ベナン共和国、2024年のヴェネチア・ビエンナーレへの初参加を決定。キュレーターのアズ・ヌワグボグはアフリカ現代アート界の第一人者
2024年に開催される第60回ヴェネチア・ビエンナーレに、西アフリカのベナン共和国が初めて国別パビリオンを出展することを公表した。同ビエンナーレでは、近年アフリカ諸国の参加が活発化している。
3月13日にベナン共和国政府の文化部門担当者が発表したところによると、ベナン・パビリオンの指揮を取るのはキュレーターのアズ・ヌワグボグ。同国のパトリス・タロン大統領をはじめ、文化観光相のジャン=ミシェル・アビンボラやベナン国立美術館の館員らが選考委員となり、ナイジェリアのラゴス生まれでアフリカのアートと写真に詳しいヌワグボグを起用した。
ヌワグボグは、ラゴスに拠点を置く非営利団体、アフリカン・アーティスツ・ファウンデーション(AAF)のディレクターでもある。過去にはケープタウンのツァイツ・アフリカ現代美術館の館長としてジンバブエの現代画家に光を当てた展覧会を開催したほか、2010年に始まったラゴス・フォトフェスティバルの創設にも尽力した。
タロン大統領は声明の中で、ヌワグボグを「ヴェネチア・ビエンナーレという国際舞台で、ベナンの文化遺産と現代美術を世界にアピールするのに、これ以上ない候補者だ」と評している。
タロン大統領は政権が発足した2016年以降、かつてベナンから略奪された美術品の返還運動に積極的に取り組み、2021年には約130年前にフランス軍が戦利品として不法に持ち出した26点の美術品の返還についてフランスと合意した。
ベナン・パビリオンの計画に関するリリースによると、ヌワグボグのキュレーションの役割は、「ベナンの地で生まれ、数多くのディアスポラ(*1)に受け継がれている偉大な芸術の持つ潜在力を維持し、さらに広げていくための知的な枠組みを構築すること」だが、正式な計画はまだ発表されていない。
*1 アフリカ大陸からアメリカなど世界各地へ移民した・させられた人々の末裔。
ヌワグボグはこれまでも、ヴェネチア・ビエンナーレでアフリカ諸国の存在感を高めるための活動を熱心に推し進めている。実際、2019年にはガーナとマダガスカルが初参加し、2022年にはカメルーン、ナミビア、ウガンダが初の国別パビリオンを出展するなど、アフリカからの参加が増えている。(翻訳:石井佳子)
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