2023年に訪れたい、日本のアートフェア6選【上半期編】──若手作家支援、作家との交流etc.ユニークな試みに注目!

ギャラリーが一堂に集まり、作品を展示販売する「アートフェア」は、作品の売買だけではなく、アーティストにとっては新作を発表する華やかなステージであり、来場者にとっては、市場のトレンドを知る場となる。 2023年1月から6月まで、国内の主要都市で開催されるアートフェアを紹介する。

2022年に行われたアートフェア東京の会場風景。

最近のアートフェアの潮流として注目したいのは、若手アーティストの支援や、アートと社会のつながり、アーティストと観客の交流など、テーマ性のあるイベントの一環として開催されることが増えてきた点だ。そのため、アートフェア初心者にとっても足を運びやすく、アーティストやアートについての知識を深めることができる絶好の機会となるだろう。

それでは、2023年上半期に国内で開催される6つのアートフェアを紹介していこう。


1. Study: 大阪関西国際芸術祭 2023

2022年の会場風景。Photo: Kohei Matsumura

2025年に世界最大規模のアートフェスティバル「大阪関西国際芸術祭(仮)」の開催を目指し、「アートと人」「アートと社会」の関係性や、アートの可能性を検証し「Studyする(学ぶ)」ためのプレイベントとして2022年より開催されている。アートやクリエイティブ産業などのビジネス展示会も同時に行われるが、アートフェアはグランフロント大阪を会場に、小山登美夫ギャラリー、KEUMSAN GALLERY、春風洞画廊など国内外の35団体が参加予定。会期中は関西にゆかりのあるアーティストの展覧会や、テーマ性を持ったカンファレンス、レストランで食とアートのコラボレーションを実現するアートダイニングなど、17日間、アートを「みる」「買う」「食べる」「学ぶ」、多彩なプログラムを実施する。 

日程:2023年1月28日〜2月13日(アートフェアは2月10日~2月12日、10日はプレビュー)
会場:大阪府立中之島図書館、釜ヶ崎芸術大学、kioku手芸館「たんす」、グランフロント大阪、THE BOLY OSAKA、船場エクセルビル、飛田会館、ほか 大阪市内各所
公式サイト 


2. ART NAGOYA 2023

ART NAGOYA 2022 VOLVOとのコラボルーム。

2011年から行われているこのフェアは、「ホテル型アートフェア」をコンセプトに、1936年創業の名古屋最古のシティホテル、名古屋観光ホテルの12階フロアを丸ごと会場に仕立て、24団体が各部屋ごとに展示を行う。地元名古屋からは名古屋画廊、art gallery Komori 、AIN SOPH DISPATCH、JILL D’ART GALLERYなどが参加するほか、東京のレントゲン藝術研究所準備室、ARTDYNE、京都のMORI YU GALLERYなど国内の実力派ギャラリーが、旬の若手作家の作品を中心に紹介する。老舗ホテルのラグジュアリー感ある内装とアート作品を同時に楽しめるのは、このフェアならではと言えるだろう。 

日程:2023年2月10日~2月13日(10日はプレビュー)
会場:名古屋観光ホテル 12F(名古屋市中区錦1丁目19-30 )
公式サイト 


3. EASTEAST_Tokyo 2023

©科学技術館

2020年に誕生したアートフェア「EAST EAST_Tokyo」を大幅にリニューアルした第1回目となる「EASTEAST_Tokyo 2023」は、、若手アーティストと、ギャラリスト、コレクターなどアート関係者が連携し、市場経済と文化・アートが公平に作用し合う「文化的エコシステム」の創造、参加者間の文化交流を目指す。メイン会場には、ANOMALY、PARCEL、SNOW Contemporary、デカメロン、TARGETなど23ギャラリーが出展するだけでなく、ライブパフォーマンスやディスカッションなど多彩なイベントも開催される。また会期中は、渋谷の街での映像作品展示、クラブやライブハウスでの音楽プログラムなど、同時多発的にさまざまな関連イベントが行われる予定だ。

日程:2023年2月17日~2月19日
会場:科学技術館(東京都千代田区北の丸公園2-1 )
公式サイト 


4. ARTISTS' FAIR KYOTO

2022年の会場風景。

アーティストが自ら企画から出品までを手掛ける異色のアートフェアとして、2018年に誕生。京都市内の重要文化財のホールや企業ビル等を会場に、加藤泉ヤノベケンジ名和晃平、 大庭大介、薄久保香ら、国内外の第一線で活躍するアーティストと、彼らの推薦や公募により選ばれた新進若手アーティストらが作品を出品する。会期中は、これまで同フェアに携わったアーティストたちのサテライト展示や、アートアワードの開催、連携プログラムによるイベントなど、アーティストを知り、交流する場も設けられる。 

日程:2023年3月4日〜5日
会場:京都府京都文化博物館 別館(京都市中京区三条高倉)、京都新聞ビル 地下1階(京都市中京区烏丸通夷川上ル少将井町239 )、渉成園(枳殻邸、京都市下京区下珠数屋町通間之町東入東玉水町)
公式サイト 


5. アートフェア東京

2022年の会場風景。

2005年から開催している、日本最大級のアートフェア。現代アートから古美術まで、出品されるジャンルの幅広さが大きな特徴だ。昨年は150団体が参加し、入場者数は4万2千人を記録した。23年は、144団体が出展(うち海外からは7団体)。西村画廊は9年ぶり、カイカイキキギャラリーは15年ぶりの参加となる。同フェアは国内外のギャラリーや美術商が出展する「ギャラリーズ」、百貨店や地方の工芸団体がジャンルを超えたアートの場をつくり出す「クロッシング」、将来性ある作家を個展形式で展示する「プロジェクツ」の3セクションで構成される。

日程:2023年3月10日~3月12日 (10日はプレビュー)
場所:東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内3丁目5-1 )
公式サイト 


6. 日比谷OKUROJIアートフェア2023   

2022年の会場風景。

アートフェア東京の会場から徒歩圏内、鉄道高架橋下約300メートルに延びる 「日比谷OKUROJI」で、アートフェア東京のサテライトとして昨年から開催されている。23年はHAGIWARA PROJECTS、HARMAS GALLERY、KANA KAWANISHI GALLERY、LEESAYA、POETIC SCAPE、THE THIRD GALLERY AYAなど、写真を含む幅広いジャンルの現代アートギャラリーが旬の作家を紹介する。今回は「ギャラリーズ」セクションのほかに、新たに若いキュレーターやギャラリーのアシスタントディレクターに活躍する場を提供する「エマージング」セクションの新設を予定している。    

日程:2023年3月9日~3月12日 
会場:日比谷OKUROJI(東京都千代田区内幸町1-7-1 ) 

*あわせて読みたい:羽田圭介 連載エッセイ「色々経てアートに目覚めるかも」第4回 アートフェア東京2022をめぐる話

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