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  • 2023.02.13

6億円を超えるゴッホ作品の所有権をめぐり、デトロイト美術館に対する訴訟が控訴審へ

デトロイト美術館が最近開催したゴッホ展に展示された作品の所有権をめぐり、米連邦控訴裁判所が審理に入ることを決定した。

今回の訴訟対象となったフィンセント・ファン・ゴッホの《Une Liseuse de romans》(1888)。Photo: Wikimedia Commons

この件で連邦控訴審は2月6日に差し止め命令を出したが、審理中は訴訟対象であるフィンセント・ファン・ゴッホの《Une Liseuse de romans》(1888)を、デトロイト美術館(以下、DIA)が引き続き保持するよう命じた。

本を読む女性を描いたこの絵は、DIAのゴッホ展「Van Gogh in America」に展示されたもので、世界各地の美術館やコレクターから同展のために集められた74点のゴッホ作品の1つだ。

展覧会の終了が近づいた1月、フロリダの投資会社Brokerarte Capital Partners LLCは、《Une Liseuse de romans》は2017年に同社が370万ドルで購入し、第三者に一時的に所有権を与えたもので、今回DIAに展示されているのを知るまで何年間も探していたと主張。所有権は同社にあるとして訴訟を提起していた。現在、この絵の価値は500万ドル(約6億6000万円)にのぼると見られている。

展示資料では、この絵はブラジルの個人コレクションから貸し出されたものとされているが、DIAに不正の疑いがかけられたわけではない。

Brokerarte Capital Partnersは、ブラジルのコレクター、グスタボ・ソテルが所有する会社で、DIAに絵の返却を求めて訴訟を起こした。これに対し一審では、DIAはこの作品が盗品ではないことの確認に十分な調査を行ったと判断された。

DIA側は美術品の国際的な共有を規定する連邦法(Seizure Act)を発動し、今後もアメリカ美術館に海外の所有者が重要作品を貸し出す際には、この規定を維持することが極めて重要だと主張。これに加え、美術館館長協会も控訴審に訴えを却下するよう求めている。(翻訳:石井佳子)

from ARTnews

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