今週末に見たいアートイベントTOP5: 奈良美智、村上隆ら70人超の作品が集結「デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン」、写真の祭典が京都を舞台に今年も開催「KYOTOGRAPHIE」ほか
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!
1. レギーネ・シューマン「サイレント・チェンジ」(タグチファインアート)
工業的素材に詩情を同居させる、ドイツの実力派作家
1961年にドイツで生まれたレギーネ・シューマン。欧州のほか日本でも発表を重ね、多くの企業や美術館に作品が収蔵されてきた実力派作家が、再び来日する。シューマンは、独自に開発したアクリル板を用いた作品を追究してきた。今回は壁面への展示だけでなく、日本で初めて自立する作品を公開する。
シューマンは製造業者との共同研究で、蛍光顔料を混入させたオリジナルのアクリル板を開発。顔料の量や、光の反射吸収を計算した複数の板を、絵の具を重ねるように組み合わせて制作する。作品は、太陽光や電球、ブラックライトなどによってさまざまに色が変化。その色彩と立体的な形態は、絵画とオブジェの中間領域に位置し、色彩・光・空間の関係を意識させる。工業的な素材による洗練された表現ながら、作品群には詩的な抒情性が漂う。
レギーネ・シューマン「サイレント・チェンジ」
会期:4月1日(土)~5月20日(土)
会場:タグチファインアート(東京都中央区日本橋本町2-6-13 山三ビルB1F)
時間:13:00 ~ 19:00
2. 戸田沙也加 「生い茂る雑草の地に眠る」(KANA KAWANISHI GALLERY)
表裏一体の「醜美」を追い続けるペインターの新境地
美しさと醜さ。それは相反するようでいて、決して切り離すことができない。その「醜美」の関係に眼差しを向け続け、主にペインティングで表現する1988年生まれの戸田沙也加 。作品には、醜美だけでなく存在と忘却、人間界と自然界の営み、女性と男性など、あらゆる“表裏一体”を内在させる。本展も、外界を切り取る写真と、内面の表出である絵画という両面から構成。作家の新境地を見せる。
今回モチーフに選んだのは、再開発により間もなく解体を迎える、とある物故彫刻家のアトリエ。「人知れず朽ちゆく無数の女性の裸体の塑像群に、否応なく創作意欲を掻き立てられた」と言う戸田。芸術家の創造の庭であり、魂の痕跡ともいえるアトリエから受け取ったイメージを、追体験してほしい。会期中はトークイベントも開催する(4月28日19:15〜20:30)。
戸田沙也加「生い茂る雑草の地に眠る」
会期:4月8日(土)~5月13日(土)
会場:KANA KAWANISHI GALLERY(東京都江東区白河4-7-6)
時間:13:00 ~ 19:00
3. デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン(大阪中之島美術館)
これはアートかデザインか? 70人超の多彩な作家から領域の狭間を考える
戦後より一般的に認知されるようになった「デザイン」と、概念の拡大に伴って表現が広がり続ける「アート」。時に領域を共有し合う両者の関係性に注目した展覧会が、アートとデザインを活動の両軸に据える大阪中之島美術館で開催される。両者の作品を並行的に展示することで、これはデザインなのか、はたまたアートなのかと観る者に問いかける。
本展では1950年代から2010年代までの、70人を超える多彩なデザイナーやアーティストの作品を展覧。深澤直人がデザインした携帯電話《 INFOBAR 》、インテリアデザイナー・剣持勇による《ラウンジチェア》、森村泰昌《 肖像(ファン・ゴッホ) 》、ヤノベケンジ作のガイガーカウンターを搭載した車《 アトムカー(黒) 》などが並ぶ。出品作家は、会田誠、イサム・ノグチ、亀倉雄策、河原温、草間彌生、倉俣史朗、佐藤可士和、田中一光、永井一正、藪内佐斗司、奈良美智、名和晃平、早川良雄、日比野克彦、三宅一生、宮島達男、村上隆、元永定正、柳宗理、横尾忠則ほか。
デザインに恋したアート♡アートに嫉妬したデザイン
会期:4月15日(土)~6月18日(日)
会場:大阪中之島美術館 4階展示室(大阪府大阪市北区中之島4-3-1)
時間:10:00 ~ 17:00(入場は30分前まで)
4. KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023(京都文化博物館別館ほか、京都市内19カ所)
二条城や出町桝形商店街が舞台、国際的写真家たちが繰り広げる祭典
文化都市・京都の歴史的建造物やモダンな近代建築を会場に、国内外から気鋭の写真家を招いて開く国際的な写真祭。京都文化博物館別館、東福寺塔頭光明院、出町桝形商店街などで、マベル・ポブレット(キューバ)や石内都、パオロ・ウッズ&アルノー・ロベール(イタリア・スイス)らによる15のメインプログラムが展開される。11回目となる今年のテーマは《BORDER=境界線》。我々は日々、境界線を守り、壊し、狭め、広げながら無常に生きる。この写真祭では、不可視のBORDERを写真で可視化し、芸術表現の可能性に迫る。
二条城二の丸御殿台所・御清所では、高木由利子展「PARALLEL WORLD」を開催する。独自の視点で衣服や人体を通じた「人の存在」を撮り続ける高木。今回は、日常的に民族衣装を着る人々を12か国で撮ったプロジェクトと、DIORのオートクチュールの服を撮った新作やイッセイ・ミヤケなど80年代以降のファッションを撮影した連作の2つのシリーズをパラレルに展開する。その他参加作家は、ボリス・ミハイロフ、山田学、ココ・カピタン、ジョアナ・シュマリ、山内悠、セザール・デズフリ、松村和彦、ロジャー・エーベルハルト、デニス・モリス、頭山ゆう紀、インマ・バレッロ。
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2023
会期:4月15日(土)~5月14日(日)
会場:京都文化博物館別館(京都府京都市中京区三条高倉)ほか、京都市内19カ所
時間:会場により異なる
5. 002 RYUNOSUKEOKAZAKI Solo Exhibition(THE FACE DAIKANYAMA)
ファッションとアートの領域を自在に横断する岡﨑龍之祐が、新シリーズの立体作品を発表
1995年生まれの岡﨑龍之祐は、東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻を修了後、ファッションを通した表現活動を開始。生まれ育った広島の自然環境をベースに、日本古来の土器の造形や装飾、自然と対峙する人々の営みに着想をうけた「JOMONJOMON」と、自然界に存在する色彩やフォームを想像した「Nature’s Contours」の2つの立体的なドレスシリーズを発表している。2022年にはLVMH PRIZE 2022のファイナリストに選出されたほか、ロンドンのヴィクトリア&アルパート博物館と共同企画の展覧会を香港のK11 MUSIAで開催している。
本展では、2022年より制作を始めた、木を素材に使った彫刻シリーズ「PIMT」を発表する。岡崎自身が、「虫のようであり、植物のようであり、海の生物のようであり、人のようである」と語る、様々な質感や色、フォルムが組み合わされた作品からは、神道やアミニズムなど、日本人の根源にある精神性が感じられる。そのほか、「JOMONJOMON」シリーズの新作や、布を使用したソフトスカルプチュアも展示する。
002 RYUNOSUKEOKAZAKI Solo Exhibition
会期:4月15日(土)~5月4日(木)
会場:THE FACE DAIKANYAMA(東京都渋谷区猿楽町28-13 ROOB-1 B2F)
時間:10:00 ~ 19:00