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ピカソ没後50周年の2023年、フランスとスペインが記念展を共同開催

ピカソの没後50周年にあたる2023年、フランススペインは、この偉大なアーティストをテーマにした展覧会を欧州各地および米国で共同開催する。

パブロ・ピカソ(1953) AP
パブロ・ピカソ(1953) AP

「The Picasso 1973-2023 Celebration(ピカソ没後50年を記念する 1973-2023)」と名付けられたこのイベントのため、フランススペインは合同委員会を設立した。

委員長を務めるのは、パリ・ピカソ美術館のセシル・ドブレ館長。アンダルシアにピカソ美術館を設立したピカソの孫、ベルナール・ルイス=ピカソとともに、政府の支援のもとでプログラムをまとめる予定だ。計画では、40の展覧会とイベントが欧州と北米の美術館およびアート関連施設で開催されるという。資金調達の詳細についてはまだ明らかになっていない。

共同開催については、先頃行われたフランス・スペイン・サミットで合意された。この会合は、隣国との外交関係強化を目的とするもの。3月15日にフランスのモントーバンで開催されたサミットでは、サステナビリティー、移民、防衛などの議題が両国の政府関係者の間で話し合われた。また、コロナ禍の打撃から回復途上にある両国の文化セクターの問題も取り上げられている。

フランス文化省の声明によると、一連の国際イベントを担当する委員会の設置は、ピカソを「民主主義、人権擁護、表現の自由といった欧州の基本理念を体現する」アーティストとして広く知ってもらうことを目的としている。

この声明ではまた、ピカソが1937年に描いた《ゲルニカ》を、重要な「反戦の象徴」として挙げている。現在、同作品を所蔵しているのは、マドリードのソフィア王妃芸術センターだ。

2月には、欧州連合(EU)加盟27カ国の国連大使らが、ニューヨークの国連本部に飾られているゲルニカのタペストリーの前に集まった。ロシアによるウクライナ侵攻終結への支持を表明するため、ウクライナの国旗を掲げて写真撮影が行われている。

フランスとスペイン両国の文化省・外務省の報道官は「このピカソ・プロジェクトは『今後数年間の欧州内および国際的な主要文化イベントの1つ』となることを目指す」と声明で述べている。(翻訳:平林まき)

※本記事は、米国版ARTnewsに2022年3月31日に掲載されました。元記事はこちら

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