ノートルダム大聖堂は世界初の鉄を用いた建造物だった! 修復プロジェクトで新たな歴史的発見
パリ・ノートルダム大聖堂の壁や柱、壇上の石の構造物に、建設当初から、大きいホチキス針のような鉄製の金具を使用していたことが専門誌「Plos One」で発表された。この発見により、大聖堂は歴史上かなり重要な建造物であることが判明した。
歴史家者たちの間で、この金具は18世紀から19世紀にかけての改修時に使われたものだと考えられてきた。しかし、今回の放射性炭素を用いた年代測定法の調査により、金具が約800年前の大聖堂建設当初のものであることが判明した。
この発見について、研究者は以下のように話している。「ノートルダム大聖堂は、石を結合するための材料に鉄が大量に使用された、最初のゴシック様式の建築物です。同年代のほかの巨大建造物のアーチ部分は、木製の部品が使われていましたが、ノートルダムは、より耐久性があり、見た目も美しい鉄を大胆に採用したのです」
さらに金具を取り外して詳しく調べたところ、1本の重さは4.5~9キロ、長さは約8~20センチあり、1本の金具を作るために、複数の種類の鉄片が溶接されていたことが分かった。
なぜ異なる金属が溶接されたのかは不明だが、大聖堂の建設は1163年から半世紀以上という長い期間がかかっているため、その影響なのかもしれない。
2019年に起こった、大聖堂の一部を焼失した大火災の後、修復作業にともなって、建造物をより詳しく調べられるようになった。その結果、これまで隠されていた美術品や石棺などが発見されている。修復プロジェクトは、2024年に終了予定だ。(翻訳:編集部)
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