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  • 2023.04.14

予想落札価格は33億円! ゲルハルト・リヒター「カラーチャート」シリーズの集大成《4096の色彩》がオークションへ

ゲルハルト・リヒターを代表する絵画《4096の色彩》が、5月18日にニューヨークで開かれるサザビーズオークションに出品される。予想落札価格は1800万~2500万ドル(約24億~33億円)。

ゲルハルト・リヒター《4096の色彩》(1974) Photo: Courtesy Sotheby’s

ゲルハルト・リヒターの代表的な作品シリーズの1つである「カラーチャート」シリーズは、1960年代半ばに画材店で色見本帖に目を留めたことがきっかけで生まれた。リヒターはこれを、自身の作品に取り入れるレディメイド(既製品)の概念として完璧なものと考えた。今回オークションに出品される《4096の色彩》は、このシリーズの集大成とも言えるものだ。

「カラーチャート」シリーズの最初の作品が描かれたのは1966年で、色見本帖と同じように小さな色のブロックが細い白線で区切られている。そして、このスタイルの頂点を極めたのが、1974年に制作され、「カラーチャート」シリーズの最後を飾った《4096の色彩》だ。

4096の色のグリッドで構成されたこの作品は、現代的なピクセルのイメージを思わせ、NFTブームに火をつけたビープルの《エブリデイズ:最初の5000日》との奇妙な相似形という印象を与える。一方で《4096の色彩》は、ケルン大聖堂という歴史的建築を飾るステンドグラスのひな型にもなっている。

しかし、なぜ4095でも4097でもなく、4096なのか? リヒターが発見したのは、原色にグレーやグリーンを加えることで1024通りの色相を作り出せ、それ以上増やすと色の違いが小さくなりすぎるということだった。リヒターは1024色をそれぞれ4回繰り返して4096のブロックを描いているが、サザビーズのプレスリリースによると、これは「ある色と別の色の差がなくなる色の組み合わせの最大数」を表しているという。

このプレスリリースで、サザビーズ・ニューヨークのコンテンポラリー・イブニング・オークションの責任者、ケルシー・レナードは次のように述べている。

「ゲルハルト・リヒターの『カラーチャート』シリーズの最後の作品、《4096の色彩》は、間違いなくシリーズ中で最も野心的な作品と言えます。リヒターがほぼ10年にわたって取り組んだこのシリーズは、彼が抽象の限界に挑むきっかけとなったものです」

なお、同じ「カラーチャート」シリーズの作品《192 Farben》は、昨年10月のオークションで2050万ドル(約27億円)で落札されている。(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

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