼ばれるモニュメントを模したものと考えられる。ヘルマとは、境界標や道標として用いられた角柱状の石柱で、上部に男性神の頭部が載せられ、腰の位置に男性器の浮彫や彫刻が施されることが多い。こうした男根表現は単なる装飾ではなく、生殖力や生命力、魔除けの力を象徴し、邪悪なものを退け、共同体を守る呪術的意味を帯びていたとされる。
考古学者たちは、今回発見されたスタイラスが、工房の保護や芸術的インスピレーション、さらには豊穣と結びついた、護符に近い役割を果たしていた可能性があると推測している。(翻訳:編集部)
from ARTnews

1900年前の姿のまま! 古代ローマの墓地から「死者を導く」オイルランプが出現|オランダで行われていた発掘調査で、古代ローマの墓地の遺跡から1900年前のオイルランプが出土した。ランプは非常に繊細な装飾に彩られているにもかかわらず傷ひとつなく、考古学者たちを驚かせている。【続きを読む】
Photo: Courtesy BAAC / RAAP

小さな偶像たちが炉を囲むようにずらり! トルコの遺跡で発見された4500年前の祈りの形とは|トルコ・アナトリア半島の遺跡から、大理石や骨、テラコッタで作られた小さな偶像と未完成の陶器が発見された。4500年前の人形と未完成の陶器が示すのは、宗教と日常が交錯した古代の暮らしだった。【続きを読む】
Photo: via X/@MehmetNuriErsoy

バイキングの「野蛮なイメージ」を覆す新発見──古代ゲーム駒から浮かび上がる意外な側面とは|バイキングの男性の髪型は? と聞かれると、ワイルドな長髪に三つ編みをイメージする人も多いだろう。だが、デンマーク国立博物館で200年以上も資料庫で忘れ去られていた古代のゲーム駒を調査したところ、これまで知られてこなかった側面が見えてきた。【続きを読む】
Photo: Courtesy the National Museum of Denmark.

新たに調査が行われた、デンマーク国立博物館所蔵のバイキング時代のゲーム駒。Photo: Courtesy the National Museum of Denmark.

3800年前の「足を繋がれたカエルの土偶」は何を意味するのか? ペルーの遺跡で新発見|アメリカ大陸最古の文明、カラル文明の都市として知られるペルーのビチャマ遺跡で行われてきた発掘調査で、3800年前のカエルの土偶やレリーフが出土した。これらの発見により、当時の人々が気候危機を連帯して乗り越えようとした姿が明らかになった。【続きを読む】
Photo: Courtesy Peru’s Ministry of Culture

ペルーのビチャマ遺跡で見つかったカエルの土偶。Photo: Courtesy Peru’s Ministry of Culture

4世紀の遺跡から「ビーチサンダル」モザイク画を発見。後期ローマ時代の装飾トレンドを象徴|シチリア中南部にある古代ローマの別荘の遺跡で「ビーチサンダル」そっくりのモザイク画が発掘された。この遺跡は過去にも「ビキニを着た女性たち」のモザイク画が見つかっており、考古学ファンの関心を集めている。【続きを読む】
Photo: Edoardo Fornaciari/Getty Images

同遺跡から見つかった、「ビキニを着た女性たち」のモザイク画。Photo: Wikimedia Commons

16世紀「怪物の庭園」は没入型アート施設だった!? 奇怪な彫像だけでなく、水を用いた聴覚的演出も|鬱蒼とした森の中に奇怪な彫刻が立ち並ぶイタリア・ラツィオ州の庭園、サクロ・ボスコは、今も多くの謎に包まれている。しかし、最新技術を用いた調査によって、その新たな側面が明らかになった。【続きを読む】
Photo: Mauro Flamini/REDA/Universal Images Group via Getty Images

サクロ・ボスコに設置された、ギリシア神話に登場する怪物、エキドナを象った彫刻。
Photo: Mauro Flamini/REDA/Universal Images Group via Getty Images

ネアンデルタール人が4万年前に制作したアート作品を発見! 顔料からは成人男性の「完全な指紋」も|スペイン中部のサン・ラサロ遺跡の調査で見つかった石を調べたところ、それがおよそ4万年前にネアンデルタール人が作った芸術作品と判明。使用された顔料からは成人男性と見られる完全な指紋が検出された。【続きを読む】
ネアンデルタール人が制作したアート作品と考えられる石。Photo: X/@IGME1849

スペイン国家警察の鑑識部門の協力により明らかになったネアンデルタール人の成人男性の指紋(写真右)。Photo: X/@IGME1849

畑から1400年前の純金製カラスの頭部が出土! 新人金属探知機愛好家らの大手柄|金属探知機愛好家グループの新人を含む2人が今年1月、イングランド南西部の畑で1400年前にさかのぼるアングロサクソン時代の金製のカラスの頭部とガーネットが埋め込まれた帯を発掘した。一生に一度あるかないかの大発見にグループは大喜びしている。【続きを読む】
Photo: Chris Phillips

3歳の少女が3800年前のお守りを発見! 「石に歯のようなものがあったから拾った」とコメント|エルサレム近郊を家族でハイキング中だった3歳の女の子が、偶然珍しい形の石を発見。これが3800年前のお守りだったことをイスラエル考古学庁が発表した。【続きを読む】
Photo: Courtesy Israel Antiquities Authority

中国で30万年前の「超小型ネコ科動物」の化石を発見! ネコ科の歴史に「貴重な1ページ」を刻む|中国東部の華龍洞遺跡で30万年前のネコ科動物の化石が発見された。古代の猫の仲間の化石としては最も小型で、種の歴史を知る上での貴重な資料となっている。【続きを読む】
アジアに生息するベンガルヤマネコ。Photo: Getty Images

中国東部の華龍洞遺跡で見つかった、ベンガルヤマネコの仲間の下顎の化石。Photo: Facebook/Anhui, China - gov