あの問題作も! 20世紀を代表する芸術家フィリップ・ガストンの作品220点が、メトロポリタン美術館に寄贈される
秘密結社クー・クラックス・クランのメンバーを描いた絵画作品が美術界内外で激しい論争を巻き起こしてきたフィリップ・ガストン。今回、その娘であるムーサ・メイヤーが、問題作を含む父の作品220点をメトロポリタン美術館に寄贈すると発表。来年5月にお披露目される。
20世紀を代表するアメリカの芸術家のひとりであるフィリップ・ガストン。1950年代には抽象表現の作家として評価を受けつつも、60年代には具象表現に移り、批評家に衝撃を与えた。
作品の中でも、白人至上主義を掲げる秘密結社、クー・クラックス・クランのメンバーを不条理な状況で描いた一連の絵画は、美術界内外でも激しい論争を巻き起こしてきた。2020年、ワシントンDCのナショナル・ギャラリーでの回顧展開催の際には、ガストンのメッセージを理解できない観客が出ることを恐れた同美術館が、ほかの3つの共催機関とともに展覧会の延期を決定。2022年には、ボストン美術館が問題の作品に関して事前に告知した上で、新しいキュレーションによる回顧展を開催した。この展覧会は、現在、ヒューストン美術館に巡回中だ(2023年1月16日まで)。
220点の寄贈先となったメトロポリタン美術館(MET)も、2003年に別のガストン回顧展を開催している。しかし、これまで同美術館が所蔵していたガストン作品に主要なものはほとんど含まれていなかったため、今回の寄贈によって、ほかの美術館ではほとんど見られない、より包括的なガストンのコレクションが実現することになる。 もちろん、そこには現在ヒューストン美術館に巡回中の回顧展で取り上げられている作品も含まれる。
メイヤーから贈られる作品は、2023年5月に同美術館で特別公開される予定。メイヤーはまた、父親の作品の研究を促進するための基金として、METに1,000万ドル(約14億円)を寄付すると発表している。
同美術館のマックス・ホライン館長は、この寄贈を「本当に並外れたもの」と称賛。以下、代表的な寄贈作品を紹介しよう。(翻訳:編集部)
《Mother and Child》(1930年頃)
《Ceremony》(1946-47年)
《Untitled》(1958年)
《The Three》(1964年)
《Pantheon》(1973年)
《The Studio》(1969年)
《Pittore》(1973年)
《Both》(1976年)
《Floor》(1976年)
《Sleeping》(1977年)
《Aegean III》(1977年)
《Flame》(1979年)
《Yellow Light》(1975年)
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