今週末に見たいアートイベントTOP5: 千葉の生誕150周年を祝う芸術祭、アレック・ソスが撮った「東京」
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!
1. 「没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる」(東京都写真美術館)
幻の最晩年の個展の展示作品を特別公開
日本の写真史に大きな足跡を残した写真家、木村伊兵衛(1901-1974)。1920年代に実用化が始まったばかりの小型カメラに写真表現の可能性をいち早く見出し、東京の下町風景を切り取ったスナップや、文芸諸家のポートレートで名声を確立。1950年に日本写真家協会初代会長に就任し、土門拳とともに「リアリズム写真」の運動を推進した。木村はまた、広告宣伝写真や歌舞伎などの舞台写真、カラーフィルムによる滞欧作品、秋田の農村をテーマにするシリーズなど、数多くの傑作を残した。死後、1975年には新人を対象とした「木村伊兵衛写真賞」が設立され、これまで石内都、ホンマタカシ、鈴木理策ら現在は第一線で活躍する多くの写真家が選ばれてきた。
没後50年に合わせて開催される本展は、最近発見されたニコンサロンでの生前最後の個展「中国の旅」(1972-1973)の展示プリントを特別公開する。印刷メディアを媒体として人間の営みのイメージを伝えるという写真の社会的な機能を自覚して、自らを「報道写真家」と位置づけた木村。その最後の傑作を楽しんでもらいたい。
「没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる」
会期:3月16日(土)~ 5月12日(日)
会場:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
時間: 10:00 ~18:00(木・金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(4月29日、5月6日を除く)、5月7日
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2. 「百年後芸術祭~環境と欲望~内房総アートフェス」(クルックフィールズほか千葉県内房総5市各所)
国内外80組が参加。千葉5市で繰り広げる芸術祭
千葉県の誕生150周年にちなみ、千葉県の内房総5市 (市原市・木更津市・君津市・袖ケ浦市・富津市)が一丸となって開催する芸術祭。国内外から参加した80組が内房総を中心とした千葉県各地で作品を展示するほか、ライブアートパフォーマンスや食をテーマとした体験など、さまざまな体験型プログラムが開催される。
開発好明は、5市のさまざまな会場で10人の先生が1講座60分~90分のユニークな授業を行う「100人先生の10本ノック」を行う。泥絵シリーズで知られる淺井裕介は、内房総エリア各所の土20色と久留里(君津市)の湧き水を使用して泥絵を制作。さわひらきは、君津市で昨年4月まで保育園として使用されていた建物を会場に、現代社会における保育園を再解釈したインスタレーションを展開。冨安由真は市原市の旧平三小学校で、新作を含むインスタレーション3作品を展示する。ほか出品作家はアニッシュ・カプーア、オラファー・エリアソン、加藤泉、草間彌生、小谷元彦、SIDE CORE、庄司朝美、ディン・Q・レ、名和晃平など。期間中は各会場を周遊する無料のバスも運行される。
「百年後芸術祭~環境と欲望~内房総アートフェス」
会期:3月23日(土)~ 5月26日(日)
会場:クルックフィールズ(千葉県木更津市矢那2503)市原湖畔美術館(千葉県市原市不入75-1)、牛久商店街など内房総5市各所 (市原市・木更津市・君津市・袖ケ浦市・富津市)
時間: 10:00 ~17:00
休館日:火・水曜(4月30日、5月1日を除く)※作品により展示日時が異なる
3. 北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画(SOMPO美術館)
北欧の知られざる芸術の世界を約70点で紹介
北欧は洗練されたデザインのテキスタイルや陶磁器、機能性に優れた家具の制作地として知られているが、優れた芸術作品が生み出されてきた場所でもある。本展は、その北欧の中でもヨーロッパ大陸の影響を受けながらも独特の文化を育んだ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの3カ国に注目。ノルウェー国立美術館、スウェーデン国立美術館、フィンランド国立アテネウム美術館の3館の所蔵品の中から、19世紀から20世紀初頭に活躍したノルウェーの画家エドヴァルド・ムンクやフィンランドの画家アクセリ・ガッレン=カッレラらによる絵画を中心とした約70点を紹介する。
広大な山々や荘厳な滝、流氷の漂う海、白夜・極夜の下の神秘的な光景、そして北欧神話や民間伝承など、北欧ならではのモチーフの作品にもスポットを当てる。それらの題材は文学やファンタジー映画、アニメ、RPGゲームのイメージソースとしても頻繁に取り上げられており、私たちに親しみと共に新しい世界を見せてくれるだろう。
北欧の神秘 ―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画
会期:3月23日(土)~ 6月9日(日)
会場:SOMPO美術館(東京都新宿区西新宿1-26-1)
時間: 10:00 ~18:00(金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(4月29日、5月6日を除く)
4. 「TOKYO PLAYTIME An exhibition by Alec Soth and Bottega Veneta」(seeen)
アレック・ソスが切り取る「東京」
ボッテガ・ヴェネタ SUMMER 24のキャンペーンビジュアルを手掛けた、アメリカの現代写真を牽引するアレック・ソス。ミネソタ州ミネアポリスを拠点に活動するソスは、緻密なコンセプトに基づいたプロジェクトとして国内外への旅を重ね、自然や人々をとらえてきた。その作品は、ドキュメンタリー写真の手法を継承しながらも独自の詩的な静謐さをたたえており、国際的に高い評価を得る。
本展は、ボッテガ・ヴェネタのためにアレック・ソスが東京の公園を舞台に撮影したキャンペーンの作品のほか、過去にソスが日本で捉えた作品も展示する。観覧はボッテガ・ヴェネタ公式LINEアカウントから要予約。
TOKYO PLAYTIME An exhibition by Alec Soth and Bottega Veneta
会期:3月29日(金)~ 4月14日(日)
会場:seeen(東京都渋谷区神宮前4-13-12)
時間: 11:00 ~19:30
5. グループ展 「Observation」(YUKIKOMIZUTANI)
アーティストとして4人が歩んだ10年の軌跡
2014年度に京都芸術大学(元京都造形芸術大学)を卒業し、卒業生選抜展「混沌から躍り出る星たち2015」に参加した同年代の作家、今西真也、熊谷亜莉沙、能條雅由、大和美緒によるグループ展。
今西真也は、キャンバスに油絵具を厚く塗り重ね、筆致の跡を力強く残し、削っていく行為を繰り返しながら描く。熊谷亜莉沙は、写実的な油彩で生と死、愛と憎しみなど矛盾に満ちた人間のありようを表現。能條雅由はコンテンポラリーな表現と日本美術の美学を融合した独自の表現方法で、人々の記憶や時の流れといったテーマを追求する、大和美緒は、一定のルールを敷き、反復する点や曲線を驚くほどの緻密さで画面に描き込む。それぞれに独自のスタイルを確立させてきた4人が、10年の歳月でどのように変わっていったのか、また、変わらずに留まり続けるものは何なのかを展示を通して探る。
グループ展 「Observation」
会期:3月29日(金)~ 4月27日(土)
会場:YUKIKOMIZUTANI(東京都品川区東品川1-32-8 Terrada Art ComplexⅡ 1F)
時間: 12:00 ~18:00
休館日:日・月・祝