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イギリスの美術館入場者数、コロナからの回復ならず。最新版の報告書で窮状が明らかに

3月14日、イギリス政府は最新の国立美術館・博物館の調査報告書を発表した。それによると、新型コロナウィルスのパンデミックによる影響から回復しきれていない現状が浮き彫りになった。

ロンドン東部のクイーン・エリザベス・オリンピック・パークに建設中の「V&Aイースト」。2023年3月16日撮影。Photo: AFP Via Getty Images

この報告書は、大英博物館ナショナル・ポートレート・ギャラリーヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)、テート美術館など、イギリスのデジタル、文化、メディア、スポーツ省(DCMS)が後援する15館からなるネットワークのデータを基にしたもので、同省が毎年作成している。

3月14日に発表された最新の2022年から2023年版は、新型コロナウィルスの感染拡大以降、はじめて入場制限の影響を受けなかった期間に当たる。この報告書によると、2023年の第1四半期にこれらの美術館を訪れた人数は、パンデミック前の同期間に比べて4分の1以上少なかったという。

細かく見ていくと、2022年から2023年間のこれらの美術館や博物館への入場者数は3510万人だったが、これはパンデミック前の2018年から2019年にかけての人数よりも約1400万人少ない。また、外国人観光客についても、同期間の入場者数は1150万人だったが、パンデミック前である2019年の数字より49.5%も少ない。

また、対象の美術館・博物館は2022年から2023年にかけて国内の文化施設に所蔵品を1105件貸し出したが、これは2018年から2019年間の1348件と比べて18%の減少だ。

報告書の著者である統計学者のファヒム・アリは、今回の結果はパンデミックの影響が長引いていることを示していると説明する。そして「(パンデミックは)海外と国内の両方において、パートナーやパートナーになる可能性のある組織がプロジェクトに参加する力を低下させました」と述べている。(翻訳:編集部)

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