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オルセー美術館が返還した盗品由来の絵画がオークションへ。ゴーギャンの予想落札額は20億円

2023年2月、パリオルセー美術館が所蔵する絵画の一部が、第二次世界大戦中にナチスに違法に売却されたものと判明。同館がもとの所有者の遺族に返還した絵画4点が、5月16日に開催されるサザビーズニューヨークオークションに出品されることがわかった。

2023年4月13日、パリのサザビーズで公開されたゴーギャン《Still life with mandolin》(1885)。Photo: Getty Images For Sotheby's

今回出品されるのは、ルノワール《Marine Guernesey》(1883)、《Judgement of Paris》(1908)の習作、ゴーギャン《Still life with mandolin》(1885)、セザンヌ《Undergrowth》(1890-92)の4点で、もとは、セザンヌやピカソを見いだすなど19世紀末~20世紀初頭のフランス美術界に大きな影響を与えた美術商アンブロワーズ・ヴォラール(1866-1939)が所有していたもの。1939年にヴォラールが73歳で急逝すると、遺産執行人である弟のルシアン・ヴォラールは専門家のエティエンヌ・ビグヌ、マルタン・ファビアニと組み、6000点に及ぶ遺品コレクションの一部を、ドイツの美術館やディーラー、ナチスの将校に売却していた。今回返還された4作品が当時、どういう経緯で販売されたかについての正確な記録は見つかっていない。

故人のコレクションをオークションに出品するのは、複数の法定相続人に分配するためによく取られる手段だが、今回出品される4点の中で最も高い予想落札額を付けられたのはゴーギャンの作品。1000万ドル(約13億円)から1500万ドル(約20億円)と予想されており、残りの3作品も、25万ドル(3300万円)から150万ドル(約2億円)となっている。

2013年にオルセー美術館を提訴したヴォラールの相続人は、ルシアンがナチス関係者と結んだ売買契約は無効であると主張し、2023年2月に訴えは認められた。相続人たちはさらに、オルセー美術館に所蔵されているかつてヴォラールが所有したほかの3点の絵画の返還も求めている。(翻訳:編集部)

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