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今週末に見たいアートイベントTOP5: 世界最注目のデザイン集団を知る「へザウィック・スタジオ展」、川内理香子が新作13点を発表 「line & colors」ほか

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

川内理香子 個展 「line & colors」(N&A Art SITE) より、《WINDY》(2022) oil on canvas, 162×130.3 ㎝

1. へザウィック・スタジオ展:共感する建築(東京シティビュー)

ヘザウィック・スタジオ《リトル・アイランド》(2021) ニューヨーク Photo: ティモシー・シェンク

今、世界で最も注目されている「へザウィック・スタジオ」とは? 28の主要プロジェクトで紹介

1994年にイギリス出身の建築家、トーマス・へザウィックがロンドンで設立した「へザウィック・スタジオ」は、ニューヨークシンガポール上海香港など世界各地で革新的なプロジェクトを手掛ける、今世界で最も注目されるデザイン集団である。同スタジオは、都市計画のような大規模プロジェクトにおいても「ヒューマン・スケール」を基準とし、プロダクトや建築物というハード面よりも、人々が集い、対話し、楽しむ空間作りに重点を置いている。これまで、ロンドンオリンピック聖火台(2012年)や、2023年完成予定の、東京の麻布台ヒルズ/低層部などなどを手掛けている。

本展では、そのユニークな創作にスポットを当てる。試行錯誤を重ねたプロジェクトの模型や素材サンプルなど多様な資料を織り交ぜながら、同スタジオがこれまで手掛けた主要な28件を6つの視点に分けて紹介。そのほか、同スタジオが担当し、50年ぶりにデザインを一新したロンドン二階建てバスの高さ4メートルを超える原寸大模型も展示する。

へザウィック・スタジオ展:共感する建築
会期:3月17日(金)~6月4日(日)
会場:東京シティビュー(東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー52階)
時間:10:00 ~ 22:00 (入場は21:00まで)


2. 川内理香子 個展 「line & colors」(N&A Art SITE)

《WINDY》(2022) oil on canvas, 162×130.3 ㎝

独特の身体観や生命観を表現した、待望の新作13点を展示

独自の表現を模索し、成果を上げ始めている若手作家を中心に紹介するシリーズ企画、「NANJO SELECTION」の第1回目は、川内理香子を取り上げる。川内は食への関心や身体への違和感を起点とし、身体と精神、自然と思考の相互関係の不明瞭さを主軸に作品を制作。ドローイングやペインティングに加え、針金やゴムチューブ、樹脂やネオン管など多岐にわたる素材を使用ている。中でも特徴的なのは油彩作品で、油絵の具を厚く塗り、その上からペインティングナイフの先端で絵の具を削るように線を描いている。

本展では、フランスの社会人類学者、レヴィ=ストロースの神話分析から着想を得た13点の新作を発表。人体や人間の頭部、動物や植物のモチーフを混然と配置することで、川内独特の身体観や生命観を表現している。

川内理香子 個展 「line & colors」
会期:3月25日(土)~4月27日(木)
会場:N&A Art SITE(東京都目黒区上目黒 1-11-6)
時間:12:00 ~ 17:00 


3. ジョー・グード(KOKI ARTS)

《Untitled》(2019) Milk bottle and acrylic paint, 9" × 4" × 4"

米国西海岸アートシーンのパイオニアが60年以上手掛けるモチーフの作品を発表

1950年代にロサンゼルスのシュイナード芸術学校(現・カリフォルニア芸術大学)に通い、1962年、アメリカの美術館で開催された歴史的なポップアート展「New Painting of Common Objects」に、ロイ・リキテンスタインアンディ・ウォーホル、ジム・ダイン、エド・ルシェらと参加したジョー・グード。ロサンゼルスのアートシーンのパイオニアとして、抽象表現主義とポップアートの要素を取り入れた独自の作風を創出し、作品は、ロサンゼルス・カウンティ美術館ロサンゼルス現代美術館ニューヨーク近代美術館ホイットニー美術館を含む数多くの美術館に収蔵されている。

同ギャラリー2回目の個展となる本展は、1960年代から数々の作品に登場してきた「牛乳瓶」の立体作品10点と、牛乳瓶をモチーフとしたペインティング3点を展示。立体作品は、1960年代から取り組んでいる「何かを通して見る」というコンセプトが組み込まれている。牛乳瓶をまるで絵画のように絵の具で厚く塗っており、強い物質感を放つと同時に、メディウムや穴などを介して形、光、瓶内の空間などを感じることができる。

ジョー・グード
会期:3月31日(金)~5月6日(土)
会場:KOKI ARTS(東京都千代田区東神田1-15-2ローズビル)
時間:12:00 ~ 19:00 


4. 「買上展」藝大コレクション展2023(東京藝術大学大学美術館)

鎌⽥友介《Other perspectives -The entrance-》(2011) 東京藝術⼤学蔵

東京藝術大学の「買上制度」に注目。代表的作家の100件で美術教育の歩みを振り返る

1953年より、東京藝術大学が卒業・修了制作の中から各科ごとに特に優秀な作品を買い上げてきた制度「買上」。本展は、現在1万件を超える同大学所蔵の学生制作作品の中から約100件を厳選。2部形式で東京美術学校時代から現在までの日本の美術教育の歩みを振り返る。

第1部は、1893年の開学以来収集してきた卒業制作から、横山大観、下村観山、菱田春草、青木繁など、卒業後に日本近代美術史を牽引した作家たちを各分野から選りすぐり、彼らの「デビュー作」を紹介。第2部は、買上作品から厳選して展示する。それぞれに選定意図を添えており、同大学が優秀と認める作品の傾向を知ることができる。作家は村岡貴美男、山田彩加、岡ともみ、山口諒ほか。

「買上展」藝大コレクション展2023
会期:3月31日(金)~5月7日(日)
会場:東京藝術大学大学美術館(東京都台東区上野公園12-8)
時間:10:00 ~ 17:00 (入場は30分前まで)


5. “SUN” YOSHIROTTEN INSTALLATION 2023(国立競技場 大型車駐車場)

2000平米の空間で壮大な新プロジェクトのインスタレーションを展開

ファインアートと商業美術、デジタルと身体性、都市のユースカルチャーと自然世界など、複数の領域を往来するアーティスト、YOSHIROTTEN(ヨシロットン)。東京やロンドン、ベルリンでの個展開催経験を持ち、近年はニューヨークのジェフリー・ダイチで開催された「Tokyo Pop Underground」展への参加など、海外にも活躍の幅を広げる。また、アートディレクターとして、欧米ラグジュアリーブランドや国内外のミュージシャン、東京のアンダーグラウンドクラブから現代美術フェアまで広く手掛けている。2020年より、365 点の銀色の太陽のイメージで構成される「SUN」シリーズの制作を開始。3月31日には、NFT 型「SUN」をリリースした。

今回は、国立競技場の駐車場を舞台に、「SUN」シリーズのインスタレーション展示を行う。数十体のモノリス型「SUN」と、巨大 LED スクリーンやプロジェクションを駆使した映像、環境音楽などで、2000平米の巨大な空間にYOSHIROTTENの作品世界を創り上げる。

“SUN” YOSHIROTTEN INSTALLATION 2023
会期:4月1日(土)・4月2日(日)
会場:国立競技場 大型車駐車場(東京都新宿区霞ヶ丘町10-1)
時間:12:00 ~ 21:00(2日は~17:00) 

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